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公開迫る!『Genius Party〈ジーニアス・パーティ〉』
試写会舞台挨拶にジーニアス達が勢揃い!


 いよいよ公開が来月に迫ったSTUDIO4℃の最新オムニバスアニメ『Genius Party〈ジーニアス・パーティ〉』第1弾。「作りたいものを自由に作る」というコンセプトのもと、多彩なクリエイター陣が才能を競い合う短編アニメ7本のアンソロジーだ。その完成披露試写会が都内・アキバ3Dシアターで開催され、監督陣とキャストによる舞台挨拶が行われた。

▼6人のジーニアス達が勢揃い。左から渡辺信一郎、湯浅政明、二村秀樹、福山庸治、木村真二、河森正治

 まず壇上には6人の参加監督達が登場。「上海大竜」の河森正治、「デスティック・フォー」の木村真二、「ドアチャイム」の福山庸治、「LIMIT CYCLE」の二村秀樹、「夢みるキカイ」の湯浅政明、そして「BABY BLUE」の渡辺信一郎(残念ながら「GENIUS PARTY」の福島敦子のみ仕事の都合で欠席)。制約ゼロという希有なチャンスを得て、様々なオリジナル作品を作り上げた監督達が、自作に対してそれぞれコメントを寄せた。

河森 (作品の舞台を中国にした理由は? という問いに)20年ぐらい前に中国を一人旅した事がありまして、まだ自由化して間もない頃だったので、町中に自動販売機1個もなければ、自転車が河のように流れている、そんな時代でした。その時に町で見かけた子供たちが、凄くいい目をしていて。可愛らしくもあり、活き活きとしていて、バイタリティがあるというか。それをいつかアニメで描きたいと思っていたんですけど、なかなか機会がなくて、今回がいいチャンスだと思って作らせてもらいました。

木村 普段はアニメーションの背景を担当していまして、今回は自分の描いた美術の中にキャラクターも同じような質感で入れてみたいと思い、3D作品というかたちになりました。(キャラクターについては)ティム・バートンの作品とかを観るのが好きなので、ちょっとそれに近いイメージになっている気がします。

福山 僕は漫画家なので、アニメーターのように上手には作れない、というハンディを最初から自分の中に持っていました。そこで自分の漫画家としての特質を活かせるものは何かと考えると、やっぱりストーリー。動きよりもストーリーという観点で、漫画を動かしてみせるという気持ちで作品を作りました。(日常生活に潜む奇妙なズレという内容については)これはもう、僕のいつものパターンですね(笑)。行動範囲が狭いものですから。その狭い範囲の中で何か面白い事を起こしたい。いつもそんな話ばっかりですね、僕は。

二村 作品の中でもセリフで言っていますが、永遠とか円環とか、そういったもので全体を構成してみました。(劇中に流れる膨大なモノローグへのこだわりは? という問いに)あれは自分自身の言葉ではなくて、パスカルという哲学者の言葉の引用なんですけど、それをサンプリングして構成していく時に、自分の私的な感情とか意見とかを入れていったと思います。

湯浅 テーマ的には、小さかった子どもが大人に成長して、立場が変わっていく様子を描きたかったんですかね。それが繋がって世の中ができている、というような。(そんなテーマを選んだ理由については)凄く軽い気持ちで、その時の気分です。その時に僕が人生をこう捉えていて、世の中をどう見ていたかを、軽い感じでまとめられたらな、と。(キャラクター造形については)簡単にしたいな、と思って(笑)。緻密に描くのは大変なんで、抽象的にシンプルに描こうと思いました。

渡辺 前から青春ものみたいな作品をやりたいと思っていたんですが、なまじアクションものばかりやっていたせいで、そういう仕事が全然回ってきませんで(笑)。今回「何をやってもいい」という事だったので、河森さんと同じように、前からやりたかったものを作らせていただきました。(柳楽優弥と菊池凛子を起用したキャスティングについて)声優ではない俳優さんをキャスティングするのは、ちょっとした賭けだと思うんですけど、今回の2人はすごく勘が良くて、素晴らしかったと思います。

▼舞台挨拶に登場したキャスト陣。左から栩原楽人、柳楽優弥、菊池凛子、三上博史

 続いて、4人の出演者達がステージへ。渡辺監督の「BABY BLUE」で青春ストーリーの主人公達を自然体で演じた、柳楽優弥と菊池凛子。福山監督の「ドアチャイム」に主演し、奇妙な現象に翻弄される高校生を好演した栩原楽人。そして二村監督の「LIMIT CYCLE」で、長大かつ哲学的なモノローグを演じきり、作品に緊張感を与えた三上博史。

柳楽 声優としての仕事は今回の作品が初めてだったので、緊張しました。難しかったです。だけど一所懸命がんばったので、「BABY BLUE」楽しんでください。

菊池 私も声優は初めての経験で、声を口の動きに合わせていくというのは凄く難しかったです。でも(画面上の)彼女と同じ動作をしながら喋ってみたり、体を動かしながらやると比較的声が合ってきて。そうすると調子が出てきて、それがまた快感として楽しいという感じになりました。

栩原 僕もアフレコはあまり経験がなくて。動きとか表情でなく、声だけで全て表現しなきゃいけないので、どうしようかなって凄く悩んだんです。でも声を入れる当日、監督が「そのままの楽人君でいいんだよ」と言ってくださって。じゃあ、もうそのままやろうと。だから楽しかったです! (作品の感想は)面白いですね。ちょっと不思議なお話なので、観終わった後にいろいろ考えちゃいました。

三上 僕が参加した作品は、いわゆるリップシンクでキャラクターになりきって台詞を喋るようなものではなくて、どちらかというと心の声というかモノローグというか、ナレーションのようなものだったんですよね。ちょっと変わったかたちだったので、声優初挑戦になったのかどうか分からないんですけど。テキストもとても難しくて、読んでいても分からなかったので、多分観ている人はもっと分からないんじゃないかな(笑)。監督自身とてもユニークな人で、この人の頭の中はどうなっているんだろう? と思うような、複雑怪奇な作品になっていると思います。なかなか新しい試みだと思うので、そんなところを楽しんでもらえたらと思います。

 『Genius Party〈ジーニアス・パーティ〉』の一般公開は7月7日。それに先駆け、現在開催中の短編映画祭「SHORT SHORTS FILM FESTIVAL &ASIA 2007」で、『Genius Party〈ジーニアス・パーティ〉』7作品のうち3作品が一般プレミア上映される。上映タイトルは、河森正治監督作品「上海大竜」、渡辺信一郎監督作品「BABY BLUE」、湯浅政明監督作品「夢みるキカイ」。日時は6月27日(水)11時15分より、会場はラフォーレミュージアム原宿。参加監督のトークショーイベントも開催予定なので、そちらも要チェックだ。

●関連サイト
『Genius Party〈ジーニアス・パーティ〉』公式サイト
http://www.genius-party.jp/

STUDIO4℃公式サイト
http://www.studio4c.co.jp/

SHORT SHORTS FILM FESTIVAL &ASIA 2007 公式サイト
http://www.shortshorts.org/2007/


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(07.06.25)

 
 
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