第194回
『パンスト』と
今石作品への道(3)
『アベノ橋』#3ですっかり緊張感がぶっ飛んだ自分
続く#12ではキャラ表も見ずに描いてました。皆さんもご存知かと思いますが、『アベノ橋』#3、#12では、今石版キャラ表なるものが存在してて、俺にとっては本家のキャラより描きやすかったせいもあり、#12を描くころになると今石キャラは頭に入っていたんです——って言うとカッコいいんですが、その実、当時は『グラップラー刃牙』(コンテ・演出)と『はじめの一歩』(原画)も掛け持ちしてたため、机の上に貼ってあった『刃牙』や『一歩』の設定を『アベノ橋』と取り替えるのが面倒くさかっただけかも。
超余談ですが『アベノ橋』の頃は前にも書いたとおりアゼータ・ピクチャーズという会社で学生の頃からの友人・宮下雄次君(最近では『Angel Beats!』のチーフアニメーター)と隣り合わせの席でお互いデタラメに仕事とってやってました。自分はテレコム、宮下君は中村プロを辞めたばっかりで2人ともやたら気楽でいちばん楽しい時期だったのかもしれませんね、今にして思うと。
で、結局『アベノ橋』は#1、#3、#7、#12と今石話数以外のガイナックス話数にもほとんど参加させてもらいました。最終話(#13)は#12とスケジュールがまるかぶりだったのでやれませんでしたが、後で当時の制作さんづてに「#12と最終話は今石さんと平松さん(最終話作監)でガイナックス社外の原画マンの取り合いで、板垣さんは今石話数向きって判断だった」と聞いて嬉しかったです。
その後は『まほろまてぃっく 〜もっと美しいもの〜』(#8の演出処理のみ、いたがきしん、の平仮名表記)で今石さんと同世代の佐伯(昭志)さんと一緒に仕事したんですが『まほろ〜』の作業もアゼータに持ち込んでやってたので今石さんとは会う事はありませんでした。次に今石さんと仕事したのは『まほろ〜』の次の『この醜くも美しい世界』の時。これは『まほろ〜』のたった1本の処理で自分の仕事を気に入ってくださった(?)佐伯さんから誘われたかたちです。その時同時に「ガイナックスに入ってやりますか?」と言っていただきガイナックスに席を移す事となって今石さんと再会したのです。
で、けっこう調子にのってた俺は畏れ多くも今石さんに
今度はこっちの原画やってくださいよ!
と言ってみたりしました。するとコンテも上がってないうちからアッサリ
いいよ〜。いいかげん恩返ししないとね(笑)
って返事。本当にカッコイイ人です。
……あ、『DEAD LEAVES』の話、とばしちゃった。それは来週って事で。
(10.11.25)