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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第154回
メイキング・オブ・
『戦国BASARA』#13
(後編)

 (前回のつづき)コンテを終えて仕事場は国分寺・プロダクションI.G第6スタジオへ。前にも説明したとおり、現在絶賛放映中の『君に届け』を制作中の現場です。自分から見たI.G6スタは

凄く品のある優しいトコ

 でした。今回、イレギュラーな「1本きりの俺」をちゃんと監督として迎え入れてくれたんですから。制作の人たちだけでなく作画や色彩設計な方々まで本当にいろいろお世話になりました。
 まず最初に打ち合わせしたのは前回ラストでお話しした巨大要塞・富嶽デザイン――“世界の”竹内敦志。押井作品を支えるとてつもない巨匠に自分のコンテとイメージのラフを基に説明したんです。やけに緊張して打ち合わせに臨んだ板垣にとても優しく――やっぱり上品な空気の方で、5〜10分、あっという間に楽しくお話できるようになりました。


で、打ち合わせの6〜7割は押井守作品の話!



 作画では、キャラデ・総作監の大久保徹様(なにしろ速くて巧し!)をはじめ千葉崇明様(頼りになるアニキ)、山本美佳様(スゲェ濃い画が好き!)、浅野恭司様(なんとなくパトラッシュ似……)と最強の作監陣。さらに浅野さんは冒頭(アバン部分)の、崖っぷちに超カッコよく立つ長曾我部に波ザッパーン! のシーン、大久保さんはラスト付近の、富嶽の甲板上でかすがと慶次の会話シーンから(エンディングを跨いで)、安土城前で止まる幸村と正宗までのシーン……と作監陣自ら原画も担当していただけました。特に千葉さんは、矢が刺さる慶次から、相当数の長曾我部軍VS毛利軍の合戦シーンを担当した上、板垣パートの二原(清書)まで本当に大活躍でした。ちなみに千葉さんの前のシーン、叫ぶ慶次から矢をかわしてジャンプ! までは、板垣敦様。板垣と同姓なんで誤解される方もおられるかと思いますが、兄弟でも親戚でもありません。ただ、東デの後輩ではあり、以前学校に遊びに行った際2回ほど会ってはいました。『グレンラガン』の原画でも自分と一緒の話数に入ってた事もあってか、今回の作打ちの時「いずれはこの時が来るとは思ってましたよ」的な空気がお互いの間に漂ってたのは事実。カッコよかった! そして、千葉さんの後、利家&まつのアクションから、水中で慶次の縄を噛み切る夢吉、ぶっ飛ばされる長曾我部と兵たちあたりを、芳垣祐介様……毎度本当に助かります! で、芳垣さんに続いて、その飛ばされた長曾我部に迫る毛利から、長曾我部VS毛利の水上チャンバラ! を俺がラフ原描きました。

やっぱり原画は楽しい!!

 あれ、アクション中、原作ゲームの技を作画でいくつかやってるんです。『Devil May Cry』の時は、アニメはサイド・ストーリーにしてほしいと委員会サイドから言われてたため、OP以外は原作ゲームのネタは使えなかったぶん、『戦国BASARA』では原作から、技だけではなく、まつの料理(人面カブ)も板垣のアドリブで拾って楽しみました。
 あ、そうそう、大久保さんのシーンの後、富嶽の巨大大砲の連続発砲から、最後の「前田慶次……まかり通る!!」までも板垣のラフ原です。ほか、弓を射る弓兵や、慶次が縄を引きチギッて転ぶあたりをやってくれたのは、自分と『ミチコとハッチン』でコンビを組んだ長谷川ひとみ様。女性アニメーターらしい柔らかい芝居がよかったです。
 レイアウトもよかった! 作監補をやってくださった矢萩利幸様にも助けられました。色彩設計の広瀬いづみ様も『ミチコとハッチン』以来またお世話になり、撮影はこれまた『Devil May Cry』もやってくださったレアトリックの方々。美術の美峰さんも「富嶽」お手数おかけしました。コンテの追っかけ(ぶっちゃけ催促)兼設定制作兼制作進行の川島正弘様、制作デスク・佐藤恵様……そして制作プロデューサー・中武哲也様――

皆様、お疲れさまでした!!
これに懲りず、またお仕事ください

 追記。エンディングのDAIGO☆STARDUSTは、自分が入った際には使う事が決まっていた曲ですが、最後に流れると何となく映画っぽくてよかったです。残念なのはTVシリーズのオープニングテーマ「JAP」が本編尺の問題で入れられなかった事です。俺、あの曲大好きだったので……。

あ、そろそろ自分がやった『はなまる幼稚園』が――



(10.01.28)

 
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