来年の事を言うと、鬼が笑うっちゃ
『風の谷のナウシカ』DVDに映像特典として付けられた『イノセンス』のプロモーション映像を観ましたか。『イノセンス』はいわずと知れた、押井守監督とProduction I.Gの最新作。来春公開される劇場作品です。
プロモーション映像は、予想以上のものでした。3Dをフルに使って、カメラを動かす動かす。ディテールに凝りまくる。特に驚いたのがコンビニのシーン。横位置で歩いていたバトーが立ち止まったところでカメラが回り込むカットや、俯瞰の構図で店内を歩くカットでは、大胆にカメラを動かしているのに構図や動きの破綻が一切ない。10年前では考えられなかった、夢のような映像です(余談ですが『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』DVDのコメンタリーで、押井さんがコンビニシーンの描写について「これこそ永遠のテーマ」と言っていましたね)。
手描きのキャラクターに、現実的な世界観や空間を与えるというのが、現在のアニメーションの目標のひとつですが、この『イノセンス』のプロモ映像が、それについて、現状で最も進化したかたちでしょう。単に3Dだから凄いという事ではなく、画面の設計とそれを実現している作画も凄い。これは劇場『機動警察パトレイバー』以来、押井さん達がやってきたレイアウトを重視したアニメーションの成果でもあるはずです。
カメラワーク、レイアウトは完璧として、質感やタイミングに関して、2Dと3Dのマッチングがどうなるのかが気になるところ。これは完成した作品を通して観てみないと分からないですね。いや、楽しみです。
2004年は『イノセンス』だけでなく、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』、大友克洋監督の『STEAMBOY』と、ここ数年制作が続けられていた劇場大作が次々と公開されます。大作ではないですが、今石洋之初監督作品『DEAD LEAVES』も来年1月の公開ですし、まだ正式にアナウンスされていませんが、湯浅政明さんの新作『マインドゲーム』も来年の公開です。これはSTUDIO4゜Cの最新作で、すでに完成しているそうですよ。これも詳細はまだ発表されていませんが、ゴンゾの『SPIRIT』もあります。
こんなに一度に劇場作品が公開されてしまうと、ひょっとして再来年には全然劇場アニメがないんじゃないかと心配になりますね(笑)。
(03.12.05)
更新情報(03/12/08・第105回)
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