『化物語』オープニング（真宵編）が無事放映されてホッと一息しています。今回の仕事は自分的にはかなり珍しい仕事でした。なぜか？　それは、


　からです。だいぶ前に書いたと思いますが、俺、自分の演出作品の場合、自ら原画は描かない主義でした。「でした」ってゆーのは、最近少し宗旨が変わった部分があったからでして。
　ま、今回に関しては、急に決まった仕事で原画マンの集まりが悪かったのも理由のひとつですが、それよりももっと単純な理由で、


　つまり今までみたく、ストイックに「演出、演出……」言って、人の描いた原画を修正してストレスを溜めるより、たとえ数カットとはいえ、「自分が描きたい！」って気持ちを素直に解放していった方が、フィルム全体にもよい影響を及ぼすのではないか？　と思い始めたんです。
　と言っても、この『化物語』オープニング（真宵編）で自分が担当したカットは全37カット中、


　の計11カットで、本当に動き回るカットは自分で描いてません。「真宵におまかせ！」〜迷子の真宵の手を引く真宵までの２カットはガイナックスの河野さん（巧かった！）、ダッシュから跳び箱跳んで、壊れてニッコリの４カットは田中さん（同じく巧し！）でした。そして、冒頭の腰を振ってニッコリまでの５カットは宮下雄次君、雨の中歩く真宵〜手を合わす真宵までの６カットは鈴木彩子さん。宮下君と鈴木さんの２人は自分と東デの同期以来10数年の友人（長い付き合いになったね〜）。で、作監は田中春香さん。田中さんとはガイナックスで知り合ってよくお喋りやＤＶＤの貸し借りはしましたが、演出・作監で組むのは初めて。本当に助かりましたよ！　その他、電話での作打ちでしたが不二さん、玉木さん、大梶さんもお疲れ様でした。あと、二原（清書）の方たちもありがとうございました。
　絵コンテ的には独特な演出の本編に対して、


　を心がけました。曲を聴いた時の第一印象がそーでしたから。よかったですね、この「帰り道」って曲。だいぶ以前にもココで書いたとおり、どんなに演出・作画がエバってもオープニングアニメって、


　この曲を選んだのは自分ですが、シャフトの久保田（光俊）様


　というわけだったので、案の定、コンテきるのも処理するのも原画を描くのもすべてが楽しい仕事でした。今の自分にちゅーちょなく“オープニングディレクター”の仕事を振ってくださった久保田Ｐには凄く感謝してます（『まほろ』『この醜』以来、自分の得意分野を憶えててくださった事も含めて……）。


　ところで、オープニングアニメーションといえば、前回ラストに訃報が飛び込んできた


　『（銀河旋風）ブライガー』のＯＰはあまりに有名で、今さら俺が何書いてもしょうがないのは分かってますが、やっぱ凄いモンは凄いし、20数年経った今観ても超絶カッコイイでしょ！　少なくとも自分にとってアニメのオープニングが単なる本編の付加価値ではなく、「ひとつの作品として独立したファンを獲得できる」という可能性を見せてくれた偉大なアニメーター……それが金田さんでした。と言っても、「金田伊功」という名前を知ったのは結構遅く、東デに入ってからで、その時知り合った、金田狂の友人からスリ込まれたんです、実際のトコロ。


　だから『ブライガー』のＯＰを観たのも20歳でアニメ業界入ってからビデオレンタルで借りて……が初めてだったわけで、27歳でフリーの演出になった頃は、すでに一緒にお仕事した小林治さんが俺のレイアウトを見た際、


　と言われても仕方ないくらい、自他共に認める、にわか金田ファンでした。そりゃあ、テレコムで原画描き始めたばかりの時（22〜23歳）、その影響は顕著だったハズ。師匠の友永（和秀）さんはなんとなく気づいてたんじゃないでしょーか、俺の原画見てて。それが証拠に、自分がまだ友永さんについてた時、


　と、金田さんがテレコムに遊びに来た際、すぐ声をかけてくださったんですから。その時の事書こーと思ったら時間切れ。また次週！

---

追記／『化物語』のＯＰの次の仕事、『To LOVEる』ＯＶＡの原画少〜し取りました。特にスペシャルな依頼ではなく、普通に「原画やってもらえませんか？」の電話に普通の単価で普通のシーンを数カット……。矢吹作品に原画で参加するのも悪くないか〜と。個人的“友情原画”？
　それと同時に年明け発売のＯＶＡ扱いの単発もの（25分）のコンテ・演出・監督。タイトルはまだ明かせませんが、原画も少し描こうかと思います。あとこれも年明け放映開始のシリーズのＥＤアニメのコンテ・演出・少し原画。――頑張ります！