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『かみちゅ!』倉田英之×舛成孝二インタビュー(2)
「ディープ・ブルー」の女子中学生版!?


舛成 『R.O.D』の時もそうなんですけど、作る時に、キャラクターがカメラを向かないようにと、よく考えるんですよ。(キャラクターが)カメラ見て芝居をすると、やっぱ媚びが出るじゃないですか。そういうのやりたくなくて。普通に生活しているのを、俺らが隠し撮りしてるくらいのノリでやりたい。「ディープ・ブルー」みたいな(笑)。
倉田 7000時間も回してるんですか。
舛成 いや、昨日観たから言ってるだけなんだけど。
落越 「ディープ・ブルー」の女子中学生版。それは凄いなあ(笑)。
倉田 それは盗撮です。
―― 確かに、作り手とキャラクターの間に、ちょっと距離感がありますよね。
倉田 ああ、ありますね。何か絶対に入れない教室の外から、カメラを回して、仕草とかを一所懸命に観察してるみたいな。
舛成 そうだよね。
倉田 ほんとにそうだと思うんですけどね。中学生ぐらいの時に女の子に話しかけられる性格じゃなかったので、遠くから何をしているんだろうというような目で見ていたのを、思い出しながらやっているんです。きっと、あんなふうな会話をしていたんじゃないかなって。

▲ 2話「神様お願い」より

舛成 そのへんは、まあ色々ね。テクニックとしても考えてやっています。導入とかはそういう(カメラを)引いたかたちから入っていくんだけど、主観にちょっと切り替えるところで、観てる人の心をぐっと掴むみたいな事は、狙ってやってる感じですけどね。
倉田 中学校って、やっぱり誰でも知ってるような場所なんで、親近感は得られるんじゃないかなと。そこで自分の中の思い出にリンクしたら、惹きつけられるんじゃないかしら。実際にネットとかの評判見てると、やっぱり年くった人が、昔の事を思い出して観ているみたいなのも、多いですよね。田舎の事を思い出してとか。
舛成 そうですね。ある意味、低年齢層を切り捨ててるかのごとく作られてる。
倉田 あの時間帯、低年齢層は寝てますって(笑)。
一同 (笑)。
落越 切り捨ててはいない(笑)。
倉田 切り捨ててはいないんだけど。いや、観てくれる分には構わないよ。
舛成 低年齢層って、10代とかじゃないんだよね。20代を切り捨ててる(笑)。
倉田 ああ。
―― それはまた、対象年齢が高い(笑)。
倉田 まあ、20歳より下というのは、その人向けのアニメがいっぱいあるじゃないですか。
舛成 そうそう。
倉田 そんな事は言っちゃいけないのかな。
落越 いけない、いけない。切り捨てちゃいない。
舛成 切り捨ててはいないんだよ。例えば、パンツが見えるアニメで心を開放できる人がいるとすれば、見えない事で心を開放する事ができる人もいるわけですよ。
―― 熱い、熱い発言ですね!
一同 (笑)。
舛成 まあ、僕らはちょっとそっちの方に。
倉田 僕はパンツも好きですけど。
舛成 いや、僕だって(笑)。
―― どっちも好きだけど、『かみちゅ!』は「見えないモード」なんですね。
舛成 見えないモードで。だから、僕は原画さんとかに「シチュエーション的に不自然になるんだったら見えていいからね」と言ってるんですよ。「ただ、見せるために画を描くな」という話をしているんです。で、実際1話でも見えている。僕は(スカートで)しゃがんでるアングルを平気で作っちゃうし、また、下半身に神経を集中してない子たちばっかなんで、凄く危ないんですよ。で、ポロッと描かれちゃう事があるんだけど、「いや、止め画ではやめろ」と(笑)。
倉田 女子ってそうですよね。四六時中、バリバリにガードを固めてたりもしませんからね。
落越 特に女子だけの時はね。
舛成 実写でも、立ち上がる芝居でパンツなんか見えまくるんですよ。でも、テイクを重ねて、見えないテイクを使うじゃないですか。それと同じ事をアニメでもちゃんとやろうよ、という。
―― なるほど。
舛成 まあ、見せればいいというものでもないでしょう。『R.O.D』の4話で、アニタがとんぼ返りとかして、
落越 丸見え。
舛成 そういうアクションをやっている時にまで、隠す必要はないという事でね。あれはもう見せてやれと。
倉田 自然に任せましょうみたいな。
舛成 (笑)。
落越 そうそう。そこまで見せられたら、逆に「見えた」とも思えない(笑)。
舛成 まあ色々ね、考えてはいるんですけどね。あとは、なんていうんですかね、全てを与えられないところで面白いと思いつつ、悶々としつつ。そこから想像して、エロとかを考えていくという事をして下さいよと。
―― ああ、なるほどね。作品の中で全てを与えはしないよと。
舛成 しないよと。ただ、要素としては全部用意しとくから、勝手にやって下さいよと。まあ、言ってしまえば、同人誌アニメを作ってるんじゃなくて、同人誌を作るためのアニメを作ってますよと(笑)。
一同 (笑)。
―― 理屈としてはそうなんだけど、言葉で言うと身も蓋もないですなあ(笑)。
倉田 まあ、皆が、そろそろ新しい性癖に目覚めてもいいんじゃないのかなあというような。
舛成 そうそう。
倉田 2話の3人で縁側に転がっているのを観て、ああ、こんなところにも、胸がキュンとなるものがあったのだと気づいてくれると嬉しいなあという。
―― 観てる人に、ワンランク上に行ってほしいわけですね。もうちょっと高いレベルの変態……じゃないけど(笑)。
一同 (笑)。
舛成 変態じゃないけど。
倉田 もっと色んなパターンの可愛さがあると、知ってほしい。
舛成 そうですね。色んな種類の「可愛い」を見出してほしいなあ。
―― 沢山アニメが作られているのに、そういったものの幅は、どんどん狭まってきてますからね。
舛成 そうそう。アニタとゆりえの可愛さって、全然違う可愛さなんですよ。そのへんに何かを感じてほしいなあ。アニタってやっぱり頭をグリグリしたい。ちょっと少年に近い可愛さで、ゆりえって何かね、倒してゴロゴロ転がしたいような(笑)。
落越 あんまり変わんない(笑)。
舛成 いや、微妙に違うの。
倉田 まあ、分からんでもないですね。
―― ゆりえを可愛がるとしたら、犬を可愛がるのに近いんですね。
倉田 構うところがあるのがいい、というのはありますかね。
舛成 そうだよね。
―― キャラクターデザインも、ちょっと抑制してるじゃないですか。
舛成 ええ。
―― バリバリに可愛くは描いてないですよね。そのあたりの意図は?
舛成 うーん、あんま考えてないんですけどね。まあ羽音(たらく)さんにキャラクター原案を作ってもらって、フィルムワークをする時に、自分が考えているフィルムの作り方ができるデザインにしようと思って。でも、十分かわいいと思いますよ。『R.O.D』のときに「すごくかわいい画を描く子がいるなぁ」と思って声をかけたら、やってもらえまして。まあ、私好みってことなんですが。
―― 泥臭いとまでは言わないけど、派手ではないですよね。
舛成 そうですか? 派手ではないといっても、元が羽音さんの画なんで、華はあるんですよね。
―― (『かみちゅ!』の企画書を取り出して)羽音さんが描いた元の画というのは、企画書の表紙画に載っているこれですか。
倉田 ああ、これはかなり初期の。
舛成 一番最初ですね。ほんとに初期段階のやつです。この後に、今回のキャラにつながる画を出してもらってるんですよ。

▲ 企画書に掲載されているキャラクター原案。企画初期段階のものだ

倉田 こんな服(今風の制服)着てますからね。
―― これだと、派手なアクションとかもできそうですね。
倉田 運動部に入ってても、おかしくないですね。
―― そういう事で言うと、今回の主人公は、日頃のカロリー消費が少なさそうですね(笑)。
舛成 そうですね。性格とかを考えていると「体が硬いんだよ」とかね、何か負の方向へ、負の方向へと(笑)。人間としてどうなんだろう、という方向に行ってしまって。
倉田 他の作品とあんまり被んない方向で可愛さを追求していくと、あまり動かなくて、人見知りして、なのに内弁慶でとか。
舛成 そうそう。
倉田 家ではちょっと図々しくて。だらしなかったりみたいな。
舛成 そのへんの事で言うと、うちには姉がいたんで、内弁慶ぶりとかは、お姉ちゃんとかの影響があったりするわけですよ。「女ってこんなもんだ」っていう(笑)。
倉田 いわゆる、誰にでも優しくて、クラスの人気者で、みたいなのとはちょっと違うだろうみたいな。
―― 相当に違うと思います(笑)。
舛成 ひとつのキャラクター描くにも、ある一面からみたら凄くおとなしくて可愛い子かもしれんけど、実は、違う一面を見たらがさつで横暴だったりする。
倉田 ゆりえは、クラスメートが見ている姿と、弟が見ている姿が全然違うだろうと。
舛成 そうそう。
倉田 折角、弟が自転車持って帰ってきてくれたのに、〈ろくに礼も言わずに〉それに乗ってまた学校へ行く。「なんじゃ、お前は」という。そういう自分勝手なところは描いておきたい。そういったところで、お客さんの共感みたいなものが得られれば、ちょっと変わったアニメになるんじゃないかしらという。

●『かみちゅ!』倉田英之×舛成孝二インタビュー(3)に続く


●公式HP
http://www.aniplex.co.jp/kamichu/

●TV放送情報
テレビ朝日/毎週火曜日26:40〜
朝日放送/毎週木曜日27:01〜
名古屋テレビ/毎週水曜日27:08〜

●DVD情報
「かみちゅ!1」
ANSB-1031/カラー/本編約50分/リニアPCM(本編)、ドルビーデジタル(コメンタリー)/片面1層/16:9
※本編は、TV放映+追加カットも収録された「ディレクターズカット版」とも言うべき内容になっている
価格:5250円(税込)
発売日:2005年8月24日(全8巻・毎月リリース)
収録内容:1話「青春のいじわる」、2話「神様お願い」
音声特典:全話オーディオコメンタリー
初回特典:羽音たらく描き下ろし特製ピンナップ
発売元:アニプレックス
[Amazon]

(05.08.03)

 
 
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