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あの声、あのキャラ、あの作品
堀江美都子と『魔法少女ララベル』(4)


堀江 それで、頑張って(『覚悟のススメ』の原作を)読んだんです。どうしても演ってくださいっていう事だったんで、演らせていただいたんですけど。スタジオのアフレコも凄かったですよ。男の人達が(内容が過激なので)うえ〜とか呻いてましたから。あははは(笑)。
―― ああ、そうか。堀江さんが原作を読めなかったのは、マンガの内容がグロテスクだからなんですね。
堀江 (笑)。覚悟役の山寺(宏一)さんだけが、冷静な顔をして演ってましたよ。「僕はこういう硬派な役は好きだな」とか言いながら。
―― さすがだ。
2人 (笑)。
―― 名前は罪子なんて名前ですが、キャラクターとしては清純な少女でしたよね。
堀江 そうですね。山口さんの中で、あの役が聖域みたいな部分なんだろうと思うんですよ。山口さん御自身は本当にいい方で、普段物静かな方なのに、凄く強烈なマンガを描かれるんだなあと思いました。でもね、慣れるって凄いですね。作品に対する愛情も湧いているからだと思うんですが、最近は(山口さんの作品を)見られますもんね。その後の「悟空道」も読みましたし、今の「シグルイ」も読んでますよ。
―― 「シグルイ」は男性でも読めない人がいると思いますよ。
堀江 うふふ、そうですね。でも、もう大丈夫ですよ! 私、時代物好きですし。「覚悟のススメ」の罪子や「悟空道」の三蔵もそうですが、自分のイメージのキャラクターが作品に登場するのは、ちょっと照れくさいですが、光栄なことだと思っています。
―― 『(CYBER CITY)OEDO808』でも、おきゃんな女の子をお演りになって。あれもいい感じでしたよ。
堀江 そうですね。あれも楽しかった。『(夢次元ハンター)ファンドラ』もよかったかなあ。『ファンドラ』も歌はなかったんですよ。「なんで歌を歌わないで、アフレコだけなのかな」と不思議に思いましたけど。
―― 『プロゴルファー猿』の若葉ちゃんも、堀江さんでなければ、あそこまで印象度の強いキャラクターにならなかったんじゃないかと。
堀江 あはははっ(爆笑)。
―― なんですかね。図々しいわけじゃないんだけど。
堀江 図々しいですよ。
―― 図々しいですか。ひと言多い感じの子でしたよね。
堀江 勿論、主役は猿なんですけど、あの役は主役を食うようなタイミングで喋ったりしていましたね。出しゃばるような感じになって。スミマセンね、ホントに。
―― いえいえ。若葉ちゃんは親子で目立ってましたものね。
堀江 あはははっ(笑)。お父さんがトミコウ(富田耕生)さんですからね。結構、濃い親子で、猿さんの方がほのぼの家族で、こっちの方がアクが強かったんですよね。ああいう、ちょっと声を潰し気味で演るのは……。
―― ああ、なるほど。あれは潰す感じで声を出していたんですね。
堀江 うん。初めてだったんですよ。
―― ご自身がアニメで演るキャラクターは、どんなのが多いと思われますか。
堀江 おしんキャラが多いですね。
―― おしん?
堀江 名作劇場の、可哀想な主人公の役が多いです。
―― 名作劇場では、山田栄子さんに並ぶ数ですものね。
堀江 ええ。(名作劇場の終盤で)レミを演ったので、主人公の数は、私の方が多くなってしまったんです。ポリアンナ、ジュディ、レミと、やっぱり泣く役が多かったんですよ。
―― むしろ、堀江さんの声が元気があるので、泣いてもそんなに観てる方がつらくならない、というキャスティングだったんじゃないですかね。島本須美さんのセーラみたいに、か弱い感じの声だと、可哀想な状況になった時に、際限なく可哀想になってしまう。
堀江 そうですね。私のは須美ちゃんとはまた違った意味の、おしんキャラですかね。「この子なら、大丈夫かな」みたいな(笑)。
―― そうですね。
堀江 振り返ってみると、演らせていただいた役で、嫌いな役はひとつもありませんでしたね。そういう意味では、凄く恵まれてますよね。考えてみれば、最初から主人公として決めていただくという事も、なかなかないですからね。
―― そうか、分かりました! 堀江さんは最初から主人公を演っていたから、逆にシビップみたいなキャラクターを……。
堀江 そう。サブキャラが演りたかったんです!
―― ちょっと変わった役が演りたかったんですね。
堀江 あははは(笑)。
―― だから、最近の悪役も嬉しいんですね。
堀江 嬉しい。だって、主役はいっぱい演らせていただいたでしょう。そうすると、遊べる役も演りたくなるじゃないですか。シビップなんて責任ないし、最高に楽しいですよね。ヘロヘロしてればいいんだもん(笑)。
―― だけど、放映開始時、シビップが堀江さんだって知った時の、僕らの衝撃たるや(笑)。何が起こったんだろう、間違ってるんじゃないのかと思いましたよ。
堀江 最初は、どなたも私が演っているって分からなかったみたいですよ。
―― 背中のチャックを降ろすと、中から美少女が出てくるんじゃないかとか思っていました。
堀江 私も、最初そう言われたんです。「最後にお姫様になるんだ」って。
―― スタッフの方に?
堀江 そうですよ。オーディションの時に言われた気がします。「ああ、そうか。これは女の子なのね」と思っていたのに、最後までその姿に戻りませんでしたもの。毛玉のままでしたから。
―― (笑)。一番最初の話に戻るんですけど。ご自身の中で、声優としてのお仕事も、かなり大事なものなんですね。
堀江 ですね。ここ何年かは、歌の方のステージに力を入れてるので、声の方は時々演るだけなんですけど、機会があればまた色んな役を演ってみたいですね。
―― 自分の中のものを出していくという事に関して、歌と芝居だと違いますか。
堀江 違いますよ。同じ自分がやる事でも違いますよ。やっぱりアフレコの場合は周りがあっての自分じゃないですか。だから、自分で決めていく事ができないんですよ。前の人が喋った台詞によって自分の芝居が変わっていく。そういう楽しみがあります。歌もね、その日の歌の出だしの感じで決まってしまうから、全てを自分が決めたとおりにはできないんですけどね。相手があるという部分が、お芝居の楽しいところですね。
―― 最後に『ララベル』のDVD化について、ひと言いただけますか。
堀江 今まで観返す機会がなかったので、私も、すごく楽しみにしています。私は、自分がお婆さんになった時に、自分が出たアニメを観返すのが夢なんですよ。


●商品データ
「魔法少女ララベルDVD-BOX1」
XT-2157〜2159/カラー/約350分(14話収録)/3枚組/ドルビーデジタル(モノラル)/片面1層/スタンダード
価格:16380円(税込)
発売日:2005年11月30日
映像特典:ナショナル自転車CM/第1話予告/劇場版「海が呼ぶ夏休み」(1980年7月公開)
封入特典:フルカラーブックレット(堀江美都子さんインタビュー)/壁紙プレゼントのパスワード
発売元:アイ・シー・エフ
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
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(05.10.27)

 
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