第156回
メイキング・オブ・
『はなまる幼稚園』ED(その2)
作画は全部、河野恵美で!
との白石制作Pからの申し出により、自分は
と諸手を挙げて大喜びでした。こーゆー時諸手を挙げるからクリエイターとして二流なんですよ、俺。本物の一流クリエイターなら
全部自分でやりたいっ!
って言うんでしょうね。少しでも純度の高い自分作品を作りたいと思うはずだから。ところがこの連載を3年間(もう丸3年になるんだ、早ぇっ!)読んでくださってる方ならもうお分かりでしょうが
俺は誰かと一緒に作品を作るのが好きなよーです
もちろん「グレパラ」みたいな、コンテ・演出・全企画ってのもやるチャンスがいただけるならば思いっきり楽しく作るんだけど、本音を言うと自分は自分の画が
原画マンに演出意図をいちばん饒舌に伝えられる便利な道具
以上の価値がまったくないと思ってるため、俺より魅力的な画を描ける人がいればすぐ頼ってしまうんです。それは今回の河野さんも同じ。ゆえに今回の『はなまる幼稚園』#4EDの手柄はかなり河野さんだと!
で、やっと本題。チェックしてる方はご存知かと思うんですが、河野さんは『化物語』真宵編OPで「♪笑顔が目印〜一緒にお家へ帰ろう」の2カットを描いてくれたガイナックスの新人です。板垣的に人の原画を結構イジりまくってしまった『化物語』OPの中でも、数少ない野放し原画マンの1人でした。画が華やかで、活力があり、そして何より
原画を描く事を面倒くさがってない!!
ところがよいです(「そんなの当たり前じゃん」と言う方も多いと思いますが、実はかなりいるんですよ、「こことここの間に1枚2枚の原画を足す」事を面倒くさがるアニメーターって……)。
『はなまる幼稚園』EDの打ち合わせで久々に会った(『化物語』の時は電話打ちでしたから)河野さんは
板垣の言う事——作画のコツや撮影指定の書き方、もちろん作打ちの内容——をカタッパシからメモをとる努力家さんでした。ホント、どんな駄話もメモってました。そーゆー彼女だからこそ、
今回は河野原画をタイミングも含めできるだけ使おう!
と思いました。いや、俺も実感ある事なんですが、アニメーターって自分の描いた原画をタイミングや撮影フレームまで使ってくれた上で完成画面を観ないとなかなか勉強にもならないし、反省もしない(できない)んですよ。つまり、深〜い方はお気づきかと思いますが、原画からタイミングまでかなりイジった『化物語』OPと違って『はなまる幼稚園』EDは全体的に心地よい落ち着きがあるのではないかと思います。
それは板垣コンテでも「河野アニメ」だからでしょう
だから、今回のフィルムで自分がアドバイス(チェックと言うより、あくまでアドバイス程度)したのは、滑り台でつっちーの背中を突き飛ばす男の子(スミマセン、名前忘れた(汗))の動きやラストのハートマークの入るタイミングくらいで、その他はほぼ河野さんのをそのまま使ってます。よって、振り返るつっちー(メインタイトルの次のカット)が「なんであんなにオーバーに振り返るの? 何年山本先生に会ってなかったんだよ?」と思っても気にしないでOKにしました(笑、完成画面観て河野さん自身もツッコんでました)。
でも、自分がいちばん「河野さんでよかった!」と思ったのは、動くカットより冒頭の桜とパパの止め数カットだったりします。あそこは俺のコンテのイメージに女性ならではの感性を足してくれてて最高でした!
(10.02.18)