web animation magazine WEBアニメスタイル

 

あの声、あのキャラ、あの作品
堀江美都子と『魔法少女ララベル』(3)


―― ああ! 言われてみれば似てますね。
堀江 そういう役者さんは、少ないのよねと言ってくださって。そんな事があったので『ポリアンナ』に決まったんじゃないかと思うんです。
―― その少し前の『アラレちゃん』のオボッチャマンの頃でも、声が上に抜けた感じの声になっていたような印象がありますね。あの役も、随分と新鮮に感じました。
堀江 あの作品も、小松さんなんですよね。小松さんの中で、オボッチャマンやドナルドの芝居が繋がっているんでしょうね。
―― オボッチャマンは、男の子役という事でも、あの頃に演られた役としては珍しいですよね。
堀江 そうですね。男の子を演ったのは、あれが初めてだと思います。その後、『サジタリウス』のシビップで毛玉になっちゃいましたからね(笑)。その頃から、自分が演りたいなと思ってる方向に声優として上手く使っていただけるようになった。凄く楽しい時期ですね。
―― なるほど。ちょっと変わった役が増えていったんですね。
堀江 天使みたいな役がピッタリと言われていました。『グリム』で演ったのもエンジェルみたいな役でしたし。後ろにね、光が輝いてるような子供の役が多かったです(笑)。
―― (笑)。
堀江 オボッチャマン君は、最初、声だけの仕事だったんですけど、演ってる途中で、キャラクターの歌を作るからと言われて。それで、キャラ声で歌うようになったんですよ。そうしたら作曲家の先生に「あなた、歌が上手くなったねえ」と言われて。「えーーー!」と(驚)。
―― あははは(笑)。
堀江 「こんな歌も歌えるのかい」と言われたんです。キャラクターの歌でも歌なんだよと思えるようになって、それまで、自分は主題歌に固執していたんですが、そこからまた世界が広がったんです。声から歌の世界が広がっていったんですね。(普通と)逆の効果ですよね。それから、さっきも言った『アッコちゃん』で、また主題歌と主人公を両方演るかたちに戻って。その後の転機は、やっぱり『聖闘士星矢』ですね。
―― アスガルド編のヒルダですね。
堀江 悪役なんですよ。これも青二の方が勧めてくださったんです。自分で悪役ができるなんて思ってなかったんですけど、オーディションに行ったら「いいね、声がいい」と言われて。自分でビックリしたんです。でも、演ってみると悪役って気持ちいいですよね。凄く楽しかったです。
―― その後、『セーラースターズ』のギャラクシアとか『キカイダー01』のビジンダーとか悪役が増えますよね。
堀江 悪が多くなってきますよね。悪は悪でも、単なる悪じゃなくて、ちょっと高貴なところのある悪役が多いですね。あるいは何かを背負ってる悪とか。どれも好きですが、ヒルダなんて、最高にカッコイイ役だと思います。古谷(徹)さんが、冗談で「俺、アテナよりこっちの方がいいなー」と言ってました。あははは(笑)。
―― (笑)。
堀江 それぐらいステキな役でした。外画(外国映画)だと「ウェストサイド物語」のナタリー・ウッドとか、フィービー・ケイツとか、何本か演らせていただいたんですけど。(力強く)私は外画はダメです!
―― (笑)ダメですか。
堀江 合いません! あのね、やっぱり歌い手って、自分でリズムを作るんですよ。だから、聞こえてくる音(オリジナルの役者の台詞)に合わせるのは苦手なんです。
―― ああ、なるほど。
堀江 それと外国の役者さんって、みんな、自分の中のイメージより声が低いんですよ。それがまた、気持ち悪くて。
―― オリジナルの役者さんの声に引っ張られてしまう?
堀江 うん! それで「私はこれはダメだー」と思いました。アニメなら、例えば画がなくて、マジックの線が出てくるだけでも、自分のリズム感で合わせる事はできるんですよ。これは不思議ですね。多分、歌い手さんは、外画は苦手だと思いますよ。あ、佐々木(功)さんは別として。
―― それはそうですね(笑)。
堀江 あははは(笑)。……だから、私はアニメですねえ。
―― 昔から不思議に思っていたのが『愛してナイト』のやっこちゃんなんです。あの番組の中で、やっこちゃんとして歌う予定はなかったんですか。
堀江 劇中でですか。なかったですねえ。
―― 歌がモチーフになっている番組じゃないですか。やっこちゃんは歌手じゃないですけど、せっかく佐々木さんと堀江さんをメインにキャスティングしているのだから、お2人が歌うシーンがあるんだろうと思っていたんです。
堀江 デュエットとかね。
―― そうなんですよ。
堀江 私もあるだろうと思ってましたけど、最後までなかったです。あれは不思議でしたよね。最初はそういう予定だったんじゃないかとは思うんですけど。
―― そうなんでしょうね。転機になったものでなくても、印象的な役柄や番組はありますか。
堀江 あるんだろうとは思うけど、数が多いから……。
―― ご本人にとって印象的かどうかは分かりませんが、『覚悟のススメ』の掘江罪子は、名前からしてもの凄いインパクトでした。
堀江 ああ、私も、ああいった事は初めてたっだんですよ。前に『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』のマンガの中で、両さんがバイクに乗りながら「堀江美都子の『エモーション』いいですよー」と言っていたと知人から聞いて、私のオリジナルアルバムを宣伝してくださったのかな? と思って、とても嬉しかった事があります。山口(貴由)さんの作品は読んでいなくて、自分がキャラクターになっているのを、全然知らなかったんですよ。後でアニメ化される時に、本が送られてきて、見てくださいと言われて。
―― なるほど。
堀江 最初ね、「いや! 私。演らない!」と言ってね、読めなかったんですよ。だけど、ご本人にお会いしたら、私のファンクラブに入ってくださっていたんです。(ファンクラブの名簿の職業欄に)「執筆業」と書いてあったから、マンガ家だと分からなかったんです。それで、コアなファンの方がいる凄いマンガ家さんだと知って。
―― そうですね。
堀江 それで、頑張って(『覚悟のススメ』の原作を)読んだんです。どうしても演ってくださいっていう事だったんで、演らせていただいたんですけど。スタジオのアフレコも凄かったですよ。男の人達が(内容が過激なので)うえ〜とか呻いてましたから。あははは(笑)。

●あの声、あのキャラ、あの作品 
堀江美都子と『魔法少女ララベル』(4)に続く


●商品データ
「魔法少女ララベルDVD-BOX1」
XT-2157〜2159/カラー/約350分(14話収録)/3枚組/ドルビーデジタル(モノラル)/片面1層/スタンダード
価格:16380円(税込)
発売日:2005年11月30日
映像特典:ナショナル自転車CM/第1話予告/劇場版「海が呼ぶ夏休み」(1980年7月公開)
封入特典:フルカラーブックレット(堀江美都子さんインタビュー)/壁紙プレゼントのパスワード
発売元:アイ・シー・エフ
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
[Amazon]


(05.10.26)

 
  ←BACK ↑PAGE TOP
 
   

編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.