第160回
嬉しい事、それは……
特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.9
3月21日(日)に発売!!
——されるのですっ!!! しかも公式サイトによると今回はなんと
5枚組の20話収録!!
——だそう。各巻16話収録だった Vol.1〜 Vol.8より4話分も多く楽しめるんです。
指折り数えて発売日を待ってる自分……そう、これは中・高校生の頃の出崎統監督のOVA『華星夜曲』『B.B』『修羅之介斬魔劍』を半年、1年と待ってた感じと同じですね。
この頃から自分はビデオやLD、今はDVDとか、とにかくソフトを買うのが好きで、発売日1〜2ヶ月前から興奮しっぱなしでした。ま、出崎監督作品についてはこれまで何度も語ってきたし、これからも語る気マンマンなんで、今回は話を「特捜」に戻します。
なんでそんなに好きなの?
と吉松さんや周りの人から訊かれるんですが、俺に言わせると
え、なんで!? 皆、好きじゃないの「特捜」!?
なんです。あんなに面白いのに。元来、自分は刑事ドラマでも「太陽にほえろ!」とか、やや時代は後の「あぶない刑事」みたいなドンパチ・アクションや、さらに度を超して「火薬をどれだけ大量に使ったか?」「車を何台爆破したか?」の「西部警察」とかが大嫌いで、あの手のTVドラマレベルのアクションなんかより、出崎アニメのボクシングシーンやテニスシーンの方がずっと迫力があると思っていたので、大爆発が起こるたびに
まーた不毛な事して〜
って失笑してました。ところが「特捜最前線」はメインライターの長坂(秀佳)さんが仰るとおり、
人情とトリックの人間ドラマ
なんです。10年間、全508話(+スペシャル1話)で途中桜井刑事(藤岡弘、)の性格が変貌する(!)などのライターによるバラつきは多少あるものの、
シナリオにしっかりドラマとエンターテイメントが組み込まれてる
というのは一貫してます。舞台も時代もジャンルもまったく違うんですが、自分がアニメの演出で心掛けてる事と似てる部分があるし、影響はかなり受けてますね、たぶん。
とにかく「本当にそんなに面白いの?」とお疑いの若い方はまず、
第172話 乙種蹄状指紋の謎!( Vol.1 DISC3収録)
第174話 高層ビルに出る幽霊!( Vol.6 DISC23収録)
第264話 白い手袋をした通り魔!( Vol.5 DISC19収録)
あたりの長坂特捜を観てみると分かると思います。「乙種〜」は、「どうしたら触った憶えのない金庫に指紋がつく?」を、これでもか! っていうほど転がしていくシナリオで、まさに神技だし、「高層ビル〜」も前半は普通に「オバケを見た、見ない」の夏の幽霊話と思いきや、後半「その幽霊もトリックだった!」な展開に驚くのも束の間、気づいたら最後は殺人鬼に追いかけられてますから。そして「白い手袋〜」は犯人が斬りつける箇所とその因縁が……とにかく「もう観てください!」としか言えないくらい巧いですよ。
(10.03.18)