以前にも「編集長のヒトコト」で触れたが、虫プロダクションは『千夜一夜物語』(1969年)、『クレオパトラ』(1970年)、『哀しみのベラドンナ』(1973年)と、3本の「大人のための」劇場アニメーションを作っている。3作とも、非常に意欲的な内容であり、アニメ史においても重要な作品である。にもかかわらず、エロチックな部分が多いためか、ほとんど振り返られる機会がなかった。
今回のDVD化のお手伝いをさせていただき、改めて資料をチェックし、また、スタッフに話を聞く事ができた。それは予想以上に興味深い内容だった。ここで、その成果を発表していく。まずはこの3作で監督をつとめた山本暎一のインタビューから始めたいと思う。
なお、インタビュー中で話題になっている「虫プロ興亡記 安仁明太の青春」は、1989年に新潮社より発行された山本暎一の自著。虫プロダクションの第1回作品『ある街角の物語』から『哀しみのベラドンナ』までを、主人公・安仁明太の目を通して描いた自伝的な小説。「日本アニメーション映画史」は1977年に有文社から発行された研究書だ。すでに四半世紀以上前のものだが、草創期からの日本のアニメーション歴史をまとめた、現在でも唯一の書籍。アニメ研究家必読書籍のひとつだ。
2003年11月25日
取材場所/神奈川・関内
取材/小黒祐一郎、原口正宏
構成/小黒祐一郎
協力/コロムビアミュージックエンタテインメント、虫プロダクション
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