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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第106回
キャラデ3人衆の話(2)

 ま、前回のよーに吉松さん・そえたさん・いーだ兄さんを『バスカッシュ!』に誘った板垣。ところがよかれと思って誘ったのに一番うろたえたのが意外な事に河森さんだったんです。つまり――

「こんな大物3人揃えてどーやって振るつもり!?」



 と、南阿佐ヶ谷のジョ○サンに呼び出されて訊かれました。たぶん、河森さんの言ってた“キャラは何人かデザイナーを立てて……云々”は“メインデザイナー1人に新人・若手を1〜2人足してサブキャラを”って感じだったんでしょう。なのに俺が声をかけたのは各々一枚看板の大物ばかり。
 でも俺、ちっともうろたえず即答しました。

「まあ、メインを吉松さんで、その他をいきあたりバッタリにそえたさんと飯田さんに振ってけばいいでしょ〜」



「そんな適当で大丈夫?」

 まだ河森さんは不安そう。何がそんなに不安なのか分からなかった(今でも……)俺、続けました。

「河森さん、飯田さんとは『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の作監補で付き合った事ありますよね? あと吉松さんとそえたさんもメカデザインの河森さんとは仕事した事あるハズで。それなら今回の河森さんの原作って立ち位置を理解してくれるだろうし、なんつっても3人ともこんな若造の俺を馬鹿にする事なく真剣に付き合ってくれる兄さんばかりです。そえたさんも飯田さんも“なんだ、俺がメインじゃねーのか、板垣!?”って幼稚な怒り方はしませんよ。そのヘンは大丈夫、大丈夫!」

 って河森さんを説得(?)しました。そしてキャラ作りに入ったんです。
 いや〜、でも主人公・ダンでは吉松さんに苦労をかけましたあ、本当に。まずロマンさんの描いたキャラ原案をもとに板垣がもっとシンプルかつシャープにしたキャラ原案みたいなものをあげ(この時、俺の描いた画はのちにロマンさんをして「板垣サンノハ、線ガ少ナスギマシタネ(笑)」と評されました)、その両方を吉松さんに見せて

「コロコ○みたいに……(またかよ!)」

 と発注したら、これまた見事にコロコ○コミックであがってきて(あたりまえだ!)、俺はけっこう気に入ったんだけど、河森さんが「違う!」と言い……。



 で、さらに何稿か積んで、俺も河森さんも「これだ!」って言った主人公に、どこかの誰かから「髪型が『プロなんとか猿』と似てる!」と突っ込まれ、「『猿』は『あしたのジョー』と並ぶ俺のバイブルだ! 何が悪い!?」と怒りつつも、また直しのお願い。



 そしてやっと主人公・ダンが決定に至ったわけです。吉松さん、本当にお疲れ様でした!
 しかしまあ、キャラ作りは辛い事ばかりではありません。むしろ大半は楽しいモンです。



 ホント、毎週金曜日はとても楽しい『バスカッシュ!』の打ち合わせ!



(09.02.19)

 
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