連載コラム内短期連載! 板垣的・『Devil May Cry』情報 #03
『Devil〜』第2話は、とにかく色々ありました。まず、シナリオが自分のテンポでコンテをきると、やや短くてストレートな内容だったので構成をイジってしまい“全ての黒幕はレディでした!”というコンテを提出しました。それに対して丸山(正雄)様は、
……と。そこで一考した第2稿は“バイクと兄弟愛! そして父親の陰謀!! ”の話に化けていました。そうしたら今度はこんな口論――。
丸山様「考えすぎなんだよ。もっと単純にドラマを転がしてくれ〜」
板垣「いや、これそんなに単純にしたら、2〜3分は尺足らずになります!」
丸山様「じゃ最後に弟が“デビル メイ クライ”に来た後、モリソンが次の仕事を持ってくるシーンを足してもいい!」
板垣「そんなの絶対イヤ! ラストシーンで2人の人物が入退場をくり返すなんて、ダサイですよ。足すのなら冒頭、“レディの初登場・悪魔退治”にしましょう!」
丸山様「うん、それでいいよ」
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――で、この間放送された完成型になりました。ダイナミックなバカアクションが欲しくて鉄橋をブッ壊したのは、コンテ時のアドリブです。自分はよくシナリオにないシーンをコンテ時足してしまいます。第1話で言うと、オペラ座の描きわり(絵)が落ちてくるシーン〜影絵までの件とか……(作品は違いますが『グレン』の第7話でも“ダイガンザンに乗っかったグレン”〜“チミルフが怒ってビンタする”までの間に、“カミナがドリルでダイガンザンにウンコのラクガキをする”シーンを描いたのですが、監督のコンテチェックでバッサリ切られました。クールだぜ、今石監督! あ、そう言えば『キャプ翼』の時、早苗ちゃんのシャワーシーンとかも杉井さんにバッサリでした……)。
あと、この第2話の演出・川村(賢一)様とはこまかい仕事を何度か御一緒させていただいて、自分がテレコム辞めてすぐに原画を描いた『はじめの一歩』第27話でコンテ・演出をやってたのが川村様でした。その後、『獣兵衛』TVシリーズで、自分が第3話コンテ・演出と、第11話のコンテのみ終わらせた後、続けて原画で参加した第12話で演出をやられていたのも川村様。しかも、この時の作監・菊池(聡延)様も今回第2話で作監! 縁ですね!
だから、俺みたいなどこの馬のホネとも分からないアニメーターが、今度は監督としてマッドハウスに呼ばれた時、“助監督として手伝ってもいい”と言ってくださった川村様には本当に感謝しています。もう一息、お付き合いください!
そして、この第2話から正規のオープニングをつけました。今回のオープニングにおける自分のテーマのひとつは“ゲーム性”! つまり、“ダンテの日常”がテーマのシリーズ本編では描けなかった“魔界での激闘!”がそれです。新宿のCAPCOM東京支社に
と足を運び話をつけてコンテをきりました。CAPCOMの小林様に感謝です。
もうひとつのテーマは“歩く男の背中”。歩きの原画を描いてくださった江面様には
「劇場『999』での友永ハーロックのように、1歩1歩重心をかけた歩き!
1歩1秒半でお願いします」
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と打ち合わせしました。ダンテは歩くだけで充分カッコ良いと思い、rungran様のメインテーマを聴いた時、真っ先に思い浮かんだ絵が“背中を向けて歩くダンテの斜めアングル”だったんです。ちなみにメインテーマ曲の発注の際、自分が出したオーダーは、
「熱く、男らしく、荒々しく……そして、なぜか“やんちゃ”な感じ。それでいて、男だけでなく女の人が聴いても“カッコイイ!”と思えて、インスト(ボーカルなし)でも、口ずさむ事ができるわかりやすいメロディーで! さらに全体を通して“緩急”&“抑揚”ください」
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――でした。……いい曲に仕上げていただけましたよね〜(売れますように!)。
ホント、いくら天才アニメーターが代表作に“『○○○○』のオープニング”とか挙げてエバッても、やっぱり、
オープニング・エンディングアニメの
手柄の半分以上は“曲・主題歌”!!
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ですよ。と言うか、逆に、
が良いオープニング・エンディングを作るポイントではないかと思います。杉井ギサブロー監督の『タッチ』などのオープニング・エンディングがことごとく秀逸なのは曲に対して絵が挑戦的でなく、むしろ――
を心がけているからではないでしょうか?
……自分は、そこまで上手くできないかもしれませんが、自分のオープニング・エンディングアニメの目標は杉井ギサブロー様です!
と言うわけで、
『Devil May Cry』#03 Not Love
(脚本/森橋ビンゴ コンテ/板垣伸 演出/中山堅 作画監督/浦和文子)
6月28日(木)23:00〜 WOWOW スクランブル枠にて放送!
……今回はラブ・ストーリーです。