アニメ音楽丸かじり(51)
『禁書目録II』『バクマン。』サントラがリリース!

和田 穣

 年末からXbox360の付属機器であるKinectを導入し、日頃の運動不足を解消するため、「ユアシェイプ フィットネス・エボルブ」というソフトで汗をかいている。Kinectに搭載されたカメラと深度センサーによって、運動している自分の姿がTV画面上に再現されるのは、ちょっとした近未来体験だ。公式サイトに映像があるので、興味のある方はチェックしてみてほしい。フィットネスのプログラムもよくできており、毎日やっても飽きがこない。「ジムに通うのは億劫だけど、毎日きちんと運動したい」という人にはうってつけだ。
 この「ユアシェイプ」のサウンドトラック盤が、AmazonとiTunesでダウンロード販売されている。フィットネス用の音楽らしく、淡々と一定のリズムを刻む心地よいテクノ音楽で、ワークアウトのお供には勿論のこと、仕事中のBGMにもおすすめ。アニメやマンガの作画作業中に音楽を聴く方も多いと思うが、このサントラはそういった用途にもぴったりだろう。

 1月も後半に差し掛かり、徐々にサントラ盤のリリースが始まってきた。今月の目玉としては、まず現在放映中の『とある魔術の禁書目録II』のサントラ第1弾が26日に発売されることだろう。OP主題歌「No buts!」、ED主題歌「Magic∞world」のTVサイズを含んだ、『とある』シリーズではお馴染みの構成だ。今回、残念ながら事前にサンプル盤を入手できなかったため、曲数や曲順などの情報が分からないのだけれど、恐らくは前期シリーズと同様の構成になると思われる。新OP「See visionS」と新ED「メモリーズ・ラスト」は、サントラ第2弾に収録されるのだろう。
 音楽担当はI've soundで、前期シリーズ『とある魔術の禁書目録』および、スピンオフの『とある科学の超電磁砲』と同様に、ほとんどの楽曲を井内舞子が手がけている。放映内容を見る限り、基本的にはこれまでのシリーズを踏襲した作風になっているようだ(前期シリーズや『超電磁砲』からの流用曲が多い、という理由もあるが)。
 『禁書目録』の特徴のひとつとして、複雑な世界観を説明するための長台詞が挙げられる。劇伴はそういった台詞の邪魔をしないような環境音楽を一方の柱とし、エレキギターとノイジーなシンセを多用した、電子音たっぷりのダイナミックな戦闘シーン曲がもう一方の柱となっている。

『とある魔術の禁書目録II』O.S.T 1(音楽:I've sound/井内舞子)

GNCA-1291/3,150円/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
1月26日発売予定
[Amazon]

 同じく1月26日に、現在NHK教育で放送中の『バクマン。』のサウンドトラック盤が発売になる。全24曲を収録して53分の内容だ。曲名がすべて「○○と○○」という、原作準拠のスタイルになっているのが面白い。OP・ED曲の収録はないものの、第1話の冒頭で視聴者を驚かせた、影山ヒロノブが歌う「超ヒーロー伝説」をフルサイズで収録しているのは嬉しいところだ。
 音楽を担当するAudio Highsは、活動歴が2003年からとキャリアは10年に満たないが、すでに8本の映画、18本のTVドラマの劇伴を担当しているほか、アニメでは『銀魂』『バスカッシュ!』を担当した事で知られる売れっ子作曲家だ。
 『バクマン。』はマンガ界の内情を暴露するという側面があるものの、基本的には少年2人と少女2人の夢と成長を描く物語だから、音楽も爽やかで健康的な楽曲が多い。ギターとピアノを楽器の中心におき、作品にやさしく寄り添うような音楽は、あくまで淡々として上品。いい意味で音楽の存在を忘れさせてくれるようで、劇伴として本来あるべき姿を示しているように思う。『バクマン。』はストーリー展開にスピード感とパワーがあるので、音楽は脇役であるのが正しいのだと、視聴中に何度も納得させられた。
 個人的には、ルーズな日常シーンに流れるブルースやカントリー調のギターが、いい味を出しているなあ、と感じた。このあたりの作風は『銀魂』でも多用しており、Audio Highsが得意とする手法なのだろう。

『バクマン。』オリジナルサウンドトラック1(音楽:Audio Highs)

LHCA-5124/3,000円/ランティス
1月26日発売予定
[Amazon]

 最後にもう1枚紹介しよう。1月12日に『みつどもえ』の劇中劇「本気戦隊ガチレンジャー」の主題歌が発売された。歌唱はもちろん、作詞・作曲までも遠藤正明が担当するという、極めてガチな内容だ。「ガチレンジャー」はもちろん架空の番組なのだが、ある意味で本物の特撮ソング以上に「それらしい」曲調になっていて面白い。アニメ界を代表する熱唱派の1人であり、実際に特撮番組「爆竜戦隊アバレンジャー」主題歌を歌った遠藤正明だからこその説得力だ。
 本盤に限らず『みつどもえ』関連のCDは、いずれもユーモアとサービス精神が旺盛で、レコード会社のスタッフが楽しんで作っている事が伝わってくる。以前の記事で紹介した、個性的なキャラクターソングの数々もおすすめだ。

『みつどもえ』挿入歌「本気戦隊ガチレンジャー」/遠藤正明

LASM-4089/1,200円/ランティス
発売中
[Amazon]

(価格はすべて税込)

(11.01.25)