アニメ様365日[小黒祐一郎]

第332回 消えていくOVA

 今日の原稿は、半分お休みモード。最近、この連載のために、1980年代後半のOVAを観直している。第325回「1986年のOVA」でも書いたが、この頃のOVAは、感心する作品もあるけれど、ガッカリするようなものもあった。そして「感心する作品」や「ガッカリする作品」よりも、「よいところはあるけど、首をひねるところもある作品」が多かった印象だ。勿論、1990年代に入ってからも、ガッカリするOVAや、首をひねってしまうOVAはあるのだが、この頃の方がずっと混沌としていた。
 OVAが始まった頃のワクワク感は薄まっていたが、年齢が高めのアニメファンにとって、当時の主戦場はOVAだった。だから、僕達はマメに新作をチェックしていた。「あの作品はダメだった」「この作品は結構いいぞ」といった具合に、友達と情報交換をしあった。今思うと、そんな状況を結構楽しんでいた。どんな作品かよく知らずに新作を買ってしまい、痛い目にあった友達を笑った事もあった。それもいい思い出だ。
 そんなOVA群を、今観直しているわけだ。当時よくできていると思った作品は、今観ても楽しめる。首をひねったタイトルについては、そのバランスの悪さをアジとして楽しむ事ができる。意地悪な見方だと言われるかもしれないが、実際にそう感じるのだから仕方がない。当時ガッカリした作品は、観直しても、やっぱりいいところがないのだけれど、今だと、どうしてガッカリな仕上がりになったのかが大体分かる。色んな作品を観直しているうちに、当時の混沌とした状況を思い出してきた。いや、懐かしい。
 さて、以下が本題。この時期のOVAで、DVDになっているものは少ない。さらに最近は、VHSを扱わない店が増えているので、ビデオテープでしか出ていないOVAについては(1980年代のタイトルに限らず)、視聴するチャンスが激減している。OVAは、TVシリーズや劇場作品よりも、CSなどで放映されるチャンスが少ないようだ。
 昨日取り上げた『バリバリ伝説』も、アニメスタイルの編集スタッフに都内のレンタル店を探してもらって、ようやく観る事ができた。編集部の近くに1980年代のレアなOVAを何本も置いている店があったのだが、昨日のぞいてみたら、VHSテープのほとんどが破棄されていた。ああ、こんな事なら借りておくんだったと後悔した。こうやって、多くのOVAが、僕達の前から消えていくわけだ。

第333回へつづく

(10.03.24)