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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第93回
デジタル化万歳!?(1)
“マイコン”(笑)

 今、3DとかCGとかが結構な幅を占めるTVシリーズの監督しています。そのクオリティの高さ、ユニークな動きはおそらく話題になるでしょう。それは「ロボットの変形や合体なんて作画でやると大変だし、巧いアニメーターにあたらなかったら悲惨だよね」って事情でCGなんじゃなく、

「CG自体が充分“見せ場”になりうる!」

 ものだと確信しているからです。ま、この新作については前述のとおり12月10日までは詳しくは書けないので、今回はその作品の要――3DやCGや……いわゆるデジタルな話。
 友人や制作さんたちからは“板垣はパソコン知らずのデジタル音痴”で通ってるようですが、半分は当たって……いや、8割当たってても2割はハズレてます。
 話は遡る事、小学生3〜5年生の頃の板垣はパソコン……いや、当時の言葉では“マイコン”少年でした。近所に住んでたT君という5つ年上のお兄ちゃんに教えてもらったんです。

「マイコンがあればゲームが作れるんだよ、伸君!」

 自分が小学生の頃はまだゲームウォッチ→電子ゲーム→ファミコンの時代。そんな時代に“ゲームが作れる!”という言葉は俺をヤケにトキめかせ、両目1.5あった視力が1〜2年で両目0.1に下がったくらい朝から晩までマイコンにかじりつき、ゲーム作りに没頭しました。



 もちろんその頃愛読してたのは「アニメージュ」じゃなくて「マイコンBASICマガジン」や「Oh! MZ」……その他のマイコン雑誌。笑ってください。自分も笑えます(笑)。でも、その時はマイコンという最先端でテクノロジーなものを使える! という安易な優越感に浸ってたわけでなく、ただただ

「ゲームを作るのが楽しくて楽しくて仕方がない!」

 ってだけ。小学生ながら、BASIC→C言語→マシン語の教本を買いあさったし、日曜の朝は『キン肉マン』ではなく「パソコンサンデー」(テレビ愛知)をみて勉強してたのも、すべては“ゲームが作りたい!”の一心で……。思えば自分、子どもの頃から

 遊ぶ=創る

 でした。逆に本音を言うと“創作”に関わらない遊びにはまったく興味がなかったんです……いや、たぶん今も(遊んでくれた友人たち、ゴメンナサイ)。ずっと前に書いたゴルフについてもそう。



 ゴルフで遊ぶより、“ゴルフクラブを作る”方に夢中

 だったし



 漫画も読むより描く方が好き!

 でした。黒澤監督じゃないけど

「創るという事は素晴らしい!」

 と子どもの時から今現在この瞬間まで思ってます。
 んで戻って、マイコン少年・板垣の話。とは言っても小〜中学生で終わりましたね、“マイコン”は。高校生になってからは徐々にキーボードに触る事もなくなっていったんです。なぜか? それは、世間的にパソコン(この頃になると“マイコン”は死語でした)が何かモノを作るツールじゃなく、単なるネットやらのコミュニケーションの手段になってしまったからです。いや、突き詰めるとコミュニケーションと創作は表裏一体だとは思いますが、少なくとも自分が高校生の頃のパソコンは絵を描く道具としてはかなり半人前で、絵なんてまだ紙に鉛筆と筆で描いた方が早かったのは間違いありません。しかもその頃、アニメにも興味が沸いてきたおかげでパソコン離れに拍車がかかって、今ではまったくパソコンに触れない(触れられない)板垣が完成したんです。でも勘違いしないように……

「仕上げや撮影がデジタル化しようとも、原画だけは永遠にいつまでも(タブレットに描く事になっても)手描きのまま残る!」

 と安心しきっている“アナログ作画至上主義”アニメーターではありません、板垣は。それどころか、紙と鉛筆がなくなってタブレットに描く……程度ではなく

「確実にアニメーションは3DやCGが主流になるぞ、近いうちに!」

 と思ってます。逆にそう思ってるからこそ、

「今は残り少ない“手描きアニメ”を楽しみたい!」

 わけ。だから

「友人様・制作様、もう少しの間“パソコン音痴”のままでいさせてください」



(08.11.13)

 
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