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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第117回
『バスカッシュ!』
第1話・第2話

 いろいろありまして……。おかげさまで『バスカッシュ!』も5話くらいまで放映されました。

 『Devil〜』の時もそーでしたが、あまりこの連載でのネタバレを関係者から止められてるため、どーしても“各話の思い出話(?)”は放映後になってしまうんです。なので、今週から放映済み話数の話を書いていこうと思います。……あ、時々ね! 何回かごとに――で。


『バスカッシュ!』第1話「アイ・アム・レジェンド」

 ま、どんな作品でもとーぜんですがとにかく迷うでしょう、1話は。シナリオ(脚本)は佐藤竜雄さんでコンテは自分(つーか、1話〜5話までは全てそう!)。竜雄さんのシナリオ、可愛くて楽しくてよかったです。すごく安心してコンテにできるホンでした。

 安心できるホン!

 それはそのまま使えるか? じゃないんですよね。「このホンどおりやっても充分面白くなる」と思えた上で、なおかつ「このホンに何か+αしてコンテにしないと!」、そして「ホンに負けてなるものか!」って、いい意味で対抗意識を持てるシナリオ。竜雄さんのがそうでした。思えば『グレンラガン』の7話で初めて中島かずきさんのシナリオをコンテにした時も同様に感じました(『グレン』7話の時は自分のカラ回りで今石監督に大迷惑の5〜6分尺オーバーになってしまい……ゴメンナサイ!)。
 そんなわけで、竜雄さんの可愛らしいシナリオがあったればこそ、俺もコンテで“相思相愛ぃ〜?”とアドリブの台詞が出せたんですね。結果、結構シナリオから変わった部分はありますが、間違いなく『バスカッシュ!』の世界観に“佐藤竜雄の世界”を感じられるコンテにはできたとは思います。



 あと1話は三浦和也さんの演出処理も丁寧で、渡辺敦子さんの作監も素晴らしく可愛いくて、感激でした。渡辺さんは自分の『BLACK CAT』も手伝ってくれてたらしく、打ち合わせの際「板垣さんのコンテの絵、なつかしい」と言ってくれました。――また手伝ってほしいなあ……。


『バスカッシュ!』第2話「レジェンド・イズ・デッド」

 これはもう、1話と比べてはるかに竜雄さんのシナリオに沿ってます。「建物を壊さず宅配するには?」が問題になると“みんなで話し合い”になるあたりとか、すごく『(学園戦記)ムリョウ』で微笑ましかったです。
 それと2話のコンテ、カット数が少なかったのは意図的です。1話が総371カットに対し、2話は総263カット! 100カットも少ないです。『BLACK CAT』の1話と2話も同じでした。

 1本目でカット積んでみて、2本目は抑えてみる!

 つまり「この作品(今回の場合『バスカッシュ!』)は平均何カットでコンテきれるか?」を計るんです。もちろん、その回の内容にも左右される問題には違いないけど、

 監督のきるコンテはそのシリーズのマスターになる!

 というシリーズものの性質上“カット割るならこう!”、“長まわし(1カットを長く)するならこう!”と見本になる2本を作っておきたいという思いから、自分のシリーズはできるだけそーするんです。
 そーした2話を観た河森(正治)さんは

「えっ、これが260カット? もっとカット使ってるように見えた!
 1話よりも2話のバランスがいいと思うヨ」

 と言われて嬉しかったです。
 2話の演出は政木伸一さん。普段はコンテと演出を抱き合わせでやっておられる方で、監督も何本もやられてます。自分は以前、政木さん演出で原画を描いた事がある(『ヒヲウ戦記』第21話)って縁ですね〜。
 そして、この2話あたりから俺のコンテでスパンキーが膨らみ始めてきました。

 ……じゃ、また〜。



(09.05.07)

 
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