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『レイラ・ハミルトン物語』アフレコ取材
[前編]大原さやか&広橋涼編


 新作OVA『Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』は、『カレイドスター』のもうひとりの主人公とも言えるレイラにスポットを当てる作品だ。先行上映会やDVDの発売も近づいており、一刻も早く観たいと思っているファンも多いのではないだろうか。
 実は、WEBアニメスタイル編集部は、9月に行われた本作のアフレコ現場に行き、取材を敢行していた。アフレコの終了直後にうかがった主演の2人、監督、プロデューサーの談話をお届けしよう。


●2005年9月18日
取材場所/東京・三分坂スタジオ
取材・構成/小黒祐一郎



●大原さやか(レイラ役)

―― 
始めまーす。
大原 はーい。お願いしまーす。
―― 今回のOVAですが、最初はどのようなかたちで話をお聞きになったんですか。
大原 実は、かなり前の段階で、(池田)プロデューサーにこの企画を打ち明けられてたんですよ。TVシリーズのオンエアが終わって間もないくらいのタイミングだったんです。
―― そんな前にですか。
大原 はい。「えっ、終わったばかりなのに」と思って、びっくりしました。プロデューサーは「本編で描き切れなかったレイラさんの人生を、是非描いてみたいと思う。ただ、レイラさんを演じる大原さんのやる気を確認したい。大原さんがやりたいと言わなかったら、やらない」と言われたんですよ。そんなふうに言っていただけるって、本当に珍しい事だと思いますし、光栄だなと思いました。是非やらせてくださいと言って、それで、何度かお会いして「子供の頃のレイラさんって、どうだったんだろうね」とか、ディスカッションをしたんです。実際に企画を立ち上げる時も、スーパーバイザーとしても参加させていただいたりとか。
―― OVAを作るに当たって、レイラさんの生い立ちなどについて意見を出したわけですね。
大原 そうです。ありがたい事に、その時に話した事が本編に使っていただけました。だから、立ち上げから一緒に作ったという実感のある作品になりました。
―― TVシリーズが終わってから今回のOVAまでに、『カレイドスター』の活動はいくかあったんですよね。
大原 ええ。オンエアが始まった後にじわじわと人気が出始めた作品だったので、それと並行して1年間限定だったんですけど、ファンクラブを発足させて、ファンクラブのイベントを、みなさんと一緒にやったり。それと涼さんと2人で、ネットラジオを始めさせていただいて。それも、みなさんが喜んでくださって、びっくりするくらいのアクセス数をいただいたり。終わってからも勢いが止まらないというか、愛してくださる方が増えていくのを肌で実感できました。だから、本編が終わってから『レイラ・ハミルトン物語』に至るまで時間がかかっているんですけれど、久しぶりにやったという感じはしませんね。ずっと『カレイド』の世界が続いてきていて、やっとここまできたという達成感といいますか、充実感がありますね。
―― 最終回から今回のOVAまでの間で、ご自身の中のレイラ像が変わるような事はあったんですか。
大原 それはありました。今回の『レイラ・ハミルトン物語』というOVAで、なぜレイラさんがああいう性格になったのかとか、彼女の秘められた決意だったり、そういうものが明らかになっているんです。それまで私の中で「彼女は本当は完璧じゃないはずなのに、本当は泣きたいはずなのに」という思いがあって、演じている時、ずっと心の片隅で気になっていたんです。強くて格好よくて、誰にも負けないレイラさんを(ファンの)みんなが応援してくれたり、格好いいねと言ってくれたんです。それは本当に嬉しかったんですけど、「レイラさんも、ああ見えてまだ10代なんだよ、まだまだ悩みだってあるし、成長過程にある1人の少女でもあるんだよ」という事を、どこかで出したい欲求が、私の中にあったんです。格好いいね、凛々しいねと言われるのと反比例して、その気持ちが自分の中で膨らんでいったんですね。
―― まだ、リリースまで時間があるので、内容については話せないと思うんですけど。具体的にご自身でアイデアを出されたシーンがあるんですか。
大原 具体的なシーンというよりも、ある人物との関係性の秘密が解き明かされるというか。小さい頃から見守って支えてきてくれた人の存在が、改めて語られるというか……。
―― なるほど。ご自身とレイラってどのくらいの距離感なんですか? 「自分が理解できる人」とか「私そのもの」とかあるじゃないですか。
大原 「そのもの」ではないですね(笑)。今回演って改めて思ったんですけど、レイラさんって愚かなくらい真面目なんですよ。そこまで思い詰めなくてもいいのに、本当はもっと楽に生きられる道があるにも関わらず、決してそれを選ばないストイックさがあるんです。それはクールに決めたくて選んでいるわけではなくて、彼女の本来持ってる生真面目さがそうさせている感じなんです。私は、あそこまではなれないですけど、真摯に物事に取り組む姿勢は共感できますね。仕事に対してああいうふうに取り組みたいなと思うし、格好いいなと思います。
―― 話は前後しますが、アフレコ前に台本を読まれたと思うんですが、台本はいかがでしたか。
大原 泣きました。
―― 泣きましたか。
大原 うん。ぼろぼろ泣いて「あ、これは監督ずるい。これをこんなふうに描いて」と思いました。今回の作品では、今までの流れが分かるように、オンエアされたもののカットとかセリフも使われているんです。それを見ているうちに、私達にとってはオンエアの期間は1年だったけど、その前後の期間があるんだ。(このOVAが)その時間の全てが詰まっているアルバムのように思えて、涙が止まらなくなってしまって……。レイラさんが、そらに対して感謝の気持ちを表すところがあるんですけど、それが自分が今まで『カレイドスター』という作品にずっと関わってきて、スタッフさんだったり、ラジオの相方の涼さんに対する感謝の気持ちとリンクしてしまって。台本を読んでこんなに泣いてしまったら、アフレコはどうなっちゃうんだろう。台詞が言えなかったら、どうしようかと心配になってしまって。アフレコスタジオに入るまでに、一度、自分からレイラさんの存在を降ろしたんです。わあっと共感して、わあっと泣いて、その気持ちを飲み込んで、改めて距離を置く作業に力を入れました。
―― 実際の収録はいかがでしたか。
大原 今回、尺が長い作品なんで、アフレコ時間も通常の30分のものの倍以上かかりましたね。でも、不思議と疲れを感じなかったというか。「あ、もう、こんな時間なの?」と思ったくらいで。凄く集中できました。アフレコ直後は、気持ちは言葉にならないですね。なんかこう……色んなものが……すいません。
―― いえいえ。
大原 もっと時間を置いて落ち着いたら「ああ、こうだったな」とか思い起こせると思うんですけど。すいません。……インタビューにならないですね!(笑)
―― まあ、感想については、どこか別の機会に。
大原 そうですね。まとめておきます。
―― ありがとうございました。

●広橋涼(そら役)

―― では、次は広橋さん、お願いします。初めまして、WEBアニメスタイルと申します。
広橋 広橋です。よろしくお願いします。
―― 今回はレイラさんが主役の話なんですが、広橋さん的にはいかがだったでしょう。
広橋 CDドラマなどで、キャラクターの1人1人に焦点を当てたものをやってきたんですよ。『カレイドスター』の中でやっぱりレイラさんって、大事な存在なんです。そらは一応主人公だったんですけど、それと対になるくらいの存在でしたから、レイラさんの話は必要なものだなと思っていました。それがないとおかしいくらいですし、私も観たかった。だから、今回の作品は凄く嬉しかったですね。
―― 台本を読んでみていかがでしたか。
広橋 台本をいただく前に、私もさーやも絵コンテを見せていただいて、それを見た時に「あ、やべえ。これはやばいものを見てしまった」と思ったんです。コンテ自体に力があるんですよね。絵コンテから台本になる過程で、若干内容が変わったんですけど、台本にも凄い力があって「これ、(自分達が)負けんじゃないの」と思うぐらいだったんです。さっき、さーやが泣いちゃったと言ってましたけれど、私も中身に圧倒されてしまって。プレッシャーを感じてしまいました。凄いんですよ、絵コンテも台本も。
―― そうなんですか。
広橋 やっぱり、言葉って力があるんだと感じました。
―― 台詞に、力があったという事ですか。
広橋 台詞にもト書きにも。アフレコの前に、ビデオを見ながら台本のチェックをするんですけど、それを観たら、映像が私のイメージを遙かに超えていて。なんか、わあああっと飲まれちゃうというか。「また凄いものに遭っちゃったよ、おい」って。……こんな話でいいんですか?
―― 大丈夫です(笑)。アフレコはどうでしたか。
広橋 アフレコは、なんと言っていいのか、「おっしゃあ」と思う部分もあり、「私ってまだまだなんだな」と思う部分もあり。そらとしてレイラさんと話しているんですけど、今回も言っている内容がそのまま自分に跳ね返ってきて。私も、超えなきゃいけないところがいっぱいあるんだなと、やりながら思いました。
―― 言ってる台詞が、まるで自分の事ような?
広橋 そうです。自分が置かれてる状況とかと重なったり。他のキャストが喋る台詞を聞いていても、身に詰まされるというか。「頑張っていこう」と思える力をもらいました。
―― いいお話ですね。
広橋 そうですか。よかった(笑)。今は、あんまり中身に触れられないので。
―― 発売はまだ先ですものね。TVシリーズが終わって随分経ちましたが、今回のOVAがひとつの区切りになった感じですか。
広橋 これが区切りというか、毎回が区切りなんだと思います。本当にフェニックスみたいに、終わったと思ったら、また始まるみたいな感じで。もう続きが作られなかったとしても、観ている方の中で『カレイドスター』は続いていくんじゃないかと思うんです。
―― また、次の区切りに出会えるといいですね。
広橋 そうですね。また始まるといいですね。



●DVD『カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』
※ネット先行版DVDは、2005年12月22日に発売。通常のDVDは、2006年1月27日にリリース。
[Amazon]


■『レイラ・ハミルトン物語』アフレコ取材 [後編]に続く

●公式サイト
(最新OVA『カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』の情報もこちらで)
http://www.kaleidostar.jp/

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