アニメ音楽丸かじり(68)
『神様ドォルズ』サントラは石川智晶をフィーチャー!
和田 穣
7月から放映中のTVアニメ『神様ドォルズ』のサウンドトラック盤が、9月21日にフライングドッグから発売された。オープニング主題歌「不完全燃焼」、エンディング主題歌「スイッチが入ったら」はいずれもTVサイズ、第7話エンディング曲「夏の庭」はフルサイズで収録されている。注目すべきは、主題歌を歌った石川智晶が一部の劇伴にも関わっているという事だろう。彼女のボーカリーズによる案山子の起動音が6種類収録されているのだ。リバーブをかけたり、ディストーションで声を歪ませる工夫も見られ、案山子の個性に応じた歌い分けが面白い。
他の楽曲は西田マサラの手よるもの。『爆裂天使』『逮捕しちゃうぞフルスロットル』に見られる格好いいアクション系の作風と、『こどものじかん』『ちょこッとSister』といったキュートなキャラクターものという両極端の作曲歴を持つ音楽家だ。石川智晶のソロ楽曲の大半で編曲を担当するなど、長年に渡るパートナーでもある。第1話のアバンタイトルなどで使われた2曲目「サイキョウの案山子」は、和太鼓と尺八をフィーチャーしたミステリアスな楽曲。作品に通底する伝奇的な雰囲気と、「これからドラマが始まる!」というワクワク感をうまく表現している。
ブックレットには石川智晶と、原作者・やまむらはじめとの対談も掲載されている。
アニメ主題歌のコンピレーションではお馴染みのコロムビアから、昨年8月に発売された「アニメソング史(ヒストリー)I」「II」「III」の続編となる「IV」「V」がリリースされる。いずれも2枚組で40曲以上を収録し、高音質のBlu-spec CD仕様ながら2625円とリーズナブル。9月28日に2作同時発売の予定だ(「I」「II」「III」については過去の記事を参照のこと)。
「IV」の収録曲で注目すべきは、初CD化となった『太陽の子エステバン』OP「冒険者たち」、ED「いつかどこかであなたに会った」の2曲。1982年にNHKで放送された作品だが、諸事情から既にオリジナルフィルムも消失しており、今後のCD化も少ないのではないか。次いでレアなトラックは、『機甲艦隊ダイラガーXV』と『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』のOP・EDあたり。過去に商品化の機会はあったが、現在では入手がやや困難なのだ。
そのほか、『忍者ハットリくん』『じゃりン子チエ』『うる星やつら』『ダッシュ勝平』『ゲームセンターあらし』『さすがの猿飛』『未来警察ウラシマン』といった有名作品の主題歌もガッチリ押さえている。
「V」からは『ナイン 完結編』主題歌「エンドレスサマー」の収録に注目したい。ヒロインの声優を務めたアイドル歌手・倉田まり子のCDには含まれておらず、アニメ関連のコンピレーションにも収録されているのを見たことがない。おそらくこれが初CD化ということになるだろう。同じく『ナイン2 恋人宣言』の主題歌「恋人宣言」もなかなかに貴重だが、こちらは昨年リリースされた倉田まり子のベスト盤に収録されている。
そのほか『キン肉マン』『パーマン』『キャッツ・アイ』『キャプテン翼』『北斗の拳』『小公女セーラ』『タッチ』など定番の主題歌も揃っている。『OKAWARI-BOY スターザンS』『ビデオ戦士レザリオン』『超時空騎団サザンクロス』主題歌の収録も嬉しいところだ。
(価格はすべて税込)
(11.09.27)