注・この連載はいつも“A4の白紙に3枚”と決めてます(前回はイラスト入れて4枚でしたが)。
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そろそろ『デビル メイ クライ』の制作も本格的に忙しくなってきた今日このごろです。
『デビル メイ クライ』――今年はあのマッドハウスでの監督になります。……緊張! 作品の内容や制作現場については、まだ書(描)かない方がよさそうなのでまたのちほど……という事にして、なぜ“緊張”しているのかを書くとしましょう(誰も知りたくねーっての)。
まず“マッドハウス”って聞くと自分は――
“元・虫プロ『あしたのジョー』班”
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“初期出崎統監督作品”
↓
“りんたろう・川尻善昭両監督作品”
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――がほぼ同時に脳裏を駆け抜けます。その中で、『あしたのジョー』や出崎作品については、マッドハウスの話題の中ではとても書ききれない(その前にA4白紙3枚程度じゃ板垣にとっての“出崎統”が語れるわけがない!)ので、その話の場はまた次回以降別途に設けるとし、“りんたろう監督”の『カムイの剣』『火の鳥 ―鳳凰編―』もけっこう好きですが、やっぱりなんと言っても“川尻善昭監督作品”でしょう……!!
『妖獣都市』『魔界都市〈新宿〉』『ゴクウI・II』――あまりのカッコよさに酔いしれた中・高生の頃……。世間はいわゆる“OVAバブル”に差しかかったあたりでしょうか……?(事情はよくわかんないけど、当時のTVじゃ相手にしてくれない企画だったんでしょう。エロ・バイオレンスや麻雀、1本980円の低価格だけが取り柄のお伽話ものから『8マン』まで……年間300本の新作が出てたと言われるヤケクソな時期) ありとあらゆるジャンルの数あるOVAの中、“川尻作品”はひときわシャープで美しく、スタイリッシュでエンターテイメントに光り輝いてました。
そして上京してプロになる寸前(専門学校の時)観たのが『獣兵衛忍風帖』です。予想どおりカッコよすぎ! 自分にとっては極上の娯楽大作でしたよ、コレは……!
と思ってテレコムに入ったら作れませんでした……。そりゃあ、テレコム辞めてフリーで演出やるようになって、マッドハウスの制作N氏から、
SE“ギラリ……!”
板垣「何っ!? 『獣兵衛忍風帖』のテレビシリーズ演出ぅ!?」
制作N氏「……やってみませんか?」
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……て電話があったら、
板垣「どーせなら、“コンテ”・演出でなきゃ、やりたくないなぁ! コンテ直すところは自分で直しますから」
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と答えますよ、普通……。その数日後N氏より「コンテ・演出で……!」と再度電話があり、いよいよコンテ打ちでマッドハウス(阿佐ヶ谷)に赴くと、
竜雄監督「どうも、佐藤です」
板垣「板垣です……」
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――佐藤竜雄監督でした……。これは結果的に自分にとって凄くよかったと思います。もし川尻監督だったら、緊張してのびのびと作れなかったでしょう。佐藤竜雄・吉松孝博コンビ様のおかげで、いろいろ心残りはあるけど、とても楽しくやれたTV『獣兵衛』でした。その間、制作N氏より借りた(今は貰った)佐藤竜雄原作・脚本・監督作品『学園戦記ムリョウ』(DVD全8巻)を初めて観ました。これは面白かったんです、本当。あまりに気に入った俺は、竜雄監督にこう言いました――
板垣「いやあー、『獣兵衛』やる前に『ムリョウ』観てたら、竜雄さんの事、尊敬してましたよ、きっと……」
竜雄監督「……………………何だ、そりゃあ〜」
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結局、その後『十兵衛ちゃん2』のコンテ・演出をやらせてもらい(この件は書きたい事がたくさんありますが、とにかく前進します。とりあえず、今回は“なぜマッドハウスでの監督に緊張してるのか”を書(描)ききらなきゃならないので……)、一度マッドハウスを去りました。そんで、ガイナックスで『この醜』、ゴンゾで『砂ぼ』『B・C』を終えて、一息ついていた頃、マッドハウスのMプロデューサーより、
Mプロデューサー「丸山が板垣君に会いたがってるので来てほしい」
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との電話があり、2年ぶりにマッドハウス(こんどは荻窪)に行き、大会議室で丸山正雄様から、ニコリと笑いこう言われました――
丸山様「君のやったヤツ(『BLACK CAT』)、観たよ。他のプロダクションならあれでいいんだろうけど、俺は気にくわねえんだぁ。……今回はマッドハウスの作品を作ってほしいんだよ……!」
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この一言です、緊張の原因は! ……頑張ります! 丸山さん!!
アレ? アニメの魅力話がどこかへ……? ――でもまあ、今回はキッチリ終わった……。