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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第66回
『砂ぼうず』と
副監督・板垣(2)

 (前回からの続き)

 今さらですが、前々回(第64回)のラスト。なぜ『グレン』MCの話を書いてたら思い出したのが『砂ぼ』かというと、オープニングです、オープニング。前々回一瞬話題にした、本編のカミナと違う角度から自分なりのカミナを描こうとして断念した云々の件、『砂ぼ』の後半オープニングのコンテ・演出がまさにそれでしたって事なんです。
 いきなり余談っぽい話ですが、順番って事で前半OPの話から。前半OPは

 実写!

 で話題になりました。え? 話題になってない!? ……ま、なったつもりで以下を読んでください。あれはまず、稲っち(監督・稲垣隆行)と板垣と吉松(孝博)さんのこんな会話から生まれたと記憶してます。

 稲っち「(照れ笑い浮かべつつ)OPの背景さ、実写の砂漠使いたいんだよね」
 板垣「ああ、いーんじゃない! でも、背景だけ実写じゃ面白くないから、コス○゜で作った砂ぼうずのコスチュームあるでしょ。あれ使って、全部実写でやったらあ?」
 稲っち「……それいいね!」
 吉松さん「だったら、エフェクトこそ作画だよねっ!(笑)」


 ま、そんな感じで、監督だしOP、EDのコンテ・演出は稲っちという事でした。実写の撮影シーンなどはDVDの特典映像に収録されてるのでそちらを見てください。
 ところが、そーしてできあがった『砂ぼ』OPは自分が見たかった実写OPではなかった! ……というのが正直なとこでした。いや、あれがダメダメだってんじゃないですよ! ただ、俺の中の『砂ぼ』はああいうオサレOPな世界ではありませんでした。俺と吉松さんで話してたのは、

 「アニメ・オープニングのお決まり、走って、まわり込んで、髪なびく! を実写で撮るとこんなにダサイ! ってのが作れたらいいよねっ!」

 でした。まあ、でも今思うと、レール敷いたり、大きな扇風機使ったりで難しかったかもしれませんが……。でも、当時はそーとー不満だらけで、

 「後半OPは俺がやる!」

 と言って作ったのが、「原作漫画の切り貼りとそれまでの本編映像の使いまわしかい!」とか言われた後半OPだったというわけです。
 でも、この後半OP作る頃には「アンチ前半OP」だけでなく、本編最終話に対しての想いも乗っかってました。その時点でラストは「灌太と太湖の別れ」になるというのは決まってたんですが、俺としては砂ぼうず(灌太)をもっとボロボロにしたかったんです。つまり、

 「この裏切り者!」と太湖たち皆に石を投げられてボロボロにされ、頭から血ダラダラ流しても振り返る事なく敵のロボット兵の方へ歩いてゆき、
 ラスト、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる砂ぼうず!

 にしたかったわけ……ね? 後半OPのラストって皆から砲撃を受けて「ニヤリ!」で終わるでしょ? あれは板垣版のラストの顔のつもりでした(ちなみにあのラストの砂ぼうずニヤリのカットは自分が原画描きました。たしか、吉松修正ものってなかったせいもあり、GONZOの川原P様から「板垣本人にソックリ」と言われたりも……)。
 あと補足しときますが、あの色のついていない原作の画――実は原作の画の切り貼りなどではなく、完全新作! です。一部原作の表情をそのまま使った部分もありますが、表現上の問題(○絞め)や画質の荒れ(スクリーントーンが画面に映るとモアレが起きる)などの理由で新作にせざるをえませんでした、


 というわけで、勢いにまかせて一方的に誰も興味ないであろう「いまさら『砂ぼ』?」な話を2週に渡って書いてしまいましたが、最後に総括。

 凄く無責任に楽しい仕事でした。誘ってくれた吉松さんや稲っちには本当、感謝してます。ありがとうございました!
 でもこの作品の手柄は、アニメスタッフというよりは、うすね正俊先生の原作の面白さですね、やっぱり。だって、原作自体個性的なんだもん。ぶっちゃけ、誰が作ってもちょっと変わった作品にはなりますよ〜。
 そして、その“変な”「砂ぼ」をアニメにしよう! と動いたGONZO川原Pにはマジ脱帽です(あ、あと実は、サブタイトルの筆文字は全24話分書道五段の板垣が書いたものでした)。

 で、次は何書こーかなあ〜。……そうそう、お芝居! ほんっっっと久しぶりに芝居を見てきました!! 『BLACKCAT』の時は行けなかったので遂にです、ハイ。



(08.05.08)

 
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