WEBアニメスタイルについて サイトマップ トップへ戻る
  更新情報とミニニュース
 
 
  反芻するのもいいものだ

 今回の更新は「カレイドの すごい アニメーター」和田高明さんのインタビュー第3回。いよいよ『カレイドスター』の話題に突入です。それとお馴染み「週刊ユアサ」
 
 最近ある仕事で『DRAGON BALL』を一通り観返しました。第2シリーズの『Z』じゃなくて、最初のシリーズの方です。雑誌漫画アニメ化の歴史で言うと、『DRAGON BALL』はある程度オリジナルを混ぜつつ、連載中の原作と等間隔の距離を保ちながら追っかけていくスタイルをとった初期の作品ですが、まだスタッフがそのスタイルに慣れていなかったため、オリジナル部分で大胆なアレンジを加えているんですね。一度倒されたムラサキ曹長が奇跡の復活を遂げたり、超神水を手に入れるために山の中へ行った悟空が「闇」と対峙したり(暗闇の闇です)。そういったアニメオリジナル部分の自由奔放さが愉しい。
 キャストの豪華さも大変なもので、3度目の天下一武道会では、野沢雅子(悟空)、宮内幸平(亀仙人)、八奈見乗児(ナレーター)といったレギュラーに加えて、内海賢二(審判)、青野武(シェン)、永井一郎(鶴仙人)、大塚周夫(サイボーグ桃白白)とベテラン陣が勢揃い。勿論、中堅の古谷徹、田中真弓、鈴置洋孝といったメンバーも活躍している。当時も豪華だなあと思ったけれども、今観るととんでもないキャスティングですよ。
 作画に関しては、何と言っても前田実作監回。前田さん自身が巧いのは当然として、シリーズ後半の前田さんの作監回には中鶴勝祥、佐藤正樹、江口寿志といった、後にキャラクターデザインや作画監督として活躍する若手が原画として腕を振るっていて、これも見どころ。特に、97話「決勝!!はたして武道天下一は!?」ラストでの中鶴勝祥さんのアクション作画は絶品。2度目の天下一武道会決勝で、悟空と天津飯の試合が始まったところですね。後の『幽★遊★白書』『NINKU』『るろうに剣心』『NARUTO』等へと続く、「ジャンプアクション漫画の超人的な技やスピードを、スーパー作画で再現する」というパターンの元祖が97話のこのシーンじゃないかと思う。シリーズ前半では青嶋克己さんの作監回が抜群にいい。青嶋さんは1人で1話分の原画を描いていて、その話の見せ場をキッチリと作っている。最近の作品のような緻密さこそないものの、パワフルだし、細かいところも凝っている。51話「海底のガードマン」冒頭の、ガードマンロボットVS悟空&クリリンなんて驚くくらいよかった。演出に関しては、やはり、当時若手だった西尾大介さんと竹之内和久さんの仕事が、エネルギッシュで目立っています。
 作品のスタイルとしては、『Z』の方が完成しているのですが、最初の『DRAGON BALL』の方が色んな事をやっていて面白い。勿論、僕は本放映時にも一通り『DRAGON BALL』を観ているのですが、こうして改めて振り返ると色々と発見があります。過去の作品を反芻するのも、得るところが多いですね。

(04.05.14)

更新情報(04/05/14・第126回)
animator interview
和田高明(3)
湯浅政明の「週刊ユアサ」(第19回)


<OLD | NEXT>

 

編集・著作:スタジオ雄  協力:スタジオジブリ  スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.