アニメーター・板垣伸の思い出の作品(原画編)
その(1)テレコムのいわゆる合作
(と言えば聞こえはいいが、ただの海外からの下請け)
『スーパーマン』や『バットマン』『アニマニアクス』など。よくも悪くも自分の原画のルーツですね〜。制作期間や放映日、参加した話数・本数などはもう忘れましたが、国内アニメと違って枚数は使いたい放題で、師匠は友永和秀様(最初の1ヶ月は田中敦子様)。本当に勉強になりました。俺みたいな凡人が今日までアニメで食ってこられたのは、このテレコム期を抜きに語れません。
最近、ガイナックスの新人さんに原画の指導――てほど大した事は教えてないか――“原画のコツ”などを何とか理屈で説明できるのも“テレコム合作”+“友永様の指導”の賜物だと思ってます。
その(2)『モンスターファーム』(1999〜2000/制作・東京ムービー)
東京ムービー(トムス・エンタテインメント)からテレコムがグロス請け。たしか、テレコムで2班設けてたはずです……。話の内容とかは憶えてないのですが、俺的に初めて“3回PAN”を描けて喜んでた記憶があります。
つまり、東映派のテレコムでは“3回PAN”や“止めハーモニー”などの出崎テクニック的演出は皆無だったため、横長の大判を描いてレイアウトに“PAN×3回”と書いた瞬間――
――と思ったものです。
その(3)『機巧奇傅ヒヲウ戦記』(2000〜2001/制作・ボンズ)
当時としては珍しくボンズ→テレコムの下請け。たしか、20話と21話を作画のみのグロスでやってたんじゃないでしょうか? 逢坂(浩司)さんのキャラが大好きで楽しく原画を描いたのですが、完成したフィルム、まったく観ていません!(誰か貸して……)
その(4)『犬夜叉』(2000〜2004/制作・サンライズ)
今度はサンライズ→テレコムの下請け。これはもしかするとテレコム在籍中、“一番楽しんだ原画”かも……です。なので、参加話数とそのシーンも明確に憶えています。まず、第9話“カップラーメン食ってるトコから七宝登場まで”のシーン。とにかく、
と散々言われて、
とOAをチェックしてみたら、オープニングの七宝に比べて自分の描いた七宝は“二頭身”しかありませんでした。……スミマセンす〜。
次が第16話“弥勒と犬夜叉のチャンバラ”シーン。これがメチャクチャ楽しかったんですが、作監さんにタイミング変えられててゲンナリ。でも絵はかなり残ってると思います。んで、最後が第22話“ラスト、かごめが火の玉みたいなのを追っかけて坂を転がるシーン。実はこれがテレコムでの最後の仕事だったので、結構感慨深く6年と10ヶ月のいろいろな思い出が走馬灯のように駆け抜ける中、大好きなかごめちゃんを嬉々として描きました。「タイミングがいろいろと速かった!」と反省しています……。
その(5)『はじめの一歩』(2000〜2002/制作・マッドハウス)
テレコム辞めて初めて取ったフリーとしての原画で、これも話数・本数は忘れましたが、“間柴戦”や“鷹村VS熊”“千堂戦”……あと“アダルト・ビデオのシーン”でせっかくAV女優の腰を動かす原画を描いたのに、OAチェックしたら、何と止められてた(あたりまえだ!)事を思い出します。ボクシング・シーンの原画は大いに楽しんで描きました。
その(6)『アベノ橋魔法☆商店街』(2002/制作・マッドハウス、ガイナックス)
初めてのガイナックス作品です。最終話以外のガイナックス話数(1、3、7、12話)に参加。自分より少し前にテレコムを辞めてた後輩の柴田(由香)さんの紹介だったと思います。
第1話はたしか、タイトル前“サッシの放水”のあたり……亀の湯跡地のシーンです。平松(禎史)さんのレイアウト修正はお勉強さまでした。やっぱ、スーパーアニメーターですね、平松さん!
何より1話は、自分、右手を骨折してて、原画作業が大変だった事に尽きます。
……こんな不穏な状態で作打ちに行きました。
第3話は前にも話題にした“宇宙に向かって放尿”シーンです。この第3話は今石(洋之)さんの代表作にして最高傑作!(今のところ……)
第7話は再び平松さん話数。柴田さんの後のシーン、大工道具をバラまくあたり……。平松さんからは「派手に動くところ、ここしかないんで」と、楽しくやりました。
第12話冒頭(前回までのあらすじ後)の“アルミ&サッシの全セル”シーンです。キャラ表すら見ずに描いたため、3話よりタチが悪く頭がデカすぎで、やっぱ2頭身でした。……ゴメンナサイ。