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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第61回
ゴーダム イコール ゴワッパー
(一部黒猫制作話(5))


 板垣は“ロボットアニメ”が苦手です……。

 苦手……。そう、ダメ。俗に言う“ファースト『ガ○ダム』”ですら。だって、そのアニメの世界でしか通用しない地名や用語の嵐で、現実世界で日常生活を送る時、知識として頭に入れておかなければならない事ってたくさんあるのに、そんな“架空の物語楽しむため”にその架空の地名や人名、造語を憶える事をアニメに強要されたくないじゃないですか。
 そして必ずといってよいほど勃発する“少年たちが犠牲者になる戦争”。しかもロボットというオモチャに乗ってやる戦争です。本当に“リアル”ロボットなんてあるのでしょうか?

 とーとつですが 黒猫制作話(5)

 そんな“ロボットアニメ”を茶化したネタが『BLACK CAT』第7話に入ってます。傷ついた主人公・トレインがジっと見てるTVアニメで“戦士A”と“戦士B”がしゃべってる台詞がそれで、もちろん、コンテ時板垣のアドリブです。その時の演出さんにも、

 「考えたくないくらい“ダサい”ロボット、おまかせします!」

 と言ったので、ロボデザインもかなりヤバいものに上がって、上機嫌・ノリノリで前話数(第6話)のアフレコに行くと、音響監督の三間様に突っ込まれました。

 三間様「来週のヤツだけどさあ、戦士Aと戦士Bはどーゆー関係なの?」
 板垣 「……適当です」
 三間様「連邦軍って何?」
 板垣 「……適当です」
 三間様「……あまり深く考えなくていいの?」
 板垣 「……はい。そーしていただけるととても助かります(汗)」
 三間様「いや、けっこう重要なシーンかと思って『(創聖の)アクエリオン』の主人公役呼んだんだけど……」
 板垣 「え……?」

 ――って、単に自分の“ロボットアニメ”観をダダ流しに語っただけのハズが、三間様のおかげでとても豪華なシーンになって嬉しい限りでした。ありがとうございました、テクノサウンド様!

 まあ、そんな『黒猫』第7話なわけで、毎週本気で“この先どーなるの?”と楽しみにする事ができないんです(『グレンラガン』ですら、いまだに9話以降見ていないという、グレン団の風上にも置けない俺……)。

 アレ? まてよ。俺、子供の頃はロボットアニメ大好きだったよな?
 ――そうだ、“タツノコ”だ!!

 俺たぶんタツノコプロのロボットアニメは子供の頃そーとー好きでした! 何しろ、さっき説明した、大人が見る“リアルロボット戦争アニメ”でなく、あくまで“オモチャに乗り込みたい子供のアニメ”を貫いた感じがよいのではないかと……。
 で――

 『ゴワッパー5 ゴーダム』です!

 コラム第23回のアニメ様のおかげで全話見る事ができました。ありがとう、アニメ様! というわけで、“岬洋子”ですよ、『ゴーダム』は!!

 『ゴワッパー5 ゴーダム』(1976.4.4〜12.29)

 製作/吉田竜夫
 企画/鳥海尽三、酒井あきよし
 原作/タツノコプロ企画室
 キャラクターデザイン/天野嘉孝
 音楽/ボブ佐久間
 総監督/鳥海永行

 これ、俺が2歳の時なんですね。……たぶん記憶に残ってるのは再放送かと思われます。子供の頃の視点では

 「ゴーダム、カッコイイーっ!!」

 だったのが、今見ると、

 「岬洋子はひょっとしたら、けっこうイイのでは……!?」

 に変わってる自分に驚いてます。いや、ゴーダムは今見ても充分ダンゴッ鼻で可愛くてカッコイイんですよ。でも岬洋子の可愛さ、カッコよさはゴーダム以上でしょう!
 だいたいリアルタイムでは2歳の俺が当時の世の中憶えてるわけないけど、1976年のロボットアニメの主人公が女の子というのは、かなり斬新だったのではないでしょーか?
 話はまたポォーンと飛びますが、今はまだ公にできない次の自分の監督作品は“やや”ロボットものなんです。その最初の頃の打ち合わせで『砂ぼ』『黒猫』『Devil〜』と男主人公に飽き気味の俺が、「主人公を女の子にしたい!」と進言すると、原作者の方(今はまだ公表できないけど、皆様よおく御存知の天才)に、

 「ロボットもので女の子を主人公にしちゃうと客層(ターゲット)が変わるから止めた方がイイ!」

 と言われて思い出したんです、幼少期に感じた『ゴーダム』の違和感がコレだ! と。確かに“男の子”にとって、ロボットに乗る主人公が女の子って戸惑ったのです。口にしたくないくらい単純な言い方すると、感情移入ができないんですよね、男の子は女の子に……。

 そんな当然な道理が『ゴーダム』のスタッフは分かっていなかったのでしょうか?
 ……いや! 分かっていたハズです!(確信)

 だって今見ると、色で言う青担当の、津波豪君がちゃんと岬洋子を“女の子”として丁寧に扱ってる感がしっかりあるんですよ。なんか、こう……

 「“好きな女”のわがままだから聞いてやってるんだ」

 ……って感じ? つまり、小林亜星の曲にリードされて、荒々しい“タタキ”だらけの波の中からザザーン! と飛び出してくる“ゴーダム”のロゴから始まって、昔良き時代のややデタラメ気味の元気作画で洋子を先頭に団地から駆けてきて、洋子を先頭にズラズラ並ぶゴワッパー達。そして聴いた者全てを無条件にアニメの世界に叩き込む水木(一郎)兄ィの歌声をバックに洋子のボウシのガイコツ(?)印からグワーンとダイナミックに作画T・BしたOPのラストカットだけ、豪君がド真中でポーズをキメてる理由が、大人になった今なんとなく分かった気がしたというわけです。ゴワッパーって何? と言えば、「ただただムリヤリ特訓をつんだ」だけの子供達だし、敵のネンドロイドは、人間に化けると砂がパラパラ落ちる上、案の定、水が弱点だったりするほど子供に分かりやすい設定、子供のためのロボットアニメ『ゴワッパー5 ゴーダム』ですが、その根底には

 女の子に手柄を譲る事ができる本物の男になってほしい!

 っていう、大人の願いが込められてるように思えてなりません。




 そしてさらに、



 「小学6年生の少年から見た中学3年生のおネエさん……」




 タツノコプロ様!
 『ゴワッパー5 ゴーダム』リメイクの際は
 “板垣伸”をお忘れなくっ!!






 他にタツノコは、『Gライタン』も大好き! DVD-BOX(1)は買ったけど、(2)が見つかってません……。

[DVD情報]
「ゴワッパー5ゴーダム COMPLETE DVD-BOX」
XT-2420〜2425/カラー/886分/全36話収録/6枚組/
ドルビーデジタル/モノラル/片面2層/スタンダード
価格:17640(税込)円 (税込)
発売中
発売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
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(08.04.03)

 
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