板垣伸のいきあたりバッタリ!

第158回
自宅作業中

少しだけ前回のラストに続く気分で現在の自分のワーク・スタイル(?)を……。各方面への言い訳の如く

 今、あれだけイヤがってた自宅作業で演出チェックやってます、俺。それは現在作ってる作品の制作スタジオが自宅からだと交通の便が悪い上、作監さんもそのスタジオとは別のスタジオで作業される——さらに原画さんも自宅作業の方が多かったりするため、俺も自宅で……となっただけなんですけどね。

 アパートの出窓部(?)を埋め尽くしていた荷物——昔集めた有名アニメーターの原画のコピーやら、学生の頃の卒制の原動画やら、着られなくなった衣類、暫く使ってなかった作画机上の資料類——を一掃して仕事できる環境を作って、本格的に作業に入ったのは去年の年末。それまでは暗くて陰湿なイメージだった自宅作業に一筋の光が差し込んだんです。

良い……!

 いや、リアルに光が差し込んだんです、作画机と壁の隙間に覗く窓から。でも、たったそれだけで心躍るから人間不思議なもんです。何か、机の上で繰り広げられる「アニメ」という非現実からチラッと視界を窓の外に移すと、普通に実社会で働いてる方たちや無邪気に駆け回る子供たちが見えて、いろいろ「人類の可能性について考える時間を与えられた」感じとでも言うんですかね。アニメ監督に限らずマンガ家や役者、スポーツ選手など、ありとあらゆる表現者たちが皆を感動させる源ってなんだろうか……? とよく考えるんです。それはたぶん「次はどーなる、どーなった」なハラハラドキドキのストーリー展開や誰もが口ずさみたくなる美しいメロディー、記憶に残る名勝負、といったエンターテインメント性はあくまで表面的な事で、本当はジャンルを問わず、

人間の「技(業)」! 言い換えるなら「人類ってこんなに素晴らしい!!」

 って事だと思います。その「人類の可能性」的に考えると、自分の目の前でチェックしてできあがるであろうフィルムが「窓の外で働くおじさんが家帰って一気に飲み干す1杯のビール……くらいの感動はあたえなきゃいかん! だからこのレイアウトを直すんだっ!」的大義名分が立ってくるんです。
 で、現在がこう——




 で、そろそろ時間切れ。スミマセン……。

(10.03.04)