第47回 「'80年アニメーション ザ・ベストテン」
今回は、「'80年アニメーション ザ・ベストテン」について、ほぼ記憶モードで書く。だから、思いっきり間違った事を書いてしまう可能性が高い。この原稿を書く前に、何人かの知人に「『'80年アニメーション ザ・ベストテン』の内容って覚えてる?」と訊いたのだが、みんな、ほとんど覚えていなかった。そのため、裏をとる事もできなかったのだ。ちょっと不安を感じつつ、この原稿を書いている。
「'80年アニメーション ザ・ベストテン」は、『サイボーグ009 超銀河伝説』に併映されたものだ。厳密に言うと、アニメではない。当時人気があった歌番組「ザ・ベストテン」のノリで、アニメの人気ベスト10を発表する。つまり、バラエティ番組風の作品だった。勿論、一度もビデオソフト化はされていない。僕が知る限り、CS等でも放映された事はないはずだ。
当時の「ザ・ベストテン」の司会者は黒柳徹子と久米宏だ。「劇場アニメ70年史」(徳間書店)を見ると、こちらの司会はタモリと児島美ゆきだったようだ。「劇場アニメ70年史」を読み返すまで、タモリではなくて、タモリのそっくりさんが出ていたと勘違いしていた。このように、この作品についての僕の記憶はアテにならない。「劇場アニメ70年史」を見ると、他に堀江美都子、水木一郎、ダ・カーポが出演したとある。監督はドン・上野。ラジオのプロデューサーで、当時聴いていた番組でよく名前を耳にしていた。多分「夜のドラマハウス」で名前を覚えたのだと思う。
『サイボーグ009 超銀河伝説』と「'80年アニメーション ザ・ベストテン」は、東映系での公開だったが、当然、ベスト10内には東映以外の作品も入っており、その部分は作品の映像を使う事ができず、順位を発表した後に「『あしたのジョー』は減量中なので来られません」とか、「『機動戦士ガンダム』はニューミュージックなので出演できません」などと言って、お茶を濁していたはずだ(間違っている事を書いている可能性が高いというのは、この部分だ。言い訳が多くて、スイマセン)。これも「ザ・ベストテン」のパロディだ。「ザ・ベストテン」は生放送で、ベスト10にランクインした歌手が登場するのが売りだったが、何かの理由でランクインした歌手が出演できない場合、司会者によって、そのように出演できない理由が告げられるのだった。
見直す機会があったら、意外とよくできていたと思うかもしれないが、劇場で観た時の印象は決してよくはなかった。映画らしい体裁が整った作品とは思えず、観ている間、「自分はどうしてこんなものを映画館で観ているんだろう」と思っていた。アニメブームの中で、僕が一番がっかりしたタイトルだ。ブーム初期には「アニメだったら、なんでも素晴らしい」とすら思っていたが、この頃には、どうやらそうでもないらしいと分かり始めていた。
それから、もうひとつ。これまた記憶モードになるが、この「'80年アニメーション ザ・ベストテン」の中で、翌春に放映開始される『Dr.スランプ アラレちゃん』の映像が使われていたはずだ(それも僕の思い込みで、『アラレちゃん』の映像が使われていない可能性もあるのだが、まあ、それはおいておく)。随分後になって、ここで使われた『アラレちゃん』の映像が、パイロットフィルムのものだったのではないかと思うようになった。『アラレちゃん』のパイロットフィルムのスチールは、放送開始前のアニメ雑誌に載っているが、後のTVシリーズとちょっと感じが違う。声優もTVシリーズとは別のキャストだそうだ。気になっているのだが、いまだだに確認できないでいる。
第48回へつづく
(09.01.19)