第161回
「特捜」買いました!
〜制作様の事
何を踊ってるかと言えば、前回も紹介した、
特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.9
を買ったから喜んでるんです!!
今回は収録話数20本中12本が長坂特捜。これはもはや事件です! 全部観終わった頃、また感想書きますので。え? 知りたくないなどと言っても、勝手に書くのでムダですから……念のため。
とりあえず「特捜」の話はおいといて、今ハッキリ言ってヤバイんです、仕事面白すぎて。
来月放映の新番組やりながら、夏番、秋番(予定)のコンテ!
そして、来年から納品を始めるシリーズの監督(日本での放映は未定)
が、ゴチャゴチャに絡み合っててもう大変大変。でも、このアニメ不況の中、これだけ仕事がいただけるのは本当にありがたい事なので、全作品全力投球で今年を駆け抜けようと思ってます。
で、今現在は来月放映のヤツ(脚本書いたタイトル発表できないアレ)のリテイク処理中。この時期になると、いちばん大変なのは、やっぱり制作進行様でしょう。アニメ業界でない方々はあまり注目してない役職なのはあたりまえで、業界人ですらただの小間使いと勘違いしてる方が多いのは残念な話です。演出や作監だけがアニメの質を支えていると思われてるフシがありますが、本当は
制作進行のまわし方でフィルムの出来は明らかに変わるんですから!
そりゃあ、厳密に言って、質の向上に関与してないスタッフなどいないというのは当然な話ですが、逆にその各スタッフの技を生かすも殺すも制作進行だというのは、決して過言じゃあありません。数年前、大地丙太郎監督が作った『アニメーション制作進行くろみちゃん』というOVAがありましたね。あれなんかは制作進行という仕事の苦労と重要性……そして楽しさとやりがいを描いた名作だと思います。業界人でない方に簡単に説明すると、制作進行とは——
原画を追っかけて(場合によっては原画マンを集めるところからやって)演出・作監の机の上に積み、そのチェック上がりから背景原図は美術へ、原画はカット袋に詰めて動画→仕上げへ。そして、それぞれ上がってきた背景とセルを撮影へ入れて——というフィルム作りの全行程を管理する仕事
です。もしかするとどこぞの巨匠アニメーター様とかより、アニメを知ってる人たち、それが制作進行だと思います。たとえば原画マン集めに失敗すると演出・作監は正に死ぬ思いで直すハメになるわけだし、よしんば素晴らしい作監修正をいただけても、動仕を海外へ電送(原画と作監修正をスキャンしてデータで動仕会社へ送って24時間以内に色の付いたセルになって同じくデータで戻ってくる)したら、どーせ線も形もグシャグシャになるわけで……。さらに納品ギリギリになると、素材のチェックをする時間に左右されがちな演出や撮影の寝る時間を確保するための車での送り迎えが重要な仕事になる場合もあります。「場合も」ってのは、車での送り迎えの方こそが制作進行の仕事だと勘違いしてる巨匠もいるからです。俺は実際、制作の都合で夜中チェックになって終電がなくなった場合や制作の都合で「今すぐ来てくれ!」な場合以外は、自らの足で移動するのがアニメーターでも当然だと思うんです。だから、そんなルールにのっとった上でも
その制作進行様の送り迎えのお世話になってる真っ最中なのが今の自分です——って話!
そーしてできたアニメが来月放映されますんで……。
(10.03.25)