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EVENT

第24回
「板野サーカス! ウルトラマン! 板野一郎兄貴 大いに語る!!」



日時■2005年6月5日(日) 18時半〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演■板野一郎、結城信輝、村木靖、片塰満則、小黒祐一郎
ショートアニメコーナー出演■大地丙太郎、吉松孝博
司会■パルコキノシタ

■上映作品
『超時空要塞 マクロス 愛・おぼえていますか』
『メガゾーン23 PARTII 秘密く・だ・さ・い』
アニメビジョンVOL.8「アニメクリエイターズ 第3回 板野一郎」
『MACROSS PLUS』
『MACROSS ZERO』
「ULTRAMAN」(以上、全て抜粋)

 今回のアニメスタイルイベントは「板野一郎特集」。ロフトプラスワンは、大入り満員(141人!)の大盛況となった。板野一郎さんが登場すると、会場は割れんばかりの拍手と歓声の渦。しばらく拍手は鳴りやまず、ボルテージは一気に最高潮に! 続いて、ゲストの結城信輝さん、村木靖さんのお2人にも登壇していただき、早速イベントはスタート。
 第1部のテーマは「板野サーカス」。板野さんのトークは冒頭からアクセル全開で、高校時代の過激なエピソードから、『MACROSS PLUS』のためにアメリカへ取材に行き、実際に航空機に乗ってブラックアウトを体験した話などが語られた。
 『マクロス』シリーズ名場面の上映を挟みつつ、トークは展開。自分を「板野さんの舎弟みたいなもの」と言う結城信輝さんからは、アートランド時代の思い出話が語られた。どんなに仕事が過酷なときでも「寝ないでも遊べ」というポリシーのもと、板野さんは、後輩のスタッフを遊園地やディスコに連れていったのだそうだ。『愛・おぼえていますか』等を制作していた頃の、体育会系ノリの爆笑エピソードがいくつも披露された。
 村木靖さんは、学生時代に初めて意識したメカ作監が、板野さんだったそうだ。彼は『MACROSS PLUS』等で一緒に仕事をしているが、「板野サーカスは、板野さん自身にしか描けないんじゃないかなと、最近になってよく思う」と語る。現在放送中の『交響詩篇 エウレカセブン』で特技監督を務める村木さんの仕事を「手描きメカの最後の砦」と板野さんは言う。村木さんや結城さんのように、一緒に仕事をしてきた後輩たちが、一線で活躍しているのが嬉しいのだそうだ。
 板野さんが声の出演もした『メガゾーン23 PARTII』の名場面上映に続き、1987年にリリースされた「アニメビジョン」の板野一郎特集を上映。インタビューや原画撮り映像が収録された貴重なものだ。18年前の板野さんの姿は、若々しい上にお洒落。コーナーの冒頭では、ビリヤードの腕前を披露する映像も収録されていた。ちなみに、このインタビューは小黒編集長が大学時代に手がけた仕事だ。
 他にも、『真魔神伝』の追い込み時期に板野さんが入院してしまった話。「日本の子供たちの動体視力を上げたと思っています」というご本人の名言。バイク運転についての凄まじいエピソード、そして、それと板野サーカスの関係など、興味深い話が続出した。


 第2部にはCG監督の片塰満則さんと、1部に引き続き結城さんが登壇。話はぐっと専門的になり、CGと手描きアニメの関係等が話題となった。実は、板野さんが3DCGに興味を持ったのは『MACROSS PLUS』よりも前の事。とあるゲームのCGを見る機会があったが、キャラクターの動きは稚拙なものだったという。その頃から、手描きアニメのノウハウを3DCGの動きに移植しようとする板野さんのチャレンジが始まった。
 片塰さんは『MACROSS PLUS』で、板野さんと一緒に仕事をしており、その時の思い出や、CGスタッフの目から見た板野サーカスの凄さなどが語られ、手描きアニメと3DCGの違い、その融合などの話に発展。片塰さんの言葉を借りれば「(映像)世界の秘密」についても、触れられた。その後、ビデオ上映された「ULTRAMAN」のクライマックスは圧巻の一言。まさしく特撮版・板野サーカスであった。観客にもこの作品を観ていない人が多く、感嘆の声が上がっていた。板野さんはこれらの仕事の延長線上で、いつかハリウッドと戦えるものを作りたいのだそうだ。現在放映中の「ウルトラマンネクサス」は、CGスタッフの数こそ少ないものの、皆が頑張って作っていて、シリーズ終盤は、特に力が入っているので是非観て欲しいとの事。

 第3部前半では、板野さんの特集は一休みして、前々回から恒例となったショートアニメの上映コーナー。できたてホヤホヤの作品を持参して駆けつけて下さった大地丙太郎監督と吉松孝博さんが登壇し、このイベントのために制作したショートアニメを披露してくれた。実は吉松さんは、前日にロサンゼルスから帰国したばかり。ショートアニメは、帰りの飛行機の中で描いたのだそうだ(ちなみに本の余白に描いたパラパラマンガを撮影したもの)。クレイジーな曲にマッチしたインパクトの強い作品に会場は大いに盛り上がった。大地監督の作品のテーマは「ちゃんばら」。軽快さとテンポのよさで、こちらも場内は爆笑。上映後は、夏に予定されている大地監督の舞台公演の告知もあった。
 第3部後半では、再び板野さんとゲストの皆さんに登壇していただき、まずは質疑応答。続いて、プレゼント争奪ジャンケンコーナーがあり、イベントは幕となった。

 テンションの高い、充実したイベントだった。タイトルの「板野一郎兄貴」とは、板野さんが後輩達の面倒をよく見ており、慕われているという話を聞いていた小黒がつけたものだが、イベント中の板野さんの言動は、正に「兄貴」という言葉が相応しいものだった。

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