web animation magazine WEBアニメスタイル

 
COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第107回
だんだん思い出してきた!

 今、『バスカッシュ!』のコンテ&コンテ・チェック作業が盛り上がってきたところです。それで思い出してきました。

『黒猫(=BLACK CAT)』感覚!

 つまり、ずっと前にも書いたとおり頭の中がドラマでいっぱいになってる感じの事です、自分にとって。順番に説明すると、前作『Devil May Cry』は、1話完結×全12本だったので、自前のコンテをチェックするのも自分以外の方がきってくれたコンテをチェックするのも比較的(あくまで比較的ね)ラクだったんです。だって、1話完結ものって各々1本1本に見せ場とオチがあればなんとかなる、ってーのは想像できるんじゃないですか? でも、連続ものとなると話は別です。そう、今回の『バスカッシュ!』――

 とっても元気な連続ものです

 その連続もののコンテ&コンテ・チェックの難しい事と言ったら、もう……。あれだけ何度も改稿していただいたシナリオがコンテ用紙の横に置かれた瞬間、

 シナリオどおりにキャラクターたちが動かなくなるんですよ!
 な、なぜか!?

 それは、シナリオライターの方々が悪いんでもなく、ましてや俺がわがまま監督なわけでもありません。たぶん、マンガ家さんたちが昔からよく言う「キャラが立つ」「キャラがひとり歩きする」ってヤツに似てると思うんですが、自分の経験上、フィルム(アニメも映画も)の方がもっともっと深刻に

 キャラクターは暴れまくります!

 凄く単純に言って、漫画と違ってフィルムは

 時間とともに次々とカット(画)が流れて(消えて)っちゃう

 からです。こんなの今さら言う事でもないかもしれませんが、例えばスポ根漫画で主人公がトンデモナイ必殺技を出した時、劇中のアナウンサーが吹き出しで「ああーっと、○○パンチだあ!!」とあるコマのまわりに主人公の関係者たちが驚いた表情のコマを配置すれば、一度にそのシーンすべてを終わらせるのは可能ですが、ことフィルムとなるとそーはいきません。なぜなら、

 漫画のコマ≠フィルムのカット

 だからです。時間とともに消えてゆくんです、カットは……。そう、フィルムには時間が流れている以上、当然

 画面に映ってないキャラも描く必要がある

 わけ。それを繰り返すと

 そのキャラが画面に映ってない時間+自分の想像=次のページのシナリオが使えない!

 になるんです。『バスカッシュ!』が今この状態に突入しつつ――いや、完全に出口の見えない迷路の中にすでにいます、俺。

 ヤバイ……本当にヤバイ!!

 だって、この後数時間後に演打ち(各話の演出様と打ち合わせ)が組まれているのに、まだその話数のコンテチェックが終わってないんですから!


 思えば『黒猫』の後半ったら、シナリオが2ページ目以降めくられる事なく120ページのコンテが上がる、ってのはよくありました。

 そんなセッパ詰まった状態で、よい原稿も書けるハズもないので短いけどこのあたりでカンベンしてください。来週は頑張りますから!



(09.02.26)

 
  ←BACK ↑PAGE TOP
 
   

編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.