観ました!『サマーウォーズ』!!
第6回 小川びい(声優博士)
『時かけ』の頃だったか、細田守監督作品は、ユーザーフレンドリーで、解釈のブレが小さい、いわばヒョーロン家いらずの作品だ、と放言したことがある。わかりやすい象徴的記号や強調の技法等々……。観ればわかる、それこそが細田守の強みなのだ、と。
『サマーウォーズ』を初めて観たとき、演出でグイグイと引っ張る作品だなあ、と思った。泣かせるところで泣かせ、笑わせるところで笑わせ、ハラハラするところできっちりハラハラさせる。盛り込みすぎともいえるサービスのつるべ打ちに、映画というのはここまでしなくてはならないのか、と驚いた。
2度目に観たとき、なんてプライベートなフィルムなんだろう、と赤面した。監督自身の結婚のことや、監督の周囲で最近結婚した人たちの顔が次々と頭に浮かんだ。そういう人たちに対する応援歌のように感じた。
3度目に観たとき、これは、細田守がこのところテーマにしている「女の一生」ものだったのか、と感心した。『どれみ』『ナージャ』『時かけ』と並べ、幻の『ハウル』を補助線にすれば見えてくる、一連の、女性の生き方を探る作品だ、と気づいたのだ。
『サマーウォーズ』は観るたびに相貌を変える。細田守作品で、こんな経験をしたのは初めてだ。そもそも、アニメを観ていて、解釈がぐるぐる変わるという経験は、これまでもあまりない。思い返してみても、『伝説巨神イデオン』『赤毛のアン』ぐらいではないだろうか。
●関連サイト
『サマーウォーズ』公式サイト
http://s-wars.jp/
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(09.08.21)