第参話で登場する使徒は、第4の使徒シャムシエル。その戦闘では、第3新東京市の戦闘形態への移行、EVAを支援する兵装ビル、第3新東京市周辺の偽装迎撃システム等、初めて描写される事柄が多い。第弐話でEVAが使う銃、弾薬、電池、アンビリカルケーブルを兵装ビルにセッティングする描写があったが、それが何だったのか分かるのが、この戦闘シーンだ。EVAが有線による電力供給で動いており、体内電池ではせいぜい1分しか稼働しない事も、この話の冒頭で説明されている。また、初号機と第4使徒の戦闘では、原画の一部をGAINAXの吉成曜が担当。彼は後の話数でも要所要所でアクションを描き、シリーズ全体のクオリティ底上げに大きく貢献している。絵コンテ的には、灯台の向こう側を通過する第4使徒、手前に乗用車をナメて遠方の山に初号機が落ちるカット等、ダイナミックな特撮映画的なカットが幾つもあり、楽しませてくれる。地上に落ちたアンビリカルケーブルが、バスを潰しているカットも印象的だ。
今回の使徒が「第4の使徒」であり、第壱話と第弐話で登場したものが「第3の使徒」である事もミサト達の台詞で分かる。すると第1の使徒と第2の使徒は、何時現れたのか? 第1の使徒について分かるのはしばらく先。第2の使徒については、遂に最後まではっきりと説明はされなかった。また、老教師の昔話により、かつてセカンドインパクトと呼ばれる未曾有の大災害が起きた事が説明され、第壱話冒頭でビルが海に沈んでいた理由が分かる。だが、ここで老教師が語ったセカンドインパクトの原因は、偽の情報である。セカンドインパクトの真実について、断片的にせよ明らかになるのが第七話。全てが明らかになるのは、完結編『THE END OF EVANGELION』である。そういった巧みな情報操作も『エヴァ』の魅力だ。