「EPISODE:06 Rei II」の英文サブタイトルが示す通り、綾波レイにスポットが当てられる2本目のエピソードでもある。中盤でレイは戦う理由を語り、自分ではEVAに乗る以外に何もないと云う。「あなたは死なないわ。私が守るもの」の名台詞もこの話だ。孤独な少女であるが、それゆえに自分の命を捨ててでも任務を遂行しようとする。そのひたむきさが、人気キャラクターとなった理由のひとつだろう。シンジに対して「さよなら」と2度云うが、これは単に彼女が言葉の使い方をよく知らずに云ったのだろうと思われる。だが、シンジはその言葉に彼女の寂しさを感じてしまった。
初号機による最初の射撃は失敗。レイが零号機で庇ってくれたお陰で、シンジは第2射を撃つ事ができ、第5の使徒を撃破した。シンジはエントリープラグを開けて、レイの生存を確認。彼女に思っている事を伝えて、涙を流す。そこで例の「笑えばいいと思うよ」となる。コミュニケーションが苦手なシンジが、彼以上にコミュニケーション下手である少女に気持ちを伝え、彼女は笑みを見せた。『エヴァ』を代表する名場面だ。この場面で気になったのが、シンジの顔にダブらせるかたちで、ゲンドウの笑顔をインサートしている事だ。その後にレイが少し驚くカットがあり、シンジのカットを挟んで、彼女の笑みとなる。レイが笑ったのは、実はゲンドウを思い出したからではないのか。ひょっとしたら、シンジの気持ちは伝わっていないのかもしれない。そう考える事ができるのだ。勿論、ゲンドウに似ている事に気づき、彼女がシンジに親しみを感じたのだと解釈する事もできる。僕は本放送当時は前者だと判断した。2人の心が通ったように見せておいて「実はそんな事はなかった」という仕掛けをしたのか。憎い事をするなと思い、「EVA友の会」でそういった内容のコラムを書いた。今は、後者の解釈でもよいのではないかと思っている。ただ、「実は気持ちは伝わっていない」と解釈した方が面白いし、『エヴァ』らしい。