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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第74回
板垣的アニメ雑記(7)
小田部先生の授業(その1)

 (前回からの続きであるよーな、ないよーな……)

 俺、純粋なアニメ好きとは誰とでも友達になりたいです!

 例えばアニメの人がアニメファンを呼んだだけのイベントにゲスト出演して、アニメのファンからサインを求められたくらいで“俺って大したもんだぜ!”と増長しちゃった人ではなく……。
 例えばどっかの“中ヒット”程度のシリーズにメインスタッフで名を連ねたくらいで“これからは俺が一声かければどんな企画でも金が集まらねーわけがねェぜ!”ってド勘違いした人でもなく……!

 ただただ、アニメーションの言葉にできない魅力を感じてる人ともっともっとお話ししたい!

 と思ってます。前々回、前回と続けて書(描)いた小田部羊一先生は御自身のアニメ美学を俺ら生徒にいろいろお話ししてくださいました……というか授業であり講義でした。のちに会った大塚康生様とも通じる事でしたが、小田部先生の用意する課題は“人気アニメ作品の原画を中割りさせる”というような実践型のモンじゃなく、線の少ない分かりやすいキャラで“動き”の基礎を中心にした単純なもので、どの課題も先生は生徒たちに“考えさせる”をモットーにしてたようです。こんな感じで――







 ……週1回の講義だとゆーのに絶対答えを教えてくれず何週間かかっても俺らにギリギリまで考えさせました。ひとつの課題で2〜3ヶ月迷ったあげく来なくなった生徒も何人かいたくらい気長に“ヒントを与えては待つ”の繰り返し。そう、正に――

 「鳴くまで待とうホトトギス」

 な授業でした。
 でも、その俺ら生徒にヒントを説明してくれる時の先生を見てると、

 あ、この人素朴に純粋に“画が動く”って事が大好きなんだ

 と感じたんです。思えば板垣はアニメの師匠に関してはかなり幸運で、テレコムでの大塚康生様・田中敦子様・友永和秀様らも小田部先生同様に、口で説明した内容より話す時“アニメーションという表現がとにかく好き”感が印象的な人ばかりで、“仕事だから仕方なくアニメやってる”ような人に教わったおぼえがありません(べつに誰に教わったとかを自慢したいのではなく“本物のアニメ人”と関われたという喜びを書いてるだけです)。
 話を戻しますが、前述のように演出家志望の自分がアニメーターを本気でやろうと思ったきっかけは小田部先生によるこんな授業がきっかけだったと思うわけです。
 ――今回も短くてすみません。原画チェックが〜。



(08.07.03)

 
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