前回書ききれなかった事。それは、自分が原画描き始めた頃のテレコム(・アニメーションフィルム)って新人育成の面でみて理想的な環境だったって事なんです。なかなかないですよ、大塚さんみたいなキャリアのあるアニメーターがそのへん歩いてるスタジオって。よい意味で“アニメーターの老後”を見せてくださってます。正直、業界あげてアニメーターの将来ってどーなるのが理想なのでしょうか? アニメーターも人間。当然、
・30〜40代の頃より描ける量(カット数・原画枚数)は確実に減る
・キャラデザとかは流行り廃りなもので、いつまで仕事があるのやら
・……そもそも業界的にアニメの本数が減るのはしょーがない
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――わけです。ちなみにこれらは演出・監督もまったく同じ! でも当時のテレコムは自分も含めアニメーターは全員社員で、大塚さんがいるだけで不思議な安心感があったんです。やっぱり会社/スタジオは
・20代半ばまでは(20代いっぱい?)勉強の期間
・20代半ば〜40代いっぱいは仕事三昧。そして40代は仕事の合間に新人の育成も
・50代は後進の育成などをやりつつ、まだまだよい仕事を後輩に見せる
・60代〜70代は新人・後輩たちに悠々自適を見せつける
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――であるべきかと。特に“60代〜悠々自適”は結構重要なのに、実行できてるトコは少ないのが現実です。なぜか40代半ばまでに会社/スタジオから貢献を認められず、社員にも拘束にもなれなかったあたりから自然と自宅作業へとシフトしてゆくんですよ、アニメーターって(本来は上記のように、会社/スタジオの未来のために新人の面倒をみたりするからこそ、社員やら拘束してもらえるとゆーものなのに。だいたい、新人育成もやらず、自分のやりたい作品かたまたま気が向いた時のみに数カット手伝ってくださるだけのスーパーアニメーターの生活を会社/スタジオが30〜40年保証してくれるわけがありません)。だから、60〜70代の悠々自適アニメーターが闊歩するアニメ現場は貴重なんですよ。若いアニメーターたちに日々夢を与えてくださるんですから。
「この会社/スタジオについて行けば、将来ああなれるかも!」
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……と。ま、そんなに単純な人たちばかりじゃないとは思いますが、少なくとも板垣くらいは信じさせる力がありました。
そんで、大塚さんほどのキャリアの方になると、ただ単に闊歩するだけでなく、いろいろなアドバイスをしてくださいます。また憶えてる事をいくつか書こーか……
でした。7月20日は赤坂見附のスタジオ(名前は忘れたけど、以前『BLACK CAT』FANDISC全3巻の収録で訪れたトコ)にインターネットラジオのゲストで呼ばれて行ってきました。『Devil〜』のプロデューサーだった伊平崇耶様と里見哲朗様の
というヤツです。……よくルールは知りませんが、普段はジェネオンの川瀬様がパーソナリティなのでしょうか? とりあえず板垣がしゃべった相手は伊平&里見の『Devil〜』Pコンビ。以前にも飲み会の話でこのコラムに登場(俺が勝手に書いただけだけど)していただいたお2人ですが、相変わらず面白い方たちで、話すのが下手な俺は実に巧みにリードしてもらいました。
・(劇)『あしたのジョー』LD版の副音声コメンタリーの噛み合わなさ
・みんなで作ろう『プロゴルファー猿』の実写版!
・パソコン整えてメールをしよう!
・脚本とか原作とか、って一体何?
・板垣のワークスタイル〜仕事ください!
・あと、例の話
――などなど。
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どれだけ使われるやら(笑)。また遊びに行きます。
その時、携帯に阿部(恒)さんよりメールが届いたんです。
――と(これ演出じゃありません。リアルにこのタイミングだったのです!)。
アニメーターの老後の話を書いてた時にあまりにも残念な訃報でした。
金田さんと言えば業界人なら誰でも憧れる不世出の天才アニメーター。もちろん板垣も大好きなアニメーターでした。これは本当にアニメ業界の大損失!
謹んで深く深くご冥福をお祈りします。
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