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イベント

第23回
「『ファイトだ!! ピュー太』を観るぞ大会」

日時■2005年5月23日(月) 19時〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演■原口正宏、吉松孝博、今石洋之
司会■小黒祐一郎

■主な上映作品
 10話「南太平洋 メチャクチャ 大戦争」
 23話「よみがえる ノータリン部隊」
 13、15、24話(抜粋)

 現在、WEBアニメスタイルで特集中の『ファイトだ!! ピュー太』を観て、語りまくるという今回の企画。アニスタイベントとしてもマニアックなプログラムで、しかも、開催が平日の夜であったが、会場はほぼ満員となった。

 司会の小黒編集長に続き、原口正宏さん、吉松孝博さん、今石洋之さんらアニスタお馴染みのゲストが登壇し、イベントはアットホームな雰囲気でゆるゆるとスタート。まず、最初は、今石、吉松両氏の『ピュー太』との出会いのエピソードから。今石さんは『彼氏彼女の事情』制作時、何本かコンテをきった後に、庵野秀明監督から「今のお前に足りないのはこれだ!」と渡されたのが『ピュー太』のビデオだったとか。吉松さんは、かつて『ピュー太』のビデオを小黒編集長から借りて会社で観たところ、あまりに面白くて夜中1人で大はしゃぎしてしまい、スタジオの人から怒られてしまったそうだ。壇上の全員が、ずっと以前から『ピュー太』の魅力に取り憑かれていた事が会場にも伝わってきて、否が応にも上映への期待が高まる。

 その後、原口さんから見所の解説をしていただき、いよいよ10話「南太平洋 メチャクチャ 大戦争」を上映。オープニングのテンションの高さ、シュールなストーリー展開、作画のハッチャケぶりに場内は大いに沸き、上映後は大拍手だった。今石さんが「ここまでアニメは自由にできるんだ」と感慨深げに呟いたのが印象深い。

 続いて第2部は、これまで謎に包まれていた10話以外の話数の上映と、DVDBOXの解説書を執筆した原口さんによる『ピュー太』蘊蓄話の披露。まず最初に、上映候補の話数について、原口さんが簡単なあらすじを紹介をしたところ、23話「よみがえる ノータリン部隊」が壇上、客席ともダントツに反応が良く、早速上映する事に。
 冒頭、第2次世界大戦を思わせるハードな戦場シーンから始まる「よみがえる ノータリン部隊」は、意外にも骨太の社会派もの。今では放送が難しいかもしれない描写もあり、ギャグアニメとは思えない問題作であった。壇上の面々もビックリしていた様子。

小黒「想像していた傑作と全然違ったね。傑作というか何というか……」
吉松「『ピュー太』が始まった事に、最初気がつかない」
今石「発売日に買わないとマズイですね」

 原口さんのお話によると、他のエピソードにも何かしらの見所があり、『ピュー太』は一言では語りきれない作品なのだそうだ。

 第3部は、他の話数のダイジェスト上映と、DVDBOX発売を目前に控えての感慨話が中心。また、DVDBOXの発売元である、コロムビアME・内田さんからの挨拶もあった。中学生の頃、リアルタイムで『ピュー太』を観ていたという内田さん曰く、本作は60年代の雰囲気が良く出ているとの事。また、音楽を萩原哲晶(ハナ肇とクレイジー・キャッツの一連の音楽を手がけた事で有名)が担当している事や、『ピュー太』がタツノコ作品に与えたであろう影響についても注目して欲しいと語ってくれた。

 と、ここで、イベント冒頭から話題に上っていた関係者の方からコメントをいただける事に。そのお方とは、なんと第1部で上映した10話の演出を担当した倉橋達治(こうじ)さんであった!

▲左が倉橋達治さん。右がコロムビアME・内田さん

倉橋「ほとんど忘れかけていた作品がこうしたかたちで甦るとは、まるで死んだ子が生まれ変わってきたみたいに驚いています。今日は皆に観て喜んでもらえて本当に嬉しい。アニメをやってて良かったなと思います」

 思わぬサプライズに観客も大喜び。イベント中、最も盛り上がった瞬間だった。また、原口さん曰く、こうした昔の作品について取材すると必ず1人か2人は「あの作品については思い出したくもない」という方がおられるが、『ピュー太』については会う人が皆「よくぞ聞いてくれた」と懐かしがって、楽しそうに取材に応じてくれたのが印象深かったという。

 最後に、小黒編集長からWEBアニメスタイルのリニューアル話があってイベントはお開き。上映を中心に3時間強と、いつもよりちょっぴり短めのイベントだったが、非常に充実した内容になったのではないだろうか。観客の皆さん、協力してくださったメーカーの方々、どうも有り難うございました。

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