第155回
メイキング・オブ・
『はなまる幼稚園』ED(その1)
『はなまる幼稚園』第4話用エンディング、観ていただけましたか?
実は俺、EDをやるのは始めてだったりします。そして、『化物語』同様、シリーズ本編にはいっさいタッチせずの90秒1本勝負! 真宵ちゃんの次は杏ちゃんというわけ。本心を言うと本編の方もやりたかったんですが、嫁・白石制作Pより
と言われた時は、すでに本編のコンテ・演出は全部埋まってたから、やらせてもらえなかったんです。でも、このかなりな前倒しスケジュールのおかげで、現在放映中のハイクオリティな作画が維持できてるのもまた事実なので、それはそれで『はなまる幼稚園』のためにはよかったとも言えますが……(『はなまる』は全12本作画が乱れる話数はありません! ファンの皆様、安心してBD&DVDを予約してください、損はしませんよ〜)。
ま、そんなわけで本編に参加できなかった口惜しさが90秒に濃縮したのが、自分にとっての『はなまる』ED(4話用)です。曲に関しては、白石が決めてきたので選ぶ余地はもーとーなかったんですが(と言っても他のクリエイターさんたちも水島監督らが決めたんでしょうね〜)、
自分も『はなまる』の中で一番好きなキャラは杏!
なので、別に異存はありませんでした。仮に本編を1本やれるとしたら間違いなく
「杏の話がやりたい!」
と言ってたハズです。別にロリコンじゃないですから、俺……。そーゆーんじゃなく、原作読んだ時から自分、
彼女の、つっちー(土田先生)に対する恋心を、ただの色ボケコメディ扱いにだけは絶対にしたくない——!!
と思ってました。「彼女の想いは本物だ」と伝わらなかったら失敗なんじゃないか? と。その意味で、自分でEDやった話数だからとかじゃなく、4話は本編も好きなんです(今まで放映された分で一番! 演出の鈴木薫様は、TV『Hellsing』の時ゴンゾで斜め後ろの席で元気なオネーさんでした)。ドッジボールを両手に抱えて「取ってきたよーっ!」と走ってくるカットの杏の笑顔は本当によい! まっすぐで! ポヨポヨな足音たてて。
で、水島監督とのED打ち合わせはというと、実にアッサリしたモンで、ほとんどマッドハウスで繰り広げられた雑談となんら変わりなく、「女必殺拳」や「鴛鴦歌合戦」など古い映画タイトルやアニメ業界話が1時間以上飛び交ったあげく、
と言われて終わりました。
……じゃ、まーおもいっきり「らぶビーム☆!」
って事で。あとは自分的に
俺の『はなまる幼稚園』は、ED1本で完全燃焼するぜ!
な想いが強く強く発動したんです。90秒に自分のやりたい『はなまる幼稚園』を全部籠めようとした時、外せなかったのが「桜ママ」でした。何せ、制作条件的に
だったトコ、全体の3分の1のカットを冒頭の桜とパパが出会って杏が生まれるまでで使ったんですから。ただでさえこのコンテ、たいして悩まずスラスラ描けたんですが、冒頭の桜は特にスラスラ……と言うより一瞬で「これしかないっ!」でした。
杏のらぶパワーは桜から受け継がれた!
をテーマに、人間の愛の受け渡し(?)と言うか、輪廻・流転的なものが描ければよいか、と。そして、最後までめげずに笑顔でらぶビーム☆を発射し続ける事で、90秒のドラマが作れるかとも……。で、作画も白石より、
との申し出があり、ガイナックスの若手・河野恵美さんの1人原画となりました。で……。
(10.02.04)