そんなこんなで、早くも4クール目突入のこの連載。タイトルロゴもまた変えました(ロゴ、1クールごとに変えてます……。誰も興味ねーって?)。まあ、細々と続けられる限りダラダラ書(描)いていきますんで、何とぞよろしくお願いします。
……で、A4の白紙に向かって思いつくまま、正にいきあたりバッタリに書(描)いてるコラムなので、ふと気づけば“適当に立ち上げては投げっぱなしのシリーズ”がいくつかありました……(汗)。思い出したので、今回はコレから……
板垣的・黒猫制作秘話(4)
この間、久々に『BLACK CAT(以下・黒猫)』キャラデの秋山由樹子様に電話したら、元気そうに“次の作品のキャラデ・総作監をやってます!”との事……。良かったですね〜。嬉しい話です。何せ『黒猫』のキャラデ・総作監をお願いした時の秋山様は、“遂に私の出番ね!”とか“ようし! 一発カマしてやるわ!”っていう若手アニメーターにありがちな自信満々な態度はみじんもなく、ただただ不安がってたところへ俺とか制作Pの小島様が、
「大丈夫、大丈夫! 秋山さんならできるよ!」 「総作監が大変だったら、フォローしてくれる人を探すから、お願い!」
|
とか言いまくって、かなり強引にやってもらったんですから……。もし彼女が、“『黒猫』なんてやるんじゃなかった! キャラデなんて二度とゴメンよ!”て思ってたらヤだなぁ〜と思ってました。だから、また“キャラデ・総作監やってる”という報告は嬉しかったんです。
秋山様だけではありません。『黒猫』は自分も含め、“初”づくしだったのです。
自分も実質初監督(『砂ぼうず』は稲っちとの共同だったので……)。トレイン役の近藤隆様も初主役(だったよね……?)。元テレコムの先輩・蘇武裕子様も共同とはいえ総作監は初めてでしょう(第11話以降の奇数話が蘇武総作監です)。各話単位でも初演出や初作監……特に第20話は初めてコンビ!“演出やりたい!”と即答した設定制作の高橋正典様が初演出。それまではアクション・シーンの原画を一手に引き受けてくださってた三輪和宏様には、
「『黒猫』全24話の中で“伝説話数”を作らないかっ!?」
|
――と説得して初作監をお願いしました(vol.10のオーディオ・コメンタリー参照)。
そして何より、原作者・矢吹健太朗先生も初アニメ化で、毎週楽しく本読みに来て協力していただけました。
技術面で見れば、……これまた自分も含めてですが、とても超一流のクリエイターばかりとは言えませんが、現場の楽しさ・充実度は他のどの作品にも引けを取らないものだったと自負しています。それはつまり――“成長する現場”だったとでも言いますか……?
集団でひとつの作品を作る事が宿命のアニメ制作現場では、監督やキャラデがより良い作品を作ろうと思うあまり“未熟なスタッフを外す”事で技術的に良い作品を作ろうとしている現場――“切り捨てる現場”になりがちです。かつて自分も各話演出だった頃、メイン・スタッフによる“予算に見合わない歪んだクオリティへの要求”により、まさにその切り捨てられる側になってしまい、離れざるをえなかったシリーズがありました。そん時は本当に悔しかったです。悔しくて悔しくて――
――三日三晩飲み明かした……って程ベロベロに酔っぱらって、友達に電話しまくりましたよ。本当に迷惑かけたじゃないですか、その電話相手、H井さんやM下君には……!(ゴメンナサイ……)
なので、自分が監督として現場を仕切るなら、多少未熟なスタッフも仲間に入れて少々クオリティが下がっても、
今まで原画だった人は作監になれる! ……制作だった人は演出に……!
そして、演出・作監だった人は監督・キャラデに成長できる作品
|
を作りたいと思ったんです。とにかく楽しい現場を……と。
秋山様のキャラデに出したオーダーも“楽しく・元気……ついでに華やかに!”って感じで“矢吹先生の絵を表面上マネるより、芯にある「明るく元気」の部分こそをマネてほしい。そうすれば見た目が少々原作と違っていようとも同じ方向には向かうハズだから……”と言いました。――つまり『黒猫』の時の俺は注文は全てのスタッフに対して万事こんな感じ……。
そんな感じの楽しくおおらかな現場でのシリーズ後半、色彩設計・村田恵理子様などは――
――少々、手強くなってました……(また一緒に仕事してください、村田様!)。