WEBアニメスタイル｜アニメ様365日第17回　東映動画ＴＶアニメＯＰ・ＥＤ集

第17回　東映動画ＴＶアニメＯＰ・ＥＤ集

　1978年後半から1980年にかけて、学年で言うと中２から高校１年の頃、あちこちの上映会に出かけた。当時は、ビデオレンタル屋もなければ、アニメ専門チャンネルもない。インターネットなんてとんでもない。再放送が期待できない過去のＴＶシリーズや劇場作品を観たかったら、そういったところに足を運ぶしかなかった。プロダクション主催の上映会もあれば、アマチュアが企画したものもあった。当時はアマチュアサークルがフィルムを借りて、上映会を開くような事がよくあったのだ。前々回で話題にした『無敵超人ザンボット３』の上映会もそんな催しのひとつだ。学園祭でも、アニメの上映があるのを知ると出かけていった。
　書籍やアニメ雑誌で過去の作品に関する知識を仕入れて、観た事のない作品に興味を持っていたのだ。その頃に観たのは東映長編が多かった。『サイボーグ００９［第１作］』は子供の頃に観ているのだが、「ＴＶアニメの世界」の影響で、傑作と呼ばれているエピソードを改めて観たいと思い、上映会に赴いた。やはり「Ｘの挑戦」や「太平洋の亡霊」には感銘を受けた。比較的、家から近い事もあり、東映動画（現・東映アニメーション）スタジオで行われる上映会には何度も行った。東映動画スタジオの上映会は、資料室と呼ばれている部屋で行われた。資料室には長編時代の絵コンテ、セル画、クレイモデル等が展示されており、上映の前後にはそれを見る事ができた。その資料は、現在、東映アニメーションのギャラリーで展示されているはずだ。
　どういった企画だったか覚えていないが、その試写室で、東映動画作品のＴＶアニメオープニング、エンディング集を観た事がある。その時期までに東映動画が制作した全ＴＶアニメのアニメオープニング、エンディングを時系列順に編集したものだ。勿論、最初は1963年の『狼少年ケン』。最新作は1978年の『銀河鉄道999』か『キャプテン　フューチャー』のどちらかだったと思う。今も昔も、ＴＶアニメのオープニングは凝った作りのものが多く、まとめて観ると相当に見応えがあった。次から次に素晴らしい映像と歌が流れていった。アニメの魅力が凝縮された２時間だった。観客も盛り上がり、途中から誰かがフィルムに合わせて歌いだして、終盤は合唱になってしまった。アニカラなんてない時代だ。「えー、いい年して（と言っても僕は中学生だったが）アニメソングを歌っちゃうの？」と思ったけれど、僕もノリに巻き込まれて歌ってしまった。
　上映されたオープニング、エンディングは、子供の頃に観た記憶のあるものもあれば、初めて観たものもあった。『狼少年ケン』は何となく観た記憶があったが、『風のフジ丸』は観た事がなかった。第14回でも少し触れたが、僕はロボットアニメを観ていない時期があるので『マグネロボ　ガ＊キーン』や『超人戦隊　バラタック』は、この時に初めて観た。『海賊王子』なんて、そんな作品がある事すら知らなかったし、その後も、ごく最近までオープニング以外の映像を観る機会はなかった。『ハッスル　パンチ』は子供の頃に観た記憶があったが、改めて観て、こんなに洒落たオーブニングだったのかと思った。『タイガー　マスク』『アパッチ野球軍』『キューティーハニー』あたりは鮮明に覚えていたが、やはり魅力のあるオープニングだと思った。まだまだ自分が観ていない作品が沢山ある事を知った。このＴＶアニメオープニング、エンディング集も、もっとアニメを観ようと思ったきっかけのひとつだ。
　当時はビデオデッキも持っていなかったので、このオープニング、エンディング集を手に入れる事を思いつきもしなかったが、後年、ビデオデッキを入手してから、自分のものにしたいと思うようになった。その願いが叶ったのは、10年後くらいだっただろうか。東映ビデオが「東映ＴＶアニメ大全集」というタイトルで、オープニング、エンディング集をビデオソフト化したのだ。編集は上映会のものとは違っていて、『超電磁ロボ　コン・バトラーＶ』『超電磁マシーン　ボルテスＶ』等の東映本社作品も収録されている。その後、同タイトルはレーザーディスクになり、現在はＤＶＤにもなった。同コンセプトのビデオソフトは東京ムービー版、エイケン版、日本アニメーション版もリリースされた。なぜかいまだにサンライズ版は出ていない。