第138回 1983年春の「東映まんがまつり」
1983年3月の「東映まんがまつり」は、中編『まんがイソップ物語』、人気TVシリーズの劇場中編『Dr.スランプ アラレちゃん ほよよ!世界一周大レース』、特撮TVシリーズの劇場短編「科学戦隊ダイナマン」と「バッテンロボ丸」の4本立てだった。このプログラムが、童話等を元にした新作長編(あるいは中編)をメインにした最後の「まんがまつり」となった。ここまでのプログラムの全てが、童話等を元にした作品をメインにしてきたわけではないが、それが「まんがまつり」の、そして、東映動画のカラーになっていたのは間違いない。
データを確認するまで、勘違いしていたが「まんがまつり」は一時期まで、毎年3月と7月に公開されていた。「まんがまつり」は毎年3月にあり、7月はあったりなかったりだと思っていた(厳密には、3月と7月は毎年あり、たまに12月もあるというかたちだった)。ただし、7月の「まんがまつり」はメインの長編がリバイバルである場合が多く、また、地方のみの公開だったプログラムもあるようだ。
毎年3月と7月の公開が恒例になるのが1967年から、「まんがまつり」の名称が定着したのが1963年3月のプログラムからだ。そして、10数年ぶりに夏の「まんがまつり」がなかったのが、1982年の夏。1983年3月には、上記の『まんがイソップ物語』をメインにした「東映まんがまつり」があり、同年夏、翌1984年春にはまた休止している。劇場『ドラえもん』をはじめ、他のアニメ映画が増えて、それらに押されたというかたちだったのだろう。「まんがまつり」は1984年夏に再開するが、これ以降は童話等を元にした新作長編(あるいは中編)を排し、TVシリーズの劇場版のみでプログラムを構成。『キン肉マン』『キャプテン翼』『聖闘士星矢』といった「少年ジャンプ」連載の人気原作を得て、「東映まんがまつり」は新時代を迎える事になる。
データの話ばかりになってしまったが、当時、僕はほとんどの「まんがまつり」に足を運んでいる。リバイバルの『白雪姫』がメインだった1980年夏のプログラムも、同じくリバイバルの『101匹わんちゃん大行進』がメインだった1981年夏のプログラムも行っている。前にも書いたが、1981年夏は、高校の帰りに学ランを着たまま観に行った。この頃の「まんがまつり」では、『一休さん』や『魔法少女ララベル』といったTVシリーズの劇場版が、放映されたもののブローアップではなく、劇場用の新作短編になっており、むしろ、それらや戦隊シリーズの方が目当てだった。
1979年春の『龍の子太郎』は見応えがあったが、その後、童話等を元にした新作長編(あるいは中編)は、どんどん小粒になっていった印象だ。TVシリーズの劇場版も、新作とは言ってもイベント性の弱いものが多かった。プログラムとしての力がなくなってきていたのだ。劇場に行って、なんだか寂しい気持ちになったのを覚えている。
第139回へつづく
(09.06.03)