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COLUMN

練馬大根日記[浦沢義雄]

第5回 なぜ、映画が好きになったかというと


 ミュージカルで一番好きなのは『ローマで起きた奇妙な出来事』。
 日本では舞台公演された事がないと思います。
 監督はリチャード・レスター。
 ビートルズの『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ!』を撮った監督です。
 『ヘルプ!』の中の「ドーバー海峡の終点はここですか?」というギャグが、この世の中で一番好きなギャグです。
 なぜ、リチャード・レスターが好きになったかというと……。
 否、なぜ、映画が好きになったかというと……。
 ある本に「大勢の美女が階段に居る面白い映画」みたいな文章があったのです。
 その映画を偶然、千住のミリオン座で観たのです。
 観た時はこの映画が面白いのか全然解りませんでした。
 ただ、気になる事が一杯ありました。
 ロンドンの空き地に扉が大量に並べられていたり……、
 アパートの部屋をペンキで白く塗ったり……、
 ロンドンの通りを鉄パイプのベッドで走ったり……、
 美女たちが階段に立っているのも気になりました。
 その映画が『ナック』です。
 この映画を見て気になった事……。
 それが面白いんだ!
 生まれて初めて面白い事に気付いた瞬間でした。
 以来、映画が好きになったような気がするんですが、確かではありません。
 でも、今、このリチャード・レスターの『ナック』や『ローマで起きた奇妙な出来事』『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ!』を観て面白いと思う自信がありません。
 先日も、昔、好きだった映画を観て「つまらない」と感じました。
 でも、それはそれでいいのです。
 美しい事は、どんなつまらない映画でも面白がれたという事実です。

■第6回へ続く
 

●関連サイト
http://www.ndbrothers.com/

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(05.12.05)

 
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