（前回の続き）


　金田（伊功）さんがテレコムに遊びに（……というより友永さんに会いに？）きた際、友永さんは俺に声をかけました。そりゃもう当時23歳の新人原画マンだった板垣はドギマギでしたから！




　初めて見た金田さんはカッコよく優しい穏やかな方でハチャメチャ緊張してた俺に、




　と、傍らにかけてあったテンプレート（円定規）を見てキサクに話しかけてくださいました。金田さんの原画は定規とテンプレートで描かれているというのはファンならずとも周知の事実。ゆえにこの時テンプレートを見て、「いいモン持ってる〜」は嬉しい一言でした（笑）。

　次の金田さんはたしかアニドウの小松原一男さんの追悼上映会（イベントの正式名称は忘れました、スミマセン）だったように思います。そのイベントは金田さんと直接お話ししたというより、友永さんのムチャ振りの方が記憶に残ってますから、金田さんの話からは少し逸れるかも。
　それは小松原作品の上映の間に組まれたトークショーでした。舞台にはアニドウのなみき（たかし）さんと友永さん、そして金田さんがビールを飲みながらの楽しいお喋り……。


　と、トークショーの間に観客席の中にいた俺を見つけて話題を振ってきたんです。もちろん、友永さんに「観に行きますよ！」とか言ってなかったわけで。本当にビックリしましたが答えましたよ。



　ま、このトークショーの時は金田さんと話す時間はなかったんですが、終わった後、友永さんからギャラリーに呼ばれて、また金田さんと楽しくお話しさせていただきました。話題はもちろん小松原作画のカッコよさについてでした。

　一番忘れられない金田さんはやっぱり飲み会で。これもアニドウのイベントに観客として行ったヤツ。たしか、アニドウ制作のオリジナルアニメの完成上映会だったと思いますが……ゴメンナサイ、タイトル忘れましたが、監督が片渕須直さん、キャラ（作画？）が南家こうじさんの短編だったように思います。よくできてました、綺麗で！（編集部注：『この星の上に』1998年）
　そして上映後、偶然客席で友永さんと金田さんに遭って、流れで飲み会に誘っていただいたんです。その時のメンツはかなーり豪華でしたよ。なにせ友永さん、金田さんに加えて、大ベテランの野田卓雄さん、片渕須直監督……遅れてなみきさんと（アニドウアニメの）主題歌を歌ったアイドルさん（す、スミマセン、名前忘れました）。



　だって、友永さんと金田さんに挟まってお酒飲めたんですから、喋りまくりました、そりゃあもう。自分が知る限りの、昭和名作アニメ知識を総動員して！　友永さんとはテレコムの飲み会で何度も御一緒させていただきましたが、金田さんと飲んだのはその時が最初……で、残念ながら最後でした。何より忘れられないのが、まわりの人たちに対する気配り。例えば自分が話す、


　――な究極クダラナイ話にも本気で応えてくれた上、話題が一区切りつくたび、話の輪に入ってこれなかった人や全然喋ってないで寂しそうにしてる人に、すかさず話を振って場を盛り上げるんです。


　それから時は経って数年後、ガイナックスで金田さんに会いました。金田さんがきったコンテを今石（洋之）さんが全部原画の「武蔵伝II　ブレイドマスター」ＯＰの打ち合わせでガイナックスを訪れた際に。でも、さすがに数年前に一度飲んだだけの新人（当時）を顔まで憶えてるわけもなく、




　と言われました。そりゃ、そーですよね、何年も経ったんだし。

　でも、つい最近、あの時金田さんが、「憶えていなかった」理由がなんとなく分かりました。それは自分がマッドハウスで『Devil〜』を終えて、次のをやる、やらないの話をしてた頃だったと思います。野田さん――そう、あの飲み会にいた野田卓雄さんです！――と自分の席とがやや近めで、キャラデの阿部（恒）さんもまじえてちょくちょく雑談したりしたんですが、自分も思い出したようにあの時の飲み会の話題をして、


　と尋ねたら、


　と言って御自分の席（机）へ行って１枚の写真を持って戻ってきたんです！


　で、その写真を見て阿部さんと野田さんが大笑いした……というオチでした、以下が……。