宮崎駿監督の最新作『崖の上のポニョ』主題歌が、オリコンのシングル週間ランキング(8月4日付)で3位にランクインした。これがスタジオジブリ作品の主題歌としては最高位というのは少し意外。映画の公開以降じわじわと順位を上げてきており、まだまだ伸びそうな勢いである。
『ポニョ』の話題性にやや隠れてしまった印象もあるが、同週には林原めぐみの歌う『スレイヤーズRevolution』主題歌「Plenty of grit」も6位にランクイン。根強い人気を証明するかたちとなった。
さて、今回もまずは先月に紹介し損なった作品から。『Genius Party&Genius Party BEYOND』OSTがDVDと同時にリリースされた。STUDIO 4℃によるオムニバス作品『Genius Party』と、10月公開予定の続編『Genius Party BEYOND』の使用楽曲を、それぞれCD1枚ずつに収録した2枚組サントラだ。
各クリエイターが一切の制約なしで短編作品を作り、それをまとめて劇場公開するという企画で、制作の意図などについては、アニメスタイルで行ったSTUDIO 4℃の田中栄子プロデューサーへのインタビューや、「東京国際アニメフェア2007」でのトークイベントの模様も参考にしていただきたい。
それぞれの作品の監督も個性派揃いだが、音楽担当に起用された面々も相当に「濃い」メンバーが揃っている。『THE ANIMATRIX』にも参加したトランス界の大御所ジュノ・リアクター、元ボアダムスのギタリストで『マインド・ゲーム』の音楽も担当した山本精一、Child's Viewの活動など海外での評価が高い竹村延和、ラップトップミュージックの第一人者クリスチャン・フェネスなど、現代音楽、アシッド・ジャズ、テクノ、トランス、アンビエント、エレクトロニカを中心に通好みのミュージシャンがズラリ。
東京在住の方以外には分かりにくい喩えで恐縮だが、タワーレコード新宿店の9F(現代音楽やアンビエント系が充実)に通い詰める僕のようなタイプにとっては、泣いて喜ぶメンツと言いましょうか。映画のファン、アーティストのファンは勿論のこと、新しい音楽体験を求める方にはお薦めの刺激的なディスクである。
続いては黒石ひとみのコンピレーションアルバム「Angel Feather Voice」をご紹介しよう。Hitomiの名義で『プラネテス』最終話のED「PLANETES」や、『LAST EXILE』ED「Over The Sky」を歌い、その澄んだ歌声で視聴者に強い印象を残したアーティストである。最近では『コードギアス 反逆のルルーシュ』において大量の楽曲提供を行った事も記憶に新しい。
彼女の楽曲は、挿入歌を担当する事が多いという事情もあってシングルでリリースされる機会が少なく、それぞれの作品のサントラにのみ収録されるケースがほとんど。今回のCDでは代表的な作品をまとめて聴く事が可能となり、ファンにとって待望のアルバムと言えるだろう。『プラネテス』より3曲(1曲はバージョン違い)、『LAST EXILE』より5曲、『ガン×ソード』より2曲、『コードギアス』より4曲の、計14曲を収録予定だ。
最後に紹介するのは『名探偵ホームズ』テレビシリーズ・サウンドトラック総集版だ。この作品のサントラでは1995年に徳間ジャパンから発売された盤があるが、残念ながら現在では入手困難。よって今回の発売を心待ちにしていた方も多かっただろうと思う。そして嬉しい事に、新盤ではオリジナルマスターを発掘して大幅に楽曲を増補している。
音楽は昨年惜しくも急逝した羽田健太郎。『ホームズ』は劇中で音楽の流れている時間が長く(特に第1話は鳴りっぱなし!)、劇伴がムード作りに大きく貢献していた作品だ。楽曲はオーケストラを基調とした牧歌的で穏やかなものが多いが、随所にジャズやポップスのテイストを効かせているのがハネケンならでは。印象に残るメロディが数多く含まれており、名曲揃いと言っても差し支えないだろう。個人的にも忘れられない作品だ。
ダ・カーポの歌う名OP・ED「空からこぼれたストーリー」「テムズ河のダンス」もフルバージョン、TVバージョンの両方を収録している。(W)
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『Genius Party&Genius Party Beyond』OST
VTCL-60074〜5/3,980円/JVCエンタテインメント
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黒石ひとみ/Angel Feather Voice
VTCL-60064/2,940円/flying DOG・JVCエンタテインメント
8月13日発売予定
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『名探偵ホームズ』テレビシリーズ・サウンドトラック総集版
TMS-302/2,625円/東京ムービー・レコード
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(価格はすべて税込)
(08.08.04)
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