第129回 ごめんなさいまた番外編 『四畳半神話大系』京都ご当地後追いロケハン紀行
ご好評いただいた『四畳半神話大系』ですが、放送分の作業に続きＢＤ＆ＤＶＤ収録用の未公開エピソードの作業もすべて終わました。で、ちょっとだけ時間に余裕ができたのでちょっぴり休暇。ああ、久しぶりに旅であります。カメラ片手に祇園祭で賑わう京都に来ています。
しっかし、雨。週の初めから西日本全般が大雨傾向にあるみたいで、ここ京都もさすが梅雨の終わりって感じで、連日夕立っぽいのにやられてます。しかも日中、すっきり晴れないのにジンワリと暑い。そして湿気。やれやれ。
それでも、久しぶりの休暇、満喫中です。
さてさて。
去年の秋に『四畳半神話大系』のお仕事のお話をいただいてすぐ、僕の作業がスタートする前に２回ばかり京都に自主ロケハンに行きました。で、その時には『四畳半〜』の重要な場所となる鴨川デルタや賀茂大橋、下鴨神社と糺の森、そして木屋町あたりを見て回って、自分なりにフンイキを捕まえて本編作業に突入したわけです。
そして本編作業スタート。２話、３話、４話……とお話が進んできますと、どんどんいろんな場所が登場してきました。みんな魅力的な場所ばかりです。しかも自主ロケハンではまわってない場所が次から次へと。アニメーション用に作り上げていった空間世界の、その元ネタがどうにも気になって仕方なくなっちゃいました。
というわけで、今回、今さらながら物語の舞台の参考となった場所の中から、僕の思い入れの深かったいくつかの場所を、後追いでまわってきてしまいました。題して「『四畳半神話大系』京都ご当地後追いロケハン紀行」です（笑）。ああ、まるでアニメファンみたいですね（笑）。
まずはやっぱり鴨川デルタと賀茂大橋を再訪です。
折しも大雨の影響で鴨川が大増水中。鴨川を歩いてわたれる飛び石の亀たちも見事に水没。あの五山の夜の水量よりも多いかな？ こんなところへ落ちたら助からないよなあ、小津（汗）。
出町商店街にある銘店ふたばで、本編でも登場させた「豆餅」買い込みまして、デルタのベンチに腰掛けていただきました。美味い！
賀茂大橋を東に渡って、そのままずんずん歩いて行くと百万遍の交差点。その先右手には京都大学のキャンパスが広がっております。で、ずんずんとそのキャンパスを歩きまして正門の方へ。若者たちが行き交う大学の構内をこんなオジサンがこうして歩くのってちょっぴり緊張しますねえ（笑）。
ほぼ毎話数登場しました、「私」の通う大学のメインビジュアルの参考にさせていただきました時計塔です。意外と小っちゃかったです。もっとどお〜ん！ とそびえてるんだと思ってました。本編画面では結構威厳をもって大きく見せてますね。ちなみに正面の樹は楠。１話では入学式のイメージってことで桜っぽく見せてます。
その京大の正門を出て左へ向くと、そのすぐ先が吉田山。吉田神社になります。
ここは城ヶ崎率いる映画サークル「みそぎ」が撮影に使っていたスポット。大学キャンパスのこんなに近くだったとは！
この吉田神社の本殿の先がちょっとした山になってます。で、この山の中、頂きを越えたちょうど神社の反対側にカフェ「茂庵」があります。
会話サークルのあと、「私」と羽貫さんがお茶デートしてたスポットの参考にさせていただきました。実はここ、本編作業の時から気になってて、ず〜〜〜っと行ってみたかったんですよ！ この佇まい、素晴らしい！ 美味しいランチをいただきました。
吉田山をあとに、白川通りをぐぐっと下ってたどり着いた最後のスポットはここ。琵琶湖疎水、蹴上のインクラインです。
実はこの作品やるまで、京都にこんなのがあるなんて全く知らなかったのでした。そもそも琵琶湖疎水がよくわかってなかった。実際３話で「私」が佇んでた橋の上から眺めたりして、「おおおっ〜！」と感動。さらには「私」が人力飛行機で突っ込んだ舟溜まりの壁みてさらに感動（笑）。
それにしても明石さん、ここを自転車で併走したんですよね？ いくらマウンテンバイクだからって、すごいなあ。
ちなみにこの疎水があのサスペンスドラマの撮影地のメッカ、南禅寺の水路閣へとつながってたんですね。
と、まあ、そんな感じで、僕にとって思い入れの深かった場所を巡ってきたわけです。なんかね、ファンの人たちがやってる「ご当地巡礼」とか、すっごくその気持ちがわかりましたよ！ こういうのって楽しいですね！
それくらい気持ちが強く入っちゃった『四畳半神話大系』ですが、これにてひとまず気持ちも切り替えがつきました。今回のこの「後追いロケハン」は、そんな「切り替え」のためでもあったのですね。作業も気持ちもこれにて終わり。また新たな作品に気持ちは入っていくのであります。
第130回へつづく
（10.07.16）