前回、前々回と「監督の仕事」という大それた話を書いてみたんですが、所詮板垣ごときがA4数枚の原稿で語り尽くす事など不可能なのでは? とだんだん自信がなくなってきたので、今回で広げた大風呂敷をバッサバッサと音をたてつつ慌ててたたむとします!
ま、「世界観・キャラ・映像」の決め方を説明しましたが、実を言うと監督の仕事ってここまでで半分以上終わったと言っても過言じゃありません。少なくとも板垣的に。もちろんその後も作画・美術・色彩・撮影・編集の絵の現場から、アフレコ・ダビングの音の現場、そしてV編という納品の儀式まで監督の仕事は続きますが、すべては「世界観・キャラ・映像」をどれだけスタッフ皆にわかりやすく組み立てるか? で絵の現場も音の現場もスムーズに流れるかどーかも決まるというのも事実です。
だから単純に言うと監督の仕事って、
制作現場の流れを作る! それを作る才能がないならせめて止めない!!
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事な気がするんです。
話は飛びますが、数年前に各話演出で関わった某TVシリーズのホン読みの時。その作品の監督はとにかく流れを止めるんです。……つまり周りの人たちから責められると
んです。まるで「監督は俺、決定権も俺が握ってるハズだから、黙ってダダコネてればプロデューサーが「まあ監督がおっしゃる事ですから(ハートマーク)」と救いの手を差し伸べてくれるハズ」とでも思ってるのかのごとし、だったので俺が呆れて――
「こんなの時間のムダですよ。宿題として持ち帰りましょう!」
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――と、会議の打ち切りを提案したところ、監督よりも偉い方が「あ、板垣さんの意見に賛成!」って感じの流れになって、その日は解散。その帰り道、監督君が俺に――
と、大変不満気。それに対して、自分も反論したわけです。
「○○ちゃんの感情線が メチャクチャだから進ま ないんですよ!だってあ の現場の誰も監督のカタ を持っていないって事は、 やっぱ間違ってるんです よ、アナタの方がっっ!」
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すると、その監督君はこーおっしゃいました。
「○○さん(監督君が師匠と慕ってる方)も言ってたけど、そこで折れちゃいけないんですよ“監督”は!」
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俺はその監督君が大尊敬してる師匠が何を言ったのか知りませんが、「監督は折れちゃいけない!」とか「これが俺の色だ! こーじゃなきゃ自分色の作品にならない!」とかを基準に作品を作ってる監督君のフィルムには絶対に関わらない事にしようとこの時誓いをたてました。それと、クリエイターの方たちがよく口にするけど、板垣は今までの人生で3回くらいしか口にした事のない言葉――
ねぇ何色、それ? 少なくとも自分は今まで「自分色」とかいうもんに拘って作品作った事なんて一度もありませんし、「100%自分の作品にならないんじゃあ作る意味ない!」とか言って、来た依頼を断った事もありません。プロデューサーの皆様、そーゆー一流ブルジョア自分色クリエイターに断られた企画・原作ものがあったら板垣に持ってきてください。スケジュールが合う限り、たぶん受けさせていただくと思います。
どんな企画・原作でも
ただただどーやったらお客さま(視聴者さま)の心によいかたちで届くか!?!
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しか考えません、俺。結局「自分色」なんて、どーでもいいんですよ、監督って仕事は!