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あの声、あのキャラ、あの作品
堀江美都子と『魔法少女ララベル』(1)


 堀江美都子さんと言えば、アニメファンなら知らぬ者のない、アニメソングの女王。彼女は声優としても活動しており、声の演技でも、長年我々ファンを楽しませてくれている。
 11月にDVD-BOXのリリースが始まる『魔法少女ララベル』は、1980年に放映された東映動画(現・東映アニメーション)の魔女っ子もの。堀江さんにとっては初めて主役を演じた作品であり、思い出深いタイトルであるようだ。
 今回の取材では『ララベル』を中心に、堀江さんが出演してきた様々な作品やキャラクターについても、うかがってきた。なお、この取材は、DVD-BOX解説書とWEBアニメスタイルの両方に掲載するために企画された。WEBアニメスタイルには『ララベル』以外の作品についての話題がたっぷりと入ったバージョンを掲載する。

●2005年10月5日
取材場所/東京・サウンドスタジオ・ノア
取材・構成/小黒祐一郎
協力/株式会社アイ・シー・エフ


PROFILE

堀江美都子(Horie Mitsuko)

3月8日生まれ。神奈川県横浜市出身。12歳の時に『紅三四郎』の主題歌でデビュー。以来、『キャンディ・キャンディ』『超電磁マシーン ボルテスV』など、数多の名曲を残しており、アニメソングの女王と呼ばれている。声優としても活躍しており、代表作に『愛少女 ポリアンナ物語』のポリアンナ役、『ひみつのアッコちゃん[第2期]』のアッコ役などがある。所属事務所はエディット、所属レコード会社はコロムビアミュージックエンタテインメント、声優としては青二プロダクションに所属。また、堀江美都子ボーカルスクール「ミッチシンガーズラボ」を主宰。

●公式サイト「堀江美都子・ミッチネット」
http://www.micchi.net/


【主要出演作品リスト】
―― 『魔法少女ララベル』のお話を中心に、堀江さんの声のお仕事についてうかがいたいと思います。アニソンの女王と言われる堀江さんですから、歌の仕事が主で、時々声の仕事をなさってるのかな、と思っていたんですよ。だけど、リストを作ってみると、声優のお仕事も相当な量をやられているんですね。
堀江 はい。かなりやってます。
―― プロの声優と言っても差し支えないくらいですよね。
堀江 ええ、声優としても、20年以上やってますから。その頃は(周囲の人達が)アニメ界のアイドルを作るために模索していた時期で、主題歌を歌ってる私が主役の声もやったら、その番組のアイドルにできるんじゃないかと考えたんですよ。それで、最初は声優としてのお芝居を基礎を全然習わないままに「歌手が声も担当する」というかたちで、主役をやらせていただいてたんです。そのうちに自分の中で、いつも歌手であるという看板を掲げたまま、声の仕事を続けるのは居心地が悪いし、そんなかたちで参加しても、それぞれのアフレコのチームワークにもよくないだろうな考えたんです。それから、声優を楽しい仕事だなと感じたんですね。これなら、私は頑張れそうだなと思った事もあって、自分が歌手であるという事を抜きにして、声優をやってみたいと思うようになっていったんです。
―― なるほど。
堀江 最初は主題歌を歌っている番組に限って、声をやってたんですけど。そのうちに、歌を歌っていない作品の声が増えていったんです。その辺で、ちょっと認めていただけたのかなと思えて、それが自分の中では凄く嬉しかったんですよ。
―― 最初に声のお仕事をやった作品は、何になるんでしょう。
堀江 『宇宙魔神 ダイケンゴー』ですね。
―― ヒロインのクレオですね。それまで脇役とかの経験はなく、いきなりヒロインだったんですか。
堀江 いきなりです。
―― それは大変だったでしょう。
堀江 なんの知識もなく、スタジオに放り込まれて。そこにいらしたのは、納谷悟朗さんとか、筈見(純)さんとか、藤本(譲)さんとか錚々たる方達で。主役は石丸(博也)さんでしたし。私なんかがレギュラーで、もう、本当になんとも申しわけない(苦笑)。
―― ファンは初々しいと思って観ていたと思いますよ。
堀江 「ダメ出しを出す段階にもいってない」と録音監督さんに言われました。アフレコで、なんにも言われないんです。何も言われないから余計に不安で、収録が終わってからね、なぜ私は何も言われないでしょうかと訊いたら、「言えるところまでいってない」と一言言われて。
―― うわあ、厳しいですね。
堀江 そういうものなのかと思いました。でもね、ありがたかったのは……話が脇道にズレちゃって、すみません。
―― いえいえ、全然大丈夫です。
堀江 『宇宙魔神 ダイケンゴー』では、気持ちを高めるためにアフレコの前に、オープニングの映像を流してくれたんですよ。それで芝居は下手だけど、こういうのを歌ってるんだという事を皆さんにアピールしていただいたんです。それは凄くありがたかったですね。
―― それは堀江さんのためにやってたんですか。それとも皆のテンションを上げるために?
堀江 両方のためだったと思いますね。やっぱり私がやりやすいようにという事で、流してくださったというのがあったと思います。
―― 『ダイケンゴー』の後も声優のお仕事が続くわけですよね。
堀江 『ダイケンゴー』の前にも、いくつかオーディションは受けているんですよ。オーディションというほど大げさでなくても、主題歌を歌ってる時に、声が面白いから、ちょっとこの台詞を読んでごらんと言われてやってみたり。
―― ああ、そうなんですか。
堀江 『ラ・セーヌの星』とか『ジムボタン』でも主役で受けてみて、それは見事に落ちました。「うーん、うーん」なんて言われて(笑)。
―― 例えば、堀江さん歌の中で台詞が入る事があるじゃないですか。ああいったのを聞いてると、台詞も上手くこなせるんじゃないか、なんて思うんですが。
堀江 あれは作詞の先生が、一言一言「こういう風に言ってごらん」とかって、指示してくださってたんです。
―― そうなんですか。自分で芝居を考えて言っていたわけではないんですね。
堀江 歌の中の台詞はそうですね。とにかく恥ずかしかったですからね。台詞でも「年頃」なんて言ってましたけど、本当にお年頃だったし、ティーンエイジャーでしたから。歌の中にああいった台詞が出てくるのは恥ずかしいですよ。
―― 具体的にはどの台詞とか?
堀江 「だって、年頃なんですもん。分かって」は本当に恥ずかしいですよね(苦笑)。
―― 『魔法のマコちゃん』ですね。聴いている立場だと、ご本人がそんなふうに思われているなんて思いもしませんでした。
堀江 「いやね、もう!」と言うのも、自分では恥ずかしいなって思ってましたよ。
―― うーん、それは意外でした。でも、言われてみればそうなんでしょうね。声優の仕事としては『ダイケンゴー』と『ララベル』の間に、何かあるんですか?
堀江 (考えながら)えーとね、その間に『大恐竜時代』があったと思うんです。私も前後が分からないんですけど、確かそうだと思います。シリーズの主題歌を歌って、主人公の声をやったのは『ララベル』が初だと思います。
―― DVDのサンプルをお借りして、1話から8話まで観てきたんですけど、みるみる上手くなっていくというか(笑)。
堀江 ふふふ。
―― 逆に、1話などはちょっと厳しいかな、と思いました。
堀江 全然慣れてなかったんです。全くの素人と同じですね。で、『ララベル』も周りがベテランの方ばかりだったんです。主人公が素人だから、周りを上手な方で固めよう、みたいな感じだったんでしょうね。
―― 友達のトコとテコのコンビも、実力のある方ですよね。
堀江 松島(みのり)さんと、つかせ(のりこ)さんですよ。他にも八奈見(乗児)さんでしょ、銀河(万丈)さんでしょ。私みたいな素人が主人公で、申し訳なかったですよね。『ララベル』のレギュラーのメンバーの方には、今でも、本当に申し訳ない思いでいっぱいです。ご面倒かけたなあと思っています。

●あの声、あのキャラ、あの作品
堀江美都子と『魔法少女ララベル』(2)に続く

●商品データ
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発売日:2005年11月30日
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発売元:アイ・シー・エフ
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
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(05.10.24)

 
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