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『時をかける少女』に期待する(6)
錦織博(アニメ監督)
まだ20世紀だった頃、僕が出会った細田守は、長髪でいかにも芸術家という風体だった。
アニメーターとして経験を積んでいた彼は、某TVアニメに絵コンテとして参加していた。
ある日、そのアニメの監督の机にあった彼の手によるチェック前の絵コンテをパラパラと見つつ、達者な絵だと感心していると、監督は言った。
「こんな大変な内容はできないって言ったんだけど、自分で原画を描くから通してくれって……」
確かにそのシーンは力作で、本当に映像化できれば素晴らしい仕上がりになるだろう。僕はその時は、熱意のある人だなと感じるだけだったのだが、でき上がったその話数を見たとき、心底驚いた。計算し尽くされた画面設計や表現への取り組みはもちろんだが、なによりもその情念にびっくりしたのだ。
画の上手い絵コンテはたくさん見かけるが、どこか技術先行で内容に乏しかったり、掘り下げが足りなかったりすることが多い中、彼の絵コンテにはキャラクターへの溢れるほどの想いと情熱が詰まっていた。いや、はっきり言って溢れ出していた。彼がラフ原画を手がけたシーンは鬼気迫る素晴らしい上がりになっていた。いやはや、すごい奴が現れたものだ……。僕達は彼に負けじと、競うようにコンテを描いた。
あれからずいぶん経つが、僕の細田守への印象はその頃からあまり変わっていない。
他の監督の何倍も熟考し、ロジックを積み重ねてつくられる彼の作品は、ときに数学の解法のようでもあり、ときに工芸品のようでもある。彼の作風はより研ぎ澄まされ、完成度も凄まじいほどに高まっている。優秀なスタッフもたくさん集まってきているだろう。
しかし、彼の本質は、やはりその渦巻く情念にあると思っている。くだらないギャグも、シリアスなドラマも、彼のキャラクターへの想いから産まれているものであり、情念の渦が観客を巻き込み、虜にしているのだ。
そんな彼が、爽やかな青春映画をつくるという。例によって、たくさんのギミックや表現を使って高密度な映像をつくりだしているはずだが、一番楽しみなのはやはり、彼がさらなる情念のほとばしりを見せてくれることである。そして、観終わった後に、爽やかな風が吹き抜けるような作品になっていることに心から期待している。
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●関連サイト
『時をかける少女』公式サイト
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/
『時をかける少女』公式ブログ
http://www.kadokawa.co.jp/blog/tokikake/
(06.07.07)
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