ただ今、『ロザリオとバンパイア』#10の大詰め。夜のラッシュチェックまで、ちょっと時間が空いたのでコレ書いてます。今回久しぶりに自分の監督作以外でのコンテ・演出だし、平田(雄三)さんの作監作業も残すはラスト4カットほどで、
……感を満喫している今、別の話題に振るのもなんなので、もう少し各話演出という仕事に思いをはせる事としました。
板垣的・思い出の演出作品(さらに続き)
・『まほろまてぃっく 〜もっと美しいもの〜』(2002年)
これはたしか『アベノ〜』の原画でガイナックスとのお付き合いができた後、しばらくして当時制作のS原さんより“演出やりませんか?”って声がかかったんだと思います。まあたぶん、演出がいなくて困ってた時、“板垣ってのが原画だけでなく演出もやってるらしいぞ”とどこかで聞いたんじゃないかと……。それゆえ、コンテはやっておらず、処理(演出)のみでテロップ表記は“いたがき しん”の平仮名。なぜかその年の俺ときたら、
とまわりに言いふらかしてた手前、受けざるをえなかったのです。同じ理由で受けた仕事に『ちょびっツ』最終話の原画というのもありました。
作監は俺と同じ日にテレコムを辞めた後輩・岩岡優子様。さすがにいい画を描いてくれて、後で聞いたらキャラデの高村(和宏)様からも好評でした。
自分できったコンテじゃなかったけど、自分にとっては初めての“美少女コメディ(?)”か“萌えアニメ(?)”で、まほろさんや式条先生なども可愛かったし、世界観全体に流れてる楽しい空気が結構好きで、ノリノリでレイアウトチェックをしたあげく、岩岡作監・高村総作監で消しきれなかった“板垣画が所々に見える!”と見た人からは言われるのが、この『まほろ〜(第2期)』第8話なんです。
この時期は岩岡さんとちょくちょく恩の貸し借りをしていて、『.hack//黄昏の腕輪伝説』や『AVENGER』など、彼女が作監するシリーズの原画を手伝うかわり、俺の演出する『獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇』や『この醜くも美しい世界』の原画を手伝ってもらったりと……。常時必ずみっつは仕事をかけもっていた俺は、いろんな友人や先輩・後輩に助けられて、アニメーター同士の仁義・人情・助け合い……を痛感する毎日をおくってました。
――ところで余談ですが、俺、
自分のコンテや演出作品ではできるだけ自ら原画を描かない!
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ようにしています。もちろん、演出として人の描いた原画を修正したりはするんですが、原画マンとして自分の作品に参加したら、その自分パートが“演出”できなくなるじゃないですか。俺にとって、演出家というのはアニメーターや背景の人たちに“描いてもらう”、仕上げの人たちに“塗ってもらう”、撮影の人たちに“撮ってもらう”プロの事で、自ら手を下すのは本来の姿ではないと思うんです。
でも、こう言っておいて、自分の監督作品では『黒猫』も『Devil〜』も最終回では原画を描いてしまいました。これは、コンテを引っぱりに引っぱってしまった罪滅ぼしです。『黒猫』の最終回では“トレイン対ザギーネ”あたり、『Devil〜』ではテロップには出してませんが、本当のラストカット――“トリッシュ、レディの発砲からリベリオンを振るダンテ”の9+00の1カット。ラフ原までだったけど楽しかったです。なんのかんの言って、やっぱ好きみたいです、原画描くの……。
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・『獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇』(2003年)
この作品に辿り着いた経緯はこのコラム
第6回を読んでくださいって事で割愛しますが、佐藤竜雄監督や吉松孝博様とのお付き合いが始まった記念碑的作品であると同時に、動画枚数をふんだんに使った初めての作品でもあります。『刃牙』や『翼』の板垣話数は2500枚以下なのに対して、『獣兵衛』は7200枚以上とか……3倍近く。……いや、つまり『刃牙』、『翼』では
って思いが強くって、それにそろそろ飽きてた『獣兵衛』の時は、
と考えが変わってたんですね、おそらく。
あと、前述の岩岡さんだけでなく、ガイナックスの柴田(由香)嬢も原画で参加してくれた上に、作監はこれが初めての稲留和美さん。みんなテレコムの後輩でした(感謝!)。
後で人づてに聞いたのですが、原作者・川尻善昭様(巨匠!)が俺のやった第3話を見た時、まわりの人にもらした感想は、
だそうです。7200枚でしたよ、7200枚……!
またまた余談ですが、この『獣兵衛』の時は結局会えずじまいだった川尻様でしたが、この間の『Devil May Cry』の第1話を見てくださった後は、直にお褒めの言葉をいただく事ができてメチャクチャ嬉しかったです。
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その他この『獣兵衛』は次なる“縁”を生んでくれた作品でもあります。
それはたしか『獣兵衛』の美(術)打ちだか、撮(影)打ちだったかを終えて(マッドハウス内の)自分の席に戻ろうとした途中、別企画で訪れていたガイナックスの平松(禎史)様と偶然バッタリ会って、こう言われました
“大地丙太郎”監督! 学生時代、大地さんの『こどものおもちゃ』によってそれまでの“ギャグアニメ”観を560度くらい覆された板垣にとって、“一度は一緒にお仕事したい監督ランキング”BEST3には確実に入るお方だったのです。そして、
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大地監督に向かって、その時手に持っていた『獣兵衛忍風帖 龍宝玉
篇』第3話のコンテを突き出し、俺は言ったのですっ!! |