001『日常』(2011年・TV)
テキスト担当/岡本敦史
【あらすじ】
時定高校に通う相生祐子・長野原みお・水上麻衣は、大の仲よし3人組。一緒に大笑いしたり、ワクワクしたり、時にはケンカしたり、悩んだり、ヒドイ目に遭ったり、毎日いろんなことがある。そんな一見なんの変哲もない日常は、実は奇跡の連続なのかもしれない。そして、同じ町に住むアンドロイドの東雲なのは、自分を開発した8歳の天才少女・はかせと一緒に暮らしながら、ごく普通の高校生活に憧れている。はたして彼女の夢は叶うのか?
【解説】
どこか常識から逸脱した「日常」をシュールなギャグ満載で描く、あらゐけいいちによる同名コミックのTVアニメ化。制作にあたったのは、卓抜した原作読解力とハイレベルな作画力に定評のある京都アニメーション。原作者自身もスタッフとして参加し、その独特のセンスを的確に共有しながら、アニメーションとしての魅力にも溢れた稀有なシリーズとなった。
「萌え」の記号性をまとった可愛らしいキャラクターたちが、ひたすらギャグに身を捧げ、突飛な「名勝負」の数々(独り相撲を含む)を繰り広げる姿が楽しい。ツッコミ我慢勝負、校長先生と鹿の死闘、失恋したショックで町中を全力疾走する少女など、過剰にエスカレートしていく登場人物の行動が「何もそこまで……」と思うほどダイナミックな作画で表現されているのも見どころ。一見無駄とも思える力の入れようが贅沢な面白さを生んでいる一方、タイトルどおり「日常」の中のちょっとしたきらめきをすくいとる繊細さと慎ましさも、作品に豊かさをもたらしている。遊び心に溢れたキャスティング、どこからでも気軽に観られるショート・ショート形式の構成も魅力だ。
【スタッフ】
原作・構成協力/あらゐけいいち
監督/石原立也
副監督/石立太一
シリーズ構成/花田十輝
キャラクターデザイン・総作画監督/西屋太志
美術監督/鵜ノ口穣二
音楽/野見祐二
アニメーション制作/京都アニメーション
声の出演/本多真梨子、相沢舞、富樫美鈴、古谷静佳、今野宏美、白石稔
002へつづく
(12.06.13)