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磯光雄監督作品『電脳コイル』
完成披露試写会レポート

　５月12日、ＮＨＫ教育テレビで放送スタートする話題のＴＶシリーズ『電脳コイル』。その第１話・第２話の完成披露試写会が先日行われた。原作・脚本・監督を務めるのは、磯光雄。ＷＥＢアニメスタイルでは「アニメの作画を語ろう」等で話題になってきたスーパーアニメーターであり、演出や脚本なども手がける才人である。そんな彼がいちから立ち上げた初のオリジナル企画にして、待望の監督デビュー作となるのが、この『電脳コイル』だ。試写会場はほぼ満席に近く、作品への注目度の高さがうかがわれた。
　上映された１、２話は、まさに期待を裏切らない仕上がり。単なる「ハイクオリティ」という表現をも超えた、斬新かつ普遍的な魅力溢れる作品になっていた。超強力スタッフを投入した作画の素晴らしさはもちろん、語り口やキャラクター造形、世界観構築の見事さにも注目してほしい。全アニメファン必見の作品だ。

●『電脳コイル』あらすじ
　時は202X年、子供達の間で“電脳メガネ”が大流行していた。この“電脳メガネ”は、街のどこからでもネットに接続し、様々な情報を表示する機能を備えたアイテムだ。現代の携帯電話のように普及し、ほぼ全ての子供が持っている。
　小此木優子（通称ヤサコ）は小学校最後の夏休みを目前に、父親の仕事の都合で地方都市「大黒市」に引っ越してくる。そこは由緒ある神社仏閣が立ち並ぶ古都でありながら、最新の電脳インフラを擁する街。ヤサコはそこで、もう１人の“ユウコ”、天沢勇子（通称イサコ）と出会う。同じ名前で同い年だが、全くタイプが違う２人。彼女達は新しい学校で個性豊かな子供達と出会い、電脳空間で次々と巻き起こるフシギな出来事を体験する……。

　上映後にはスタッフ・キャストによる会見が行われた。残念ながら磯監督は体調不良のため欠席。ＮＨＫエンタープライズの松本寿子担当部長が、監督からのメッセージを伝えた。

磯光雄監督のメッセージ
「『電脳コイル』試写会にお集まりいただき、ありがとうございます。現在、全力を尽くして本編制作を進めております。残念ながら本日は体調を崩し、皆様の前に顔を出す事ができなくなってしまいました。大変申し訳ありません。もしかしたら、作品が世に出る前にあまり多くの言葉は必要ないのかもしれません。監督自身の100の言葉より、１の映像の方が遥かに雄弁だと思います。皆様に楽しんでもらえる作品である事を、祈っております」

　そして、主人公・ヤサコ役の折笠富美子と、謎めいた少女・イサコを演じる桑島法子が、作品についての印象を述べた。

折笠　懐かしい風景もあるんですけど、そこには新しさも混在していて、一言で言えば、近所で子供達が大冒険している風景。自分達が子供の頃に思っていた事や、興味があった事を思い出したりして、ワクワクしながらアフレコしています。大人の方がご覧になっても、きっとそんなふうに私と同じ感覚を共有していただけると思います。

桑島　温かさと懐かしさがあり、味のあるキャラクター達がたくさん出てくる、本当に愛すべき世界だと思います。まだアフレコは全部終わっていないんですが、この先どうなるのか全然想像できなくて、キャスト陣も凄く楽しんで演じています。今日、観ていただいた皆さんには、凄くハイクオリティで素敵な作品だというのが伝わっていると思いますので、ぜひご家族揃ってＴＶで観ていただけたらと思います。

　ＮＨＫエンタープライズの松本担当部長は、クリエイター・磯光雄の仕事に心底惚れ込んでいる様子で、作品への自信がうかがえるコメントを添えた。

松本　私がこの企画に出会ったのが１年半くらい前でしょうか。その時に見た企画書には“2000年４月３日”という日付が記されていました。それから今日まで随分長い時間がかかって、ようやくこの５月に放送する事ができます。磯さんという方は本当に多才で、鬼才と呼べる方です。原画も描き、脚本も書き、絵コンテも描き、演出もし、ＣＧも制作する、「映像作家」としての第一人者です。その彼が監督第１作として手がける作品がどんなものか、話題の的だった事でしょう。その作品に私どもが参加し、ＮＨＫで放送させていただき、非常に嬉しく思っております。私自身、難しい言葉や電脳世界が云々というよりも、子供達が活き活きと動いている世界に魅了されました。教育テレビに相応しいメッセージ性とエンタテインメント性が絡み合った、素晴らしい作品だと思います。

▲会見に出席したイサコ役の桑島法子（左）、ヤサコ役の折笠富美子（中央）、主題歌を担当する池田綾子（右）。本編に登場するキュートな電脳ペットのぬいぐるみを手に

『電脳コイル』
放送スタート：５月12日（土）18時30分～（ＮＨＫ教育）

●キャスト
ヤサコ／折笠富美子
イサコ／桑島法子
京子／矢島晶子
ハラケン／朴ろ美　※ろ＝王＋路
フミエ／小島幸子
ダイチ／斉藤梨絵
メガばあ／鈴木れい子

●スタッフ
原作・脚本・監督／磯光雄
アニメーションキャラクター／本田雄
作画チーフ／井上俊之、本田雄
美術監督／合六弘
色彩設計／中内照美
作画監督／本田雄、板津匡覧、押山清高、秦綾子、井上鋭、井上俊之他
絵コンテ・演出／村田和也、横山彰利、笹木信作、平松禎史、安川勝、野村和也他
撮影監督／大庭直之
ＣＧワークス／荒木宏文
音楽／斉藤恒芳
アニメーション制作／マッドハウス
製作／電脳コイル製作委員会

●公式サイト
http://www.tokuma.co.jp/coil/

(07.04.26)

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