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■『グレンラガン』
制作秘話!!
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■OP、ED、アイキャッチ編
 
ちょっぴり続くぞ『天元突破グレンラガン』制作秘話!!
今石監督が語るOP、ED、アイキャッチ



●全4部で構成された『天元突破グレンラガン』には、3バージョンのオープニングと、2バージョンのエンディングがある。第1部は明朗快活で大らかな少年マンガテイスト溢れるOP1、第2部はそのバリエーションで新キャラのニアや四天王が登場するOP2。そして7年の時間経過をもって始まる第3部と第4部では、一新された世界観とミステリアスな要素を含んだOP3が使われた。共通するのは、正攻法の爽やかな躍動感。対してエンディング2種はシルエットを使ったスタイリッシュなもの。男性ロックバンドの歌とも相まって、本編やOPのイメージとはひと味違うムードを醸し出している。毎回違うアイキャッチは、今石監督自ら描いたコンテをもとに、主にその回の作画監督や原画マンが担当。今石作品らしいBL影バリバリの絵柄で描かれたキャラやメカは、毎回の楽しみのひとつだ。今回はそれぞれのコンセプトなどについて、今石監督に語ってもらった。

[OP1]
絵コンテ/今石洋之
演出/佐伯昭志
作画監督/錦織敦史
原画/平松禎史、吉成曜、久保田誓、平田雄三、本村晃一、中村章子、小島大和、阿部慎吾、小竹歩、貞方希久子、雨宮哲、山口智、長谷川ひとみ

[OP2]
絵コンテ/今石洋之、錦織敦史
演出/佐伯昭志
作画監督/錦織敦史
原画/平松禎史、吉成曜、久保田誓、平田雄三、本村晃一、中村章子、小島大和、阿部慎吾、小竹歩、貞方希久子、雨宮哲、山口智、長谷川ひとみ、林明美、柴田由香、今石洋之、錦織敦史

[OP3]
絵コンテ/今石洋之、錦織敦史
演出/佐伯昭志
作画監督/平松禎史
原画/平田雄三、山口智、阿部慎吾、貞方希久子、林明美、小島大和、長谷川ひとみ、雨宮哲、今石洋之


[ED1]
絵コンテ/今石洋之
演出/佐伯昭志
原画/芳垣祐介

[ED2]
絵コンテ/今石洋之
演出/佐伯昭志
原画/中村章子

── さて、全話解説も完走しましたが、もう少しだけおつき合いください。まずオープニングはどんなコンセプトで作られたんですか?
今石 オープニングは、そうですね……余計な事をしないつもりでした。我を出さないというか、とにかくノーマルなオ−プニングにしたかったんです。ある意味、肩透かしでもいいぐらい。
── 今石洋之がコンテをきったとは思わせないように?
今石 そうですね。
── 最後に『(魔境伝説)アクロバンチ』のパロディとかもやらない?
今石 ええ、やらない。むしろ、ただただ定番を押さえていく、という感じにしようと思っていました。


── バージョンアップさせていくというアイディアは、最初からあったんですか。
今石 そうです。あんまり言いたくないんですけど、4部構成なのでホントは4回変えたかったんですよね。だけど第3部・第4部の頃には、さすがに制作から「もうダメ!」と言われてしまって(笑)。やっぱり、フォーマットというのを凄く意識していたと思うんですよ。前にも話した、サブタイトルのロゴを変えたかったというのと一緒で、オープニングにも少しずつ区切りがあって、その区切りで時代が移り変わってますよという事を、フォーマットの部分で示したかった。逆に言うと、例えばサブタイトルの上に「第2部」とは書きたくなかったんですね。
── なるほど。画で分かりやすく章が変わった事を示そう、と。
今石 その分、エンディングはちょっと外した方にいったつもりです。エンディングの処理の方が、僕の個人的なものが入ってると思いますね。その代わり、オープニングはもう定番中の定番。これも言うとアレだけど、水島精二さんがコンテを切ったオープニングみたいにしたかったんですよ(笑)。
── ああー。それも『鋼の錬金術師』とかではなくて、『シャーマンキング』とか。
今石 そう、『シャーマンキング』とかの感じで、すっごいストレートなもの。要するに作品に寄り添ったかたちで、しかも気持ちいいという。
── ポイントも押さえて、キャラの顔見せもちゃんとして。
今石 プラス、作画の見せ場もちゃんとあって。
── でもそれだけが突っ走ったりしないという。
今石 そうですね、うん。
── なるほど。オープニングは定番で押さえて、エンディングはややエッジのきいたものというか、洒落た感じにするというか。


今石 ええ。エンディングはちょっとハードだったり、ちょっと本編とは違う絵柄だったり、処理が違ったりという感じでいいかな、と思っていて。ホントはヨーコとニアがダンスしてる映像とかの方がよかったかもしれないけど(笑)。
一同 (爆笑)
今石 錦織なんかは、多分そういうのがやりたかったのかなー、と(笑)。サマーシーズンとか水着回とかは「グレンラガン音頭」みたいなのもあったりしてもよかったのかな。ホントに余裕があれば、それこそエンディングも4つ作りたかったぐらいですよ。歌も4曲あって、毎回いろんな人が全然違う画を描く、みたいな。まあ、そんな事ができる余裕はなかったけど(苦笑)。
── アイキャッチは、最初は監督が全部書くつもりだったそうですが。
今石 ええ、そのつもりだったんですけどね。1話しかやらせてもらえなかった。
大塚 早いなー(笑)。
今石 ハハハハハ。だから意地でコンテだけは描き続けました。
── 構図とかは基本的にコンテで押さえてあるんですか。
今石 もう大体、決め込んでますね。どんなキャラがいて、どんなポーズをとっていて、どれぐらいのBL影の量なのかとか、そこでだいぶ決め込んでます。


── 監督のコンテから大胆にアレンジした画で描いてきた人とかはいないんですか?
今石 うーん……いないですね。いちばん変わってたのは(小林)治さんかな。キタンの顔が真っ黒でビックリしました(笑)。治さんはさっそく動かしたり、ブラシを自分で加えたりとかして、変えようとしてきましたね。「それはないです、ゴメンナサイ」って(笑)。
── そこはむしろ監督のアイデンティティが投影されているところだったんですね。
今石 というか、やっぱりそれもフォーマットにこだわっていたんですよね。
── そこだけは自分が描く、という事ではなくて?
今石 自分が描くかどうかより、毎週同じところが1ヶ所あるという事が大事だった。だから、光は一緒だけど画が違う、という事にしたかったんですよね。光を変えちゃったらもう分からないので、そこは守る。「今日は最終回だから違います」とか、よっぽどの事情があれば変えてもいいけど、そうじゃない限りは、一貫した意図を入れたかった。それはオープニング、エンディング、アイキャッチ、サブタイトルに共通するところだったかな、と思いますけどね。最初はサブタイも自分で描くつもりで、ロゴも考えようとしてたかな……。まあ、それも無理でしたけど(笑)。
── 最終回がオープニングなしだったのは、基本ですか?
今石 まあ、基本ですよね。当然、戦闘シーンのラストに主題歌がかかるから、「2回かけなくてもいいでしょ」という事もあるし。その前に15話でも一度やってますけどね。ホントはエンディングも(本編で)くいたかったんですけど、それは難しかったのかな。エンディングの歌が流れてテロップも流れてるけど、同時にエピローグも進んでる、みたいなのもアリかと思った。でもまあ、今の構成でも案外よかったですね。1回終わったけどエピローグがまたあるよ、っていう感じにもできたから。結果的にはよかったです。


●『天元突破グレンラガン』公式サイト
http://www.gurren-lagann.net/

●商品情報
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片面2層/16:9/カラー/リニアPCM/ステレオ
価格:各6300円(税込)
発売元:アニプレックス
販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
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(08.04.11)

 
 
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